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(ジョディ・スープナ男爵令嬢視点)
私はメドフォード国のスープナ男爵家のジョディだ。マリエッタ様に入学してからすぐに意地悪をされた。ドレスのことについて貶されるのは本当に辛かった。スープナ男爵家はそれほど裕福ではないので、華美な装いには費用をかけてもらえない。お金に余裕があるフレンチ伯爵家のご令嬢である、マリエッタ様にはわからないのよ。
学費を出してもらえて、この伝統あるエレガントローズ学院で学べることだけでも、ありがたいことだと思っていた。けれど、マリエッタ様は着飾ることができない令嬢達を、あからさまに軽蔑していた。
傲慢で人の気持ちがわからない方は嫌いよ!
でも、面と向かってはそのようなことは言えない。このまま2年間も、マリエッタ様に嫌みを言われるのかと思うとため息ばかりがでたわ。
入学式からほぼ一ヶ月が経過したある日のこと、黒髪でグレーの瞳の賢そうな転入生が学院に入ってきた。大食堂に現れた彼女は、とても素敵なワンピースを着ていたのに、早速マリエッタ様から洗礼を受けていた。(文句を言われていた)でも、彼女は強かった。まるでマリエッタ様を歯牙にもかけない。貶されていても、柔らかく微笑んでさえいたのよ。
きっと相当な身分の方に違いない。あのワンピースの素材感は、上流階級の方が身につけるのに相応しい気品が漂っているもの。
やがて人だかりができて、ウィレミナ学院長が慌てて駆けつけてきた。そこで明かされたその方の正体に、私は喜びと興奮で胸がいっぱいになった。
救世主だわ。ビニ公爵夫人の姪御様だなんて、これ以上の高貴な生徒はここにはいない。それに、とても謙虚な方で優しいお人柄のようだった。こんな私でも声をかけていただけるのでは? そう思って期待に胸を膨らませていたわ。ところが、ソフィ様はマリエッタ様とすっかり仲良くなってしまった。
なぜなの? こちらを見て欲しい。マリエッタ様とばかりお話をするなんて・・・・・・私だって仲良くなりたいのに。
そう思っていたら、偶然マリエッタ様がソフィ様の部屋から出てくるところを目撃した。私も特別室に興味があって、開け放された扉からちらりと覗いてしまい、好奇心が勝って部屋にまで入ってしまった。クローゼットを開けると煌びやかなドレスがずらりと並んでいた。
羨ましい。こんなドレスとは永遠に無縁な私は、つい悲しくなってしまい劣等感が刺激された。気づくとローズピンクのドレスをしっかりと握りしめ過ぎて、繊細なレースの装飾部分がほつれてしまった。
どうしよう。早く逃げなきゃ・・・・・・
私は慌てて、その場を後にしたのだった。
☆彡 ★彡(アーリン・バサム子爵令嬢視点)
私はバサム子爵家のアーリン。マリエッタ様とは、ずっと親友だと自負していた。ところが、ビニ公爵夫人の姪御様が転入してきてからは、私はマリエッタ様にとっての一番ではなくなった。マリエッタ様を恨むのと同じぐらい、ソフィ様に憧れた。
ビニ公爵夫人を伯母様に持ちながら、全く鼻にかけるところがない。優しくて綺麗な方だと思った。だから、私にも、もっと話しかけていただきたいのに、マリエッタ様とばかり会話をしている。
二人とも嫌いだ。ううん、好きなのに振り向いてもらえないから、嫌いだと思い込もうとしているだけ。ほんの少しで良いから、もう少し私を気にかけて欲しい。
ある日、ジョディ様がソフィ様の部屋から出てくるのを目撃してしまった。興味を覚えて、つい私もそこに入ってしまう。レース部分がほつれたダンス用ドレスがクローゼットの床に落ちていた。
きっとジョディ様の仕業だわ。だったら、私も少しだけ破いても良いわよね。・・・・・・いつもマリエッタ様にばかり話しかける罰よ。
ソフィ様に憧れているはずなのに、ソフィ様のドレスを裂いている私。矛盾だらけの自分に嫌悪感を抱きながらも、どこかせいせいとした気持ちでその場を後にした。
☆彡 ★彡(ヘレン視点)
とても面白いものを見てしまったわ。ソフィ様のお部屋に3人もの令嬢が入っていくのを見てしまったのよ。私は周囲を見回して慎重に部屋に侵入し、少しだけ破かれたドレスをさらにメタメタに切り裂いた。そうして・・・・・・
私はメドフォード国のスープナ男爵家のジョディだ。マリエッタ様に入学してからすぐに意地悪をされた。ドレスのことについて貶されるのは本当に辛かった。スープナ男爵家はそれほど裕福ではないので、華美な装いには費用をかけてもらえない。お金に余裕があるフレンチ伯爵家のご令嬢である、マリエッタ様にはわからないのよ。
学費を出してもらえて、この伝統あるエレガントローズ学院で学べることだけでも、ありがたいことだと思っていた。けれど、マリエッタ様は着飾ることができない令嬢達を、あからさまに軽蔑していた。
傲慢で人の気持ちがわからない方は嫌いよ!
でも、面と向かってはそのようなことは言えない。このまま2年間も、マリエッタ様に嫌みを言われるのかと思うとため息ばかりがでたわ。
入学式からほぼ一ヶ月が経過したある日のこと、黒髪でグレーの瞳の賢そうな転入生が学院に入ってきた。大食堂に現れた彼女は、とても素敵なワンピースを着ていたのに、早速マリエッタ様から洗礼を受けていた。(文句を言われていた)でも、彼女は強かった。まるでマリエッタ様を歯牙にもかけない。貶されていても、柔らかく微笑んでさえいたのよ。
きっと相当な身分の方に違いない。あのワンピースの素材感は、上流階級の方が身につけるのに相応しい気品が漂っているもの。
やがて人だかりができて、ウィレミナ学院長が慌てて駆けつけてきた。そこで明かされたその方の正体に、私は喜びと興奮で胸がいっぱいになった。
救世主だわ。ビニ公爵夫人の姪御様だなんて、これ以上の高貴な生徒はここにはいない。それに、とても謙虚な方で優しいお人柄のようだった。こんな私でも声をかけていただけるのでは? そう思って期待に胸を膨らませていたわ。ところが、ソフィ様はマリエッタ様とすっかり仲良くなってしまった。
なぜなの? こちらを見て欲しい。マリエッタ様とばかりお話をするなんて・・・・・・私だって仲良くなりたいのに。
そう思っていたら、偶然マリエッタ様がソフィ様の部屋から出てくるところを目撃した。私も特別室に興味があって、開け放された扉からちらりと覗いてしまい、好奇心が勝って部屋にまで入ってしまった。クローゼットを開けると煌びやかなドレスがずらりと並んでいた。
羨ましい。こんなドレスとは永遠に無縁な私は、つい悲しくなってしまい劣等感が刺激された。気づくとローズピンクのドレスをしっかりと握りしめ過ぎて、繊細なレースの装飾部分がほつれてしまった。
どうしよう。早く逃げなきゃ・・・・・・
私は慌てて、その場を後にしたのだった。
☆彡 ★彡(アーリン・バサム子爵令嬢視点)
私はバサム子爵家のアーリン。マリエッタ様とは、ずっと親友だと自負していた。ところが、ビニ公爵夫人の姪御様が転入してきてからは、私はマリエッタ様にとっての一番ではなくなった。マリエッタ様を恨むのと同じぐらい、ソフィ様に憧れた。
ビニ公爵夫人を伯母様に持ちながら、全く鼻にかけるところがない。優しくて綺麗な方だと思った。だから、私にも、もっと話しかけていただきたいのに、マリエッタ様とばかり会話をしている。
二人とも嫌いだ。ううん、好きなのに振り向いてもらえないから、嫌いだと思い込もうとしているだけ。ほんの少しで良いから、もう少し私を気にかけて欲しい。
ある日、ジョディ様がソフィ様の部屋から出てくるのを目撃してしまった。興味を覚えて、つい私もそこに入ってしまう。レース部分がほつれたダンス用ドレスがクローゼットの床に落ちていた。
きっとジョディ様の仕業だわ。だったら、私も少しだけ破いても良いわよね。・・・・・・いつもマリエッタ様にばかり話しかける罰よ。
ソフィ様に憧れているはずなのに、ソフィ様のドレスを裂いている私。矛盾だらけの自分に嫌悪感を抱きながらも、どこかせいせいとした気持ちでその場を後にした。
☆彡 ★彡(ヘレン視点)
とても面白いものを見てしまったわ。ソフィ様のお部屋に3人もの令嬢が入っていくのを見てしまったのよ。私は周囲を見回して慎重に部屋に侵入し、少しだけ破かれたドレスをさらにメタメタに切り裂いた。そうして・・・・・・
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