上 下
9 / 13

9 門番と騎士達の処罰って厳しすぎるよ(エイダン視点)

しおりを挟む
え? 本当に王女だったの? 嘘だ・・・・・・っていうか、なんでこんなところで殺しているんだ?ジャウハラはこの冷酷な王太子の部下に、麻布に詰められて運ばれていった。

「あれは、私の弟を死に追いやった性悪な女でして追放していた者です。一度はどんな者にもチャンスを与える我が国ですが、二度はないのです。このようなところで、大変申し訳なかったとは思うのですが・・・・・・」

いや、申し訳なかったで済むのか? おかしいよなぁ・・・・・・でも、国王陛下はにこやかに対応しているし、王族や裁判官達も全く驚いてはいなかった。

アーブリーでさえも顔色ひとつ変えないのはなぜなんだ・・・・・・

「この門番と騎士達の処分だが、かなり思い違いをしていたと聞くが・・・・・・」
 国王陛下が騎士や門番を見ると、その誰もが青ざめており震えている者までいた。

まさか、この者達も極刑?

「門番はあの王女をアーブリー先生の恋人だと思いこんで、王宮内に入れてしまい騎士達もそれを阻止しなかったようです」
 エヴァン殿下が腹立たしげに言うのだけれど、それのどこが問題なんだろう?

 今の時代は同性愛者が爆発的に増えていて、人間同士の愛に性別の差別はないはずだぞ。

「あ、あの、五日も思い詰めた表情で美女が面会を美女に求めたらロマンスの香りがしますよね?」

「そうですよ。今はそんな劇がとても流行っていますからね」

「そうです!私達に悪意はなかったです! 誓って、そんな危険な女とは思っていませんでした!」

「えぇ、皆の言うとおりです! 恐れながら減給あたりで勘弁していただければ・・・・・・」
門番と兵士の焦った嘆願が続いた。


「はぁーー。いかんな! ここまで平和呆けをしているとは!」
 エヴァン殿下は、またもや怒りだした。

 このエヴァン殿下ってまだ少年なのに、やたら怒ってばかりなんだが王族としてどうなんだ? 

「いいか? あの女が暗殺者であったら国王陛下や私達王族に危険があったんだぞ! まして、毒でも持ち込んで井戸にでも投げ込まれてみろ! 多くの者が死ぬことになった! 戦争がなくなったからといって、平和呆けするのも大概にしろ!」

「恐れながら、エヴァン殿下はまだ世界を知らないですよね? もうこの世界では戦争はおこりません。しっかり平和になったのですから」

「そうですとも! 隣国とも協定を結び、争いが起こらない平和な国になったのです!」

「ふーーん。それなら、もう門番も騎士も要らないよな? お前らは、無駄飯食いってことだろう?」

「え?」

「ふむ。確かにこの者達の主張がそうであれば、お前達は今まで無駄に給料を取っていたことになるな?今まで無駄にもらっていた給料を返納するように! もちろん、お前達は今この時点でクビだ」
 国王陛下が宣言した。

「へ?そんなのむちゃくちゃですよ!」

「全然、むちゃくちゃではありませんよ。だから、自分の口には気をつけなければいけないのです。自分の職務上の怠慢を認めれば、ただの解雇か懲戒解雇で済んだのに。自分達で自分達の仕事の価値を否定するなんておバカさんでしょう?」
 アーブリーが当然のように諭していた。

「そんな・・・・・・」

「門番と騎士5人は解雇のうえ、今まで支給した給料の3年分を返納すること! さらにその返納が済み次第、国外追放とする!」
 裁判官が協議のうえ、国王陛下がそう宣言する。

「ひっぇええぇーー! やばいよぉーー。家に帰ったら、かぁちゃんに殺されるーー」
 門番が悲痛な叫びをあげた。

「うわぁーー。どうしよう・・・・・・結婚したばかりなのに・・・・・・」
「厳しすぎるよ・・・・・・どうかしてる」




 それをひと通りみていた砂漠の国の王太子殿下は言い放った。
「甘すぎるだろう! これが私の国であったなら、お前達は全員死刑だ! 命があるだけマシと思え!」

「そんなバカな・・・・・・人の命はそんなに軽くないぞ」
 僕は小さな声でぼそりとつぶやく。

 こんなのおかしいよ。謝って反省しているのだから罰するべきじゃないだろう? 減給で厳重注意あたりで充分なんじゃないのかな? でも・・・・・・まぁ、僕には関係ないから・・・・・・いいか・・・・・・



 全ての裁きが終わって、僕はアーブリーに声をかけた。
「ねぇ、僕たちはまたやり直せるよね? 式をもう一回、やり直さない?」

 僕の問いにアーブリーは、ニコッと笑ってくれたんだ! これはオッケーってことだよね。

あっは! やっぱり、真実の愛ってこっちだったんだな! 

 僕は今までのことは、すっかりなかったこととしてアーブリーとやり直せることになったんだ!


▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃

次回最終回です。





以下宣伝です

ライト文芸大賞エントリー
愛を教えてくれた人

よろしくお願いします(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾





しおりを挟む
感想 113

あなたにおすすめの小説

いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた

奏千歌
恋愛
 [ディエム家の双子姉妹]  どうして、こんな事になってしまったのか。  妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

巻き戻される運命 ~私は王太子妃になり誰かに突き落とされ死んだ、そうしたら何故か三歳の子どもに戻っていた~

アキナヌカ
恋愛
私(わたくし)レティ・アマンド・アルメニアはこの国の第一王子と結婚した、でも彼は私のことを愛さずに仕事だけを押しつけた。そうして私は形だけの王太子妃になり、やがて側室の誰かにバルコニーから突き落とされて死んだ。でも、気がついたら私は三歳の子どもに戻っていた。

こんなはずではなかったと、泣きつかれても遅いのですが?

ルイス
恋愛
世界には二つの存在しか居ない、と本気で思っている婚約者のアレク・ボゴス侯爵。愛する者とそれ以外の者だ。 私は彼の婚約者だったけど、愛する者にはなれなかった。アレク・ボゴス侯爵は幼馴染のエリーに釘付けだったから。 だから、私たちは婚約を解消することになった。これで良かったんだ……。 ところが、アレク・ボゴス侯爵は私に泣きついて来るようになる。こんなはずではなかった! と。いえ、もう遅いのですが……。

旦那さまに恋をしてしまいました。

しらす
恋愛
こんなことになるならば、わたしはあなたに出会いたくなかった。でもわたしは、あなたを愛している。あなたがたとえ愛してなくても、疎んでいても、わたしはずっと愛している。 これはわたしが選択を間違えた話。 小説家になろう様にて先行更新しています。 これを読んだ方、言っておきます。あんまり上の内容信じない方がいいです。(自分で書いておいて何を言って((() 2021/4.11完結しました。

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

冷遇された王妃は自由を望む

空橋彩
恋愛
父を亡くした幼き王子クランに頼まれて王妃として召し上げられたオーラリア。 流行病と戦い、王に、国民に尽くしてきた。 異世界から現れた聖女のおかげで流行病は終息に向かい、王宮に戻ってきてみれば、納得していない者たちから軽んじられ、冷遇された。 夫であるクランは表情があまり変わらず、女性に対してもあまり興味を示さなかった。厳しい所もあり、臣下からは『氷の貴公子』と呼ばれているほどに冷たいところがあった。 そんな彼が聖女を大切にしているようで、オーラリアの待遇がどんどん悪くなっていった。 自分の人生よりも、クランを優先していたオーラリアはある日気づいてしまった。 [もう、彼に私は必要ないんだ]と 数人の信頼できる仲間たちと協力しあい、『離婚』して、自分の人生を取り戻そうとするお話。 貴族設定、病気の治療設定など出てきますが全てフィクションです。私の世界ではこうなのだな、という方向でお楽しみいただけたらと思います。

モラハラ王子の真実を知った時

こことっと
恋愛
私……レーネが事故で両親を亡くしたのは8歳の頃。 父母と仲良しだった国王夫婦は、私を娘として迎えると約束し、そして息子マルクル王太子殿下の妻としてくださいました。 王宮に出入りする多くの方々が愛情を与えて下さいます。 王宮に出入りする多くの幸せを与えて下さいます。 いえ……幸せでした。 王太子マルクル様はこうおっしゃったのです。 「実は、何時までも幼稚で愚かな子供のままの貴方は正室に相応しくないと、側室にするべきではないかと言う話があがっているのです。 理解……できますよね?」

処理中です...