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19 滑稽な夫ワトキン ざまぁ
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ここはファーガソン画廊で私が画家のマリアンだと、ファーガソン画廊のオーナー夫妻が証言してくださった。
「この方がマリアン画伯ですよ。これからますます有名になる大変才能溢れる方です」
「酷いじゃない。なんで黙っていたのよ」
テレーザが私に文句を言う。
「酷いかしら? テレーザだって隠していた事がたくさんあるでしょう?」
私はあの廊下で聞いた二人の会話を指摘した。テレーザは否定し続けたけれど、誰も信じなかった。
「わたしはとんだまぬけだったよ。妻のテレーザには不貞を犯した者に課される罰をすべて受けてもらい、離縁の契約書を私も提出する。慰謝料も当然請求するからそのつもりでいろ」
「ち、違う。私はむりやりワトキンに迫られたのよ。そうよ、そうだったわ。すべてワトキンのせいなのよ」
そんな言葉を言い終わらないうちに、当の本人がこのファーガソン画廊に姿を現した。
「ワトキン、なんでここに来たのよ?」
テレーザが迷惑そうに顔を歪めた。
「さきほどノースカット画廊にファーガソン画廊から使いが来たんだ。今話題のマリアンさんに会わせてくれる、というから急いで来たんだよ。マリアン画伯はどちらにいらっしゃるのですか? 是非ノースカット画廊でも絵画を扱わせていただきたいと思いまして」
「ぷっ。あっはははは」
私は心底おかしくて思わず笑ってしまった。だって、今まで私の存在を軽視しバカにしてきた夫のワトキンが、私に頭をさげようとしてマリアンという画家を探している。広い画廊内の展示コーナーを、駆けずり回っている様子が滑稽すぎた。
「マリアン画伯なら君の目の前にいるよ。君の妻のマリアンさんだ。というか、妻だった、と言ったほうがいいかもしれないな」
エミール様が軽蔑の眼差しを夫のワトキンに向けた。ワトキンが信じられない顔をして私を見つめる。口をぽかんと開けてあり得ないほど目を見開いていた。
「私はノースカット画廊には今もこの先もずっと自分の作品を扱わせることはありません。ノースカット画廊にだけはどんなことがあっても関わることはもう二度とないわ」
「へ? マリアンがあのマリアン画伯? とっ、とにかく、僕達は夫婦だよね。だからこれから冷静に話し合おうじゃないか?」
「いいえ、もう夫婦ではないわ。不貞の証拠があるから離婚の契約書を提出すれば、すぐに離縁の許可がおりますもの」
そうしてワトキンにもそのペーパーウエイトに録音された音声を聞かせた。それを聞きながらも微妙な面持ちでテレーゼを見ていたワトキン。
「テレーゼ? どうしたんだい? 今日はずいぶんと印象が違うなぁ。なんていうか・・・・・・マリアンの方がずっと綺麗なのだが」
初めて気づいたというように口を滑らせる。
「はぁ? 私の方が千倍も綺麗で可愛いって言ってくれたじゃないよ? こんの大嘘つきめっ! 何度も私と愛し合ったくせに」
思いがけないワトキンの発言にテレーゼは墓穴を掘っていた。そうしてスタインフェルド男爵はキッパリと宣言した。
「テレーザとワトキンを訴える。わたしとマリアン義姉さんを裏切った罰はちゃんとうけるべきだよ。つまりは罪を書いたプラカードをかけて、王都をまんべんなく歩くんだ。ムチを打つとか他にもいろいろ希望すれば、このケースだと許可はおりそうですがどうしますか?」
私に訊いてくるスタインフェルド男爵の瞳が狂気に満ちていた。
「私はムチ打ちなどの刑は望みませんわ。でも、これから街を歩くのが恥ずかしい程度の罰は必要だと思います」
私には輝かしい未来と希望があるのだから済んだことは忘れよう。自分を裏切った人間達に執着はしない。もうどうでも良い人達だ。それより感謝できる人達に、信頼できる人達にシフトを移そう。この世界は広くて素晴らしい可能性に満ちているのだから。
「こんなのおかしいわ。ちょっと、なんで皆私の言うことを聞かないわけぇ? 皆、聞きなさいよぉ。お姉様が皆仕組んだのね。酷い、お姉様って最低だわ」
テレーザがそう言ったが早いか、やっぱり頭の上からたくさんの水が頭に降り注いだ。その後しばらくして、焦点が合っていない目で、今までのことをぺらぺらと白状し始めたテレーゼ。
その頃には文化遺産保護・芸術振興大臣のアンドレアス第三王子殿下もこのファーガソン画廊に到着していた。テレーザの自白を聞いた証人は私にスタインフェルド男爵、スネイプ侯爵夫妻に、エミール様にアンドレアス第三王子殿下にファーガソン画廊オーナー夫妻。
これだけの証人の前で、テレーゼはたくさんの自白をしていった。ガラス玉を手に入れてから人生が変わったこと。ワトキンとは以前から恋人同士で、スタインフェルド男爵家の跡取りを二人の子供にしようと相談していたこと。私に優しいふりをしてずっと騙していたこと等など。思ったよりもずっと酷い内容にその場にいる人達は全員顔を歪めた。ワトキン以外は。
ファーガソン画廊のエバリンさんの手には自白剤と書いてある小瓶が握られていた。私がエバリンさんの手元を見ていると、エバリンさんはそれをこっそりソファの隙間に隠し、にっこりと微笑みながら口元に人差し指をあてる。
「この小瓶と猫の魔法はナイショよ。きっとそのガラス玉は魔道具ね。そのお婆さんは魔女だったのよ。ガラス玉は魅力を増幅させるものだと思うわ。」
小さなささやき声に私はうなづいた。横にいたリンがにやぁーんと鳴き、息子のザカライアはリンの尻尾を目で追ってキャッキャと笑ったのだった。
「この方がマリアン画伯ですよ。これからますます有名になる大変才能溢れる方です」
「酷いじゃない。なんで黙っていたのよ」
テレーザが私に文句を言う。
「酷いかしら? テレーザだって隠していた事がたくさんあるでしょう?」
私はあの廊下で聞いた二人の会話を指摘した。テレーザは否定し続けたけれど、誰も信じなかった。
「わたしはとんだまぬけだったよ。妻のテレーザには不貞を犯した者に課される罰をすべて受けてもらい、離縁の契約書を私も提出する。慰謝料も当然請求するからそのつもりでいろ」
「ち、違う。私はむりやりワトキンに迫られたのよ。そうよ、そうだったわ。すべてワトキンのせいなのよ」
そんな言葉を言い終わらないうちに、当の本人がこのファーガソン画廊に姿を現した。
「ワトキン、なんでここに来たのよ?」
テレーザが迷惑そうに顔を歪めた。
「さきほどノースカット画廊にファーガソン画廊から使いが来たんだ。今話題のマリアンさんに会わせてくれる、というから急いで来たんだよ。マリアン画伯はどちらにいらっしゃるのですか? 是非ノースカット画廊でも絵画を扱わせていただきたいと思いまして」
「ぷっ。あっはははは」
私は心底おかしくて思わず笑ってしまった。だって、今まで私の存在を軽視しバカにしてきた夫のワトキンが、私に頭をさげようとしてマリアンという画家を探している。広い画廊内の展示コーナーを、駆けずり回っている様子が滑稽すぎた。
「マリアン画伯なら君の目の前にいるよ。君の妻のマリアンさんだ。というか、妻だった、と言ったほうがいいかもしれないな」
エミール様が軽蔑の眼差しを夫のワトキンに向けた。ワトキンが信じられない顔をして私を見つめる。口をぽかんと開けてあり得ないほど目を見開いていた。
「私はノースカット画廊には今もこの先もずっと自分の作品を扱わせることはありません。ノースカット画廊にだけはどんなことがあっても関わることはもう二度とないわ」
「へ? マリアンがあのマリアン画伯? とっ、とにかく、僕達は夫婦だよね。だからこれから冷静に話し合おうじゃないか?」
「いいえ、もう夫婦ではないわ。不貞の証拠があるから離婚の契約書を提出すれば、すぐに離縁の許可がおりますもの」
そうしてワトキンにもそのペーパーウエイトに録音された音声を聞かせた。それを聞きながらも微妙な面持ちでテレーゼを見ていたワトキン。
「テレーゼ? どうしたんだい? 今日はずいぶんと印象が違うなぁ。なんていうか・・・・・・マリアンの方がずっと綺麗なのだが」
初めて気づいたというように口を滑らせる。
「はぁ? 私の方が千倍も綺麗で可愛いって言ってくれたじゃないよ? こんの大嘘つきめっ! 何度も私と愛し合ったくせに」
思いがけないワトキンの発言にテレーゼは墓穴を掘っていた。そうしてスタインフェルド男爵はキッパリと宣言した。
「テレーザとワトキンを訴える。わたしとマリアン義姉さんを裏切った罰はちゃんとうけるべきだよ。つまりは罪を書いたプラカードをかけて、王都をまんべんなく歩くんだ。ムチを打つとか他にもいろいろ希望すれば、このケースだと許可はおりそうですがどうしますか?」
私に訊いてくるスタインフェルド男爵の瞳が狂気に満ちていた。
「私はムチ打ちなどの刑は望みませんわ。でも、これから街を歩くのが恥ずかしい程度の罰は必要だと思います」
私には輝かしい未来と希望があるのだから済んだことは忘れよう。自分を裏切った人間達に執着はしない。もうどうでも良い人達だ。それより感謝できる人達に、信頼できる人達にシフトを移そう。この世界は広くて素晴らしい可能性に満ちているのだから。
「こんなのおかしいわ。ちょっと、なんで皆私の言うことを聞かないわけぇ? 皆、聞きなさいよぉ。お姉様が皆仕組んだのね。酷い、お姉様って最低だわ」
テレーザがそう言ったが早いか、やっぱり頭の上からたくさんの水が頭に降り注いだ。その後しばらくして、焦点が合っていない目で、今までのことをぺらぺらと白状し始めたテレーゼ。
その頃には文化遺産保護・芸術振興大臣のアンドレアス第三王子殿下もこのファーガソン画廊に到着していた。テレーザの自白を聞いた証人は私にスタインフェルド男爵、スネイプ侯爵夫妻に、エミール様にアンドレアス第三王子殿下にファーガソン画廊オーナー夫妻。
これだけの証人の前で、テレーゼはたくさんの自白をしていった。ガラス玉を手に入れてから人生が変わったこと。ワトキンとは以前から恋人同士で、スタインフェルド男爵家の跡取りを二人の子供にしようと相談していたこと。私に優しいふりをしてずっと騙していたこと等など。思ったよりもずっと酷い内容にその場にいる人達は全員顔を歪めた。ワトキン以外は。
ファーガソン画廊のエバリンさんの手には自白剤と書いてある小瓶が握られていた。私がエバリンさんの手元を見ていると、エバリンさんはそれをこっそりソファの隙間に隠し、にっこりと微笑みながら口元に人差し指をあてる。
「この小瓶と猫の魔法はナイショよ。きっとそのガラス玉は魔道具ね。そのお婆さんは魔女だったのよ。ガラス玉は魅力を増幅させるものだと思うわ。」
小さなささやき声に私はうなづいた。横にいたリンがにやぁーんと鳴き、息子のザカライアはリンの尻尾を目で追ってキャッキャと笑ったのだった。
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