3 / 12
3 引っかき回される職場 (それぞれの思い)
しおりを挟む
「うわぁ、なにあの言い方? お嬢様なら、こんなところで働かないでお屋敷でお茶会でもしていればいいのに」
「私達は、生活の為に働いているのに舐めてるわよねぇーー」
ヒソヒソ話が、女性従業員達の間からたちのぼります。なんでこんなお嬢様が来たのか、嫌な予感しかしません。
「とりあえず、ベテランのレモナさんと組んでください」
イアンから言われたレモナさんは真面目な性格で、ソファ売り場の責任者です。レモナさんに連れられてカーラ様は鼻歌を歌いながらソファ売り場に移動していきました。
「ねぇ、イアン。働いたこともないカーラ様を、いきなり売リ場にだすのはまずいんじゃないかしら?」
「あらぁーー、そぉんなことないわよぉ。私も今日からここで働くわぁ。うーーん、楽な職場がいいからぁ、ベッドの売り場がいいかなぁ。ベッドなんてそうそう売れないわよね」
今まで仕事をしたこともないお嬢様がまた一人やって来ました。ウェンディが当然のように言い放った言葉に、イアンはうなづくだけでした。
☆彡★彡☆彡
お昼時になると、ソファ売り場のレモナさんがまずやって来ました。私は従業員控え室で、持参したお弁当を食べるのが習慣になっています。周りには他の従業員達もいて、持参したサンドイッチなどを食べていました。
「あのカーラって人! ずっと売り物の高級ソファに座り込んで、少しも働きませんよ。お客様が来てなにか尋ねても『あの人に言ってよ』と、私を指さすんです! しまいには、売り物の応接セットでお茶までいれだすし、そこにイアン様を呼んでお茶会ごっこですよ!」
「売り物の応接セットで、お茶会ごっことは奇抜なアイディアね」
「アイラさん。感心している場合じゃないです!」
困りましたね。カーラ様とウェンディは、私がなにを言っても多分聞かないでしょう。
「アイラさん! 私、辞めます! あり得ません! えぇ、こんなことは耐えられません。ベッド売り場に来たウェンディお嬢様は、お客様をけなすんですよ。『あら、こんなベッドを買うなら、あっちのベッドのほうが寝心地がいいのに』とか『いやだぁーー、どうしてこんな趣味の悪いカバーを選らぶのぉ』とか大きな声で叫びまくって……怒ってお客様が帰ると、『あんたの応対が悪いからヴィセンテ家具店で買わないで帰っちゃったじゃない? うちの損害はあんたが賠償しなさいよ!』と言うのです! 私、こんな理不尽には耐えられません」
ベッド売り場の責任者のイヤナさんが、控え室に泣きながら飛び込んできます。あとから来たカーラ様とウェンディはその様子を見て、笑っていました。
「辞めたければ辞めればいいじゃない! あんたの代りなんていくらでもいるんだから」
その言葉の直後に控え室に入ってきたイアンは、押し黙っていて……微妙な空気が流れます。
「ねぇ、私達3人でランチは外で食べない? いいお店があるのよぉ?」
ウェンディの提案にカーラ様はうなづき、イアンの腕をとるとさっさと3人で馬車に乗り込むのでした。
「アイラさん、なんとかしてくださいよっ! 一応貴女だってヴィセンテ男爵家の人間でしょう? こんなことだと、この家具店は潰れますよ!」
従業員の皆さんが詰め寄って不満を私にぶつけますが、私には人事権も裁量権もなにもありません。ただ、『なんの力もなくて、すみません……』と言うしかないのです。
私って……ヴィセンテ男爵家の人間なのかしら? ヴィセンテ男爵家の人間と感じたことは、今まで一度もなかったのでした。
🌼 アイラの代わりに妻の座を手に入れたい脳内ピンク娘(カーラ視点)
イアンは私の従兄弟で、シャイなイケメン。優しいし怒ったところなど見たことがない。無口だけれど、きっと頭のなかではいろいろと考えて敢えてなにも言わないのだと思う。
イアンは基本、争いごとを好まない。私とウェンディがなにを言っても、にこやかに笑っているだけだ。この落ち着いた大人の風格がたまらなく好きな私は、なんとかアイラを追い出してイアンを自分のものにしたい。
幸い、ウェンディの方から
「カーラがお兄様のお嫁さんだったら良かったのに。アイラって、私の可愛がっているマルタンをとったのよ。自分が世話をするからくれって言ったの! 図々しいでしょう? 私は、仕方なく結婚祝いとしてあげたわ」
そう、言ってきた。なんて、嫌な女だろう。マルタンは高級な犬だし可愛いから、私だって欲しかった。まぁ、面倒な世話は嫌だけどね。
どうしたらイアンを自分のものにできるかな? って考えたら……うふふ……まずは職場を引っかき回して……あれも……これも、いろいろ試してみようかなぁーーって名案が頭のなかに浮かびまくった。すごいわ、私。天才でしょう? あっは!
🌼私こそ、このヴィセンテ家具屋を切り盛りできる才覚があるもんと思う脳内ピンク娘(ウェンディ視点)
アイラが嫁にくる前日に、私とお兄様は両親にサロンに呼ばれた。
「明日からここに住むアイラは嫁じゃないから『お義姉様』と呼ばなくていいわよ。アイラと呼び捨てでいいのよ」
お母様は、私にほの暗い笑みを浮かべてそう言った。
「アイラは平民で、両親も親戚もいない。どう扱っても、だれも文句を言う奴はいない。だから、嫁という名目で『ただ働き』してもらおうと思ってなぁ。あの能力に見合った給料をあげるとなると、結構な出費だ。嫁にしとけば転職されることもないし、ずっと縛り付けておける。イアンは、愛人でも作ってそっちに子供を産ませればいい」
「そぉんなこと、なんでするのよ? ウェンディだって、アイラなんかに負けないぐらい優秀だよっ!」
私がいくら言っても取り合ってくれないし、お兄様にはカーラが似合うと思うのに、それもわかってくれない。こんなことで、お嫁さんを決めるなんて間違ってるよ。お父様達の考えが変らないなら、私がアイラを追い出せばいいんじゃないかな?
幸い、カーラは「ずっと、イアンが好きだった」って、あの家族旅行の日に打ち明けてくれた。私達は協力してアイラを困らせてやるんだ。お父様達にはばれないようにしないといけないけれど、どうせお父様もお母様も出勤して10分も社長室にいないのだからばれるわけがない。二人は、交流会と称される観劇やオペラ鑑賞、音楽会にお茶会で忙しく店の仕事はアイラとお兄様に任せっきりだ。
うふふ……アイラを追い出したら、私がここを仕切ってあげよう! 私が責任者になれば売り上げだって倍増だわよ、間違いないわ! うふっ。
「私達は、生活の為に働いているのに舐めてるわよねぇーー」
ヒソヒソ話が、女性従業員達の間からたちのぼります。なんでこんなお嬢様が来たのか、嫌な予感しかしません。
「とりあえず、ベテランのレモナさんと組んでください」
イアンから言われたレモナさんは真面目な性格で、ソファ売り場の責任者です。レモナさんに連れられてカーラ様は鼻歌を歌いながらソファ売り場に移動していきました。
「ねぇ、イアン。働いたこともないカーラ様を、いきなり売リ場にだすのはまずいんじゃないかしら?」
「あらぁーー、そぉんなことないわよぉ。私も今日からここで働くわぁ。うーーん、楽な職場がいいからぁ、ベッドの売り場がいいかなぁ。ベッドなんてそうそう売れないわよね」
今まで仕事をしたこともないお嬢様がまた一人やって来ました。ウェンディが当然のように言い放った言葉に、イアンはうなづくだけでした。
☆彡★彡☆彡
お昼時になると、ソファ売り場のレモナさんがまずやって来ました。私は従業員控え室で、持参したお弁当を食べるのが習慣になっています。周りには他の従業員達もいて、持参したサンドイッチなどを食べていました。
「あのカーラって人! ずっと売り物の高級ソファに座り込んで、少しも働きませんよ。お客様が来てなにか尋ねても『あの人に言ってよ』と、私を指さすんです! しまいには、売り物の応接セットでお茶までいれだすし、そこにイアン様を呼んでお茶会ごっこですよ!」
「売り物の応接セットで、お茶会ごっことは奇抜なアイディアね」
「アイラさん。感心している場合じゃないです!」
困りましたね。カーラ様とウェンディは、私がなにを言っても多分聞かないでしょう。
「アイラさん! 私、辞めます! あり得ません! えぇ、こんなことは耐えられません。ベッド売り場に来たウェンディお嬢様は、お客様をけなすんですよ。『あら、こんなベッドを買うなら、あっちのベッドのほうが寝心地がいいのに』とか『いやだぁーー、どうしてこんな趣味の悪いカバーを選らぶのぉ』とか大きな声で叫びまくって……怒ってお客様が帰ると、『あんたの応対が悪いからヴィセンテ家具店で買わないで帰っちゃったじゃない? うちの損害はあんたが賠償しなさいよ!』と言うのです! 私、こんな理不尽には耐えられません」
ベッド売り場の責任者のイヤナさんが、控え室に泣きながら飛び込んできます。あとから来たカーラ様とウェンディはその様子を見て、笑っていました。
「辞めたければ辞めればいいじゃない! あんたの代りなんていくらでもいるんだから」
その言葉の直後に控え室に入ってきたイアンは、押し黙っていて……微妙な空気が流れます。
「ねぇ、私達3人でランチは外で食べない? いいお店があるのよぉ?」
ウェンディの提案にカーラ様はうなづき、イアンの腕をとるとさっさと3人で馬車に乗り込むのでした。
「アイラさん、なんとかしてくださいよっ! 一応貴女だってヴィセンテ男爵家の人間でしょう? こんなことだと、この家具店は潰れますよ!」
従業員の皆さんが詰め寄って不満を私にぶつけますが、私には人事権も裁量権もなにもありません。ただ、『なんの力もなくて、すみません……』と言うしかないのです。
私って……ヴィセンテ男爵家の人間なのかしら? ヴィセンテ男爵家の人間と感じたことは、今まで一度もなかったのでした。
🌼 アイラの代わりに妻の座を手に入れたい脳内ピンク娘(カーラ視点)
イアンは私の従兄弟で、シャイなイケメン。優しいし怒ったところなど見たことがない。無口だけれど、きっと頭のなかではいろいろと考えて敢えてなにも言わないのだと思う。
イアンは基本、争いごとを好まない。私とウェンディがなにを言っても、にこやかに笑っているだけだ。この落ち着いた大人の風格がたまらなく好きな私は、なんとかアイラを追い出してイアンを自分のものにしたい。
幸い、ウェンディの方から
「カーラがお兄様のお嫁さんだったら良かったのに。アイラって、私の可愛がっているマルタンをとったのよ。自分が世話をするからくれって言ったの! 図々しいでしょう? 私は、仕方なく結婚祝いとしてあげたわ」
そう、言ってきた。なんて、嫌な女だろう。マルタンは高級な犬だし可愛いから、私だって欲しかった。まぁ、面倒な世話は嫌だけどね。
どうしたらイアンを自分のものにできるかな? って考えたら……うふふ……まずは職場を引っかき回して……あれも……これも、いろいろ試してみようかなぁーーって名案が頭のなかに浮かびまくった。すごいわ、私。天才でしょう? あっは!
🌼私こそ、このヴィセンテ家具屋を切り盛りできる才覚があるもんと思う脳内ピンク娘(ウェンディ視点)
アイラが嫁にくる前日に、私とお兄様は両親にサロンに呼ばれた。
「明日からここに住むアイラは嫁じゃないから『お義姉様』と呼ばなくていいわよ。アイラと呼び捨てでいいのよ」
お母様は、私にほの暗い笑みを浮かべてそう言った。
「アイラは平民で、両親も親戚もいない。どう扱っても、だれも文句を言う奴はいない。だから、嫁という名目で『ただ働き』してもらおうと思ってなぁ。あの能力に見合った給料をあげるとなると、結構な出費だ。嫁にしとけば転職されることもないし、ずっと縛り付けておける。イアンは、愛人でも作ってそっちに子供を産ませればいい」
「そぉんなこと、なんでするのよ? ウェンディだって、アイラなんかに負けないぐらい優秀だよっ!」
私がいくら言っても取り合ってくれないし、お兄様にはカーラが似合うと思うのに、それもわかってくれない。こんなことで、お嫁さんを決めるなんて間違ってるよ。お父様達の考えが変らないなら、私がアイラを追い出せばいいんじゃないかな?
幸い、カーラは「ずっと、イアンが好きだった」って、あの家族旅行の日に打ち明けてくれた。私達は協力してアイラを困らせてやるんだ。お父様達にはばれないようにしないといけないけれど、どうせお父様もお母様も出勤して10分も社長室にいないのだからばれるわけがない。二人は、交流会と称される観劇やオペラ鑑賞、音楽会にお茶会で忙しく店の仕事はアイラとお兄様に任せっきりだ。
うふふ……アイラを追い出したら、私がここを仕切ってあげよう! 私が責任者になれば売り上げだって倍増だわよ、間違いないわ! うふっ。
20
お気に入りに追加
1,664
あなたにおすすめの小説

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
【完結】結婚初夜。離縁されたらおしまいなのに、夫が来る前に寝落ちしてしまいました
Kei.S
恋愛
結婚で王宮から逃げ出すことに成功した第五王女のシーラ。もし離縁されたら腹違いのお姉様たちに虐げられる生活に逆戻り……な状況で、夫が来る前にうっかり寝落ちしてしまった結婚初夜のお話
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。
美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?

最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。
window
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。
幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。
一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。
ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。


虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる