13 / 67
13
しおりを挟む
☆彡 ★彡(ヘレン視点続き)
とても面白いものを見てしまったわ。ソフィ様のお部屋に3人もの令嬢が入っていくのを見てしまったのよ。私は周囲を見回して慎重に部屋に侵入し、少しだけ破かれたドレスをさらにメタメタに切り裂いた。そうして・・・・・・私はマリエッタ様だけを見たことをソフィ様に申し上げた。
うふふっ、私はマリエッタ様をこの学園から追放したいのよ。
エレガントローズ学院は名門だけれど、メイドのお給金はそれほど高くない。ソフィ様に取り入って、ソフィ様の専属メイドにしていただければ一生安泰だと思った。
ソフィ様はビニ公爵夫人のお気に入りの姪御様だ。そのような方ならば、きっと侯爵以上の爵位を持つ殿方の奥方様になる。ソフィ様はご自分の価値をわかっていらっしゃらない。
姻戚とはいえ、王の弟を伯父に持つ令嬢は、名門貴族のご子息達にとって、最も人気のある花嫁候補の一人になる。だから、どうしても仲良くなる必要があった。けれど、いつもマリエッタ様がまとわりついていて、一人でいらっしゃることがないのよ。
マリエッタ様は本当に邪魔な子よ。ソフィ様に馴れ馴れしくしすぎなのよ。
だから、マリエッタ様に罪を着せた。切り裂かれたドレスをマリエッタ様のせいにすれば、皆が幸せになれる。ソフィ様の信頼さえ勝ち取れば、私は大出世ができるのよ。
☆彡 ★彡(ヒロイン視点に戻ります)
ビニ公爵様は影とおっしゃったけれど、私は聞かなかったことにしたわ。だって、ボナデア伯母様がびっくりするような、新しい話題を私に提供してくれたのだもの。
「夕食にね、とても素敵な方を招待したのよ。世界的に有名な音楽家のケンジー・ラミラス様よ。高名なピアニストでいらっしゃるし、あの方はメドフォード王国のラミラス公爵家の三男なのよ。美しい演奏を聴かせていただいたら、楽しく皆で夕食をいただきながら、おしゃべりをしましょうね」
「ボナデア伯母様、私は恐れ多くて・・・・・・そのような方は、王城や王立オペラハウスでしか演奏なさらないでしょう?」
「一般的にはそうだわね。でも、彼はよくビニ公爵邸に遊びにくるのよ。なんてことのない日常よ。私はラミラス公爵夫人とは、親友といって良いほど仲良しですからね」
私は緊張してしまう。音楽家のケンジー様は各国を飛び回っており、シップトン王国にも、演奏のためにいらしたことがあった。けれど、私は遠くの席から拝見しただけで、直接お話をしたことはない。ボナデア伯母様と一緒にいると、今までお会いすることもできなかった方々と会えてしまう。
嬉しいけれど気後れするわ。
てっきり、玄関ホールの一角にあったサロンで、演奏を聴くのだろうと思っていた。けれど、時間が近づいてくると、私は侍女達に取り囲まれた。スザンナの指揮の下、髪は輝くように滑らかに梳かされ、頭の後ろで繊細な編み込みになっていく。小さな宝石で飾られた髪飾りが、優雅な輝きを添えた。前髪は額に少し残され、自分でいうのもなんだけれど、とても綺麗に見えた。
ドレスは光沢のある薄いシルクで仕立てられた淡いレモン色で、小さな白薔薇が幾重にも重なるように刺繍されていた。スカートの部分は少しだけ透けており、歩くたびにふわっと揺れて妖精みたい。
「ソフィはなんて可愛いのかしら! それでいて理知的でクールな印象がありますね。私の若い頃にそっくりです」
「伯母様は、今も可愛らしくてお美しいです」
「ありがとう。さぁ、そろそろパーティホールへ参りましょうか? 今日は一緒に楽しみましょうね!」
パーティホールはビニ公爵邸の中心に位置しており、エントランスから直接アクセスできる便利な場所にあった。
天井が高く広々としたお部屋で、エレガントローズ学院のダンスホールよりもさらに大きかった。
壁は白地に花模様が浮き出した美しい布が貼られていて、宝石のような輝きを放っていた。大きなシャンデリアが床の大理石に反射して光と影が踊りだすようだ。
ホールの一角にはバーも設置されていて、ドリンクやカクテルを楽しむことができた。さらに、そこには豪華なグランドピアノが2台も置かれていて、ケンジー様が奏でる素敵な音楽に酔いしれた。
この大空間で一流の音楽家の演奏を聴くことができるなんて夢のようよ。優雅な旋律がホールに響き渡る。その旋律は少しずつ変化して、軽やかで華やかな曲調になっていく。私はこの瞬間を一秒一秒大切に胸に刻み込む。ボナデア伯母様との大切な思い出として、一生忘れないわ。
ケンジー様は音楽家として世界中を飛び回っており、さまざまな国での楽しい経験を共有してくださった。夕食時にそれらのお話を聞きながら、私とボナデア伯母様にビニ公爵様は、大いに笑ったのだった。
もちろんビニ公爵家のお料理は最高だった!
☆彡 ★彡(ちょこっと、ココ視点)
お母様とヴィッキー伯母様とともに、私はブリス侯爵家の音楽会に来ていた。会場は石造り建築で、広間は高い天井だ。シャンデリアがキラキラと輝いて、床には高そうな絨毯が敷かれていた。
音楽家たちは派手な衣装に身を包み、楽器を響かせ楽しい音楽がサロンに流れた。彼らは大きなコンサートホールで演奏するほどの名声は持っていないけれどとても素敵だった。
宝石を身につけ、美味しい料理と高級ワインを楽しんだ。なんて素晴らしいの? きっと、ソフィは修道院で貧しい、なんの楽しみもない生活を送っているに違いない。
ふふっ、かわいそーー。
とても面白いものを見てしまったわ。ソフィ様のお部屋に3人もの令嬢が入っていくのを見てしまったのよ。私は周囲を見回して慎重に部屋に侵入し、少しだけ破かれたドレスをさらにメタメタに切り裂いた。そうして・・・・・・私はマリエッタ様だけを見たことをソフィ様に申し上げた。
うふふっ、私はマリエッタ様をこの学園から追放したいのよ。
エレガントローズ学院は名門だけれど、メイドのお給金はそれほど高くない。ソフィ様に取り入って、ソフィ様の専属メイドにしていただければ一生安泰だと思った。
ソフィ様はビニ公爵夫人のお気に入りの姪御様だ。そのような方ならば、きっと侯爵以上の爵位を持つ殿方の奥方様になる。ソフィ様はご自分の価値をわかっていらっしゃらない。
姻戚とはいえ、王の弟を伯父に持つ令嬢は、名門貴族のご子息達にとって、最も人気のある花嫁候補の一人になる。だから、どうしても仲良くなる必要があった。けれど、いつもマリエッタ様がまとわりついていて、一人でいらっしゃることがないのよ。
マリエッタ様は本当に邪魔な子よ。ソフィ様に馴れ馴れしくしすぎなのよ。
だから、マリエッタ様に罪を着せた。切り裂かれたドレスをマリエッタ様のせいにすれば、皆が幸せになれる。ソフィ様の信頼さえ勝ち取れば、私は大出世ができるのよ。
☆彡 ★彡(ヒロイン視点に戻ります)
ビニ公爵様は影とおっしゃったけれど、私は聞かなかったことにしたわ。だって、ボナデア伯母様がびっくりするような、新しい話題を私に提供してくれたのだもの。
「夕食にね、とても素敵な方を招待したのよ。世界的に有名な音楽家のケンジー・ラミラス様よ。高名なピアニストでいらっしゃるし、あの方はメドフォード王国のラミラス公爵家の三男なのよ。美しい演奏を聴かせていただいたら、楽しく皆で夕食をいただきながら、おしゃべりをしましょうね」
「ボナデア伯母様、私は恐れ多くて・・・・・・そのような方は、王城や王立オペラハウスでしか演奏なさらないでしょう?」
「一般的にはそうだわね。でも、彼はよくビニ公爵邸に遊びにくるのよ。なんてことのない日常よ。私はラミラス公爵夫人とは、親友といって良いほど仲良しですからね」
私は緊張してしまう。音楽家のケンジー様は各国を飛び回っており、シップトン王国にも、演奏のためにいらしたことがあった。けれど、私は遠くの席から拝見しただけで、直接お話をしたことはない。ボナデア伯母様と一緒にいると、今までお会いすることもできなかった方々と会えてしまう。
嬉しいけれど気後れするわ。
てっきり、玄関ホールの一角にあったサロンで、演奏を聴くのだろうと思っていた。けれど、時間が近づいてくると、私は侍女達に取り囲まれた。スザンナの指揮の下、髪は輝くように滑らかに梳かされ、頭の後ろで繊細な編み込みになっていく。小さな宝石で飾られた髪飾りが、優雅な輝きを添えた。前髪は額に少し残され、自分でいうのもなんだけれど、とても綺麗に見えた。
ドレスは光沢のある薄いシルクで仕立てられた淡いレモン色で、小さな白薔薇が幾重にも重なるように刺繍されていた。スカートの部分は少しだけ透けており、歩くたびにふわっと揺れて妖精みたい。
「ソフィはなんて可愛いのかしら! それでいて理知的でクールな印象がありますね。私の若い頃にそっくりです」
「伯母様は、今も可愛らしくてお美しいです」
「ありがとう。さぁ、そろそろパーティホールへ参りましょうか? 今日は一緒に楽しみましょうね!」
パーティホールはビニ公爵邸の中心に位置しており、エントランスから直接アクセスできる便利な場所にあった。
天井が高く広々としたお部屋で、エレガントローズ学院のダンスホールよりもさらに大きかった。
壁は白地に花模様が浮き出した美しい布が貼られていて、宝石のような輝きを放っていた。大きなシャンデリアが床の大理石に反射して光と影が踊りだすようだ。
ホールの一角にはバーも設置されていて、ドリンクやカクテルを楽しむことができた。さらに、そこには豪華なグランドピアノが2台も置かれていて、ケンジー様が奏でる素敵な音楽に酔いしれた。
この大空間で一流の音楽家の演奏を聴くことができるなんて夢のようよ。優雅な旋律がホールに響き渡る。その旋律は少しずつ変化して、軽やかで華やかな曲調になっていく。私はこの瞬間を一秒一秒大切に胸に刻み込む。ボナデア伯母様との大切な思い出として、一生忘れないわ。
ケンジー様は音楽家として世界中を飛び回っており、さまざまな国での楽しい経験を共有してくださった。夕食時にそれらのお話を聞きながら、私とボナデア伯母様にビニ公爵様は、大いに笑ったのだった。
もちろんビニ公爵家のお料理は最高だった!
☆彡 ★彡(ちょこっと、ココ視点)
お母様とヴィッキー伯母様とともに、私はブリス侯爵家の音楽会に来ていた。会場は石造り建築で、広間は高い天井だ。シャンデリアがキラキラと輝いて、床には高そうな絨毯が敷かれていた。
音楽家たちは派手な衣装に身を包み、楽器を響かせ楽しい音楽がサロンに流れた。彼らは大きなコンサートホールで演奏するほどの名声は持っていないけれどとても素敵だった。
宝石を身につけ、美味しい料理と高級ワインを楽しんだ。なんて素晴らしいの? きっと、ソフィは修道院で貧しい、なんの楽しみもない生活を送っているに違いない。
ふふっ、かわいそーー。
87
お気に入りに追加
4,624
あなたにおすすめの小説
拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜
みおな
恋愛
子爵令嬢のミリム・アデラインは、ある日婚約者の侯爵令息のランドル・デルモンドから婚約破棄をされた。
この婚約の意味も理解せずに、地味で陰気で身分も低いミリムを馬鹿にする婚約者にうんざりしていたミリムは、大喜びで婚約破棄を受け入れる。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」

婚約破棄ですか? ならば国王に溺愛されている私が断罪致します。
久方
恋愛
「エミア・ローラン! お前との婚約を破棄する!」
煌びやかな舞踏会の真っ最中に突然、婚約破棄を言い渡されたエミア・ローラン。
その理由とやらが、とてつもなくしょうもない。
だったら良いでしょう。
私が綺麗に断罪して魅せますわ!
令嬢エミア・ローランの考えた秘策とは!?

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

もう愛は冷めているのですが?
希猫 ゆうみ
恋愛
「真実の愛を見つけたから駆け落ちするよ。さよなら」
伯爵令嬢エスターは結婚式当日、婚約者のルシアンに無残にも捨てられてしまう。
3年後。
父を亡くしたエスターは令嬢ながらウィンダム伯領の領地経営を任されていた。
ある日、金髪碧眼の美形司祭マクミランがエスターを訪ねてきて言った。
「ルシアン・アトウッドの居場所を教えてください」
「え……?」
国王の命令によりエスターの元婚約者を探しているとのこと。
忘れたはずの愛しさに突き動かされ、マクミラン司祭と共にルシアンを探すエスター。
しかしルシアンとの再会で心優しいエスターの愛はついに冷め切り、完全に凍り付く。
「助けてくれエスター!僕を愛しているから探してくれたんだろう!?」
「いいえ。あなたへの愛はもう冷めています」
やがて悲しみはエスターを真実の愛へと導いていく……
◇ ◇ ◇
完結いたしました!ありがとうございました!
誤字報告のご協力にも心から感謝申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる