6 / 7
6 アグスティン国の滅亡 R15
しおりを挟む
ꕤ୭*真聖女視点
「まずはそこのアグスティン国の城までたどり着けるのかもわかりません。国中のあちらこちらに魔獣がおり大発生しているのでしょう? 無茶なことをおっしゃらないでください」
私は冷静さを取り戻し、もっともらしい理由を探し出す。行かなくて済むように言いくるめなければならないわ。
「あぁ、それならこの私が魔法陣を描いて真聖女様をあちらの城に移転させましょう」
声の主を見ればあの役立たずの客人だ。
「そんなことができるなら、今すぐやってもらいましょうか? できないことを偉そうに言うだけの無能のくせに!」
「はい! お待ちくださいませぇーー」
その王宮の無能な居候はさっさと魔方陣を床に描くと、私をそこに立たせなにやらブツブツ唱えだした。
「ふん、変わりはない? ・・・・・・ここ、どこよ?」
「おぉーー!! お待ちしておりました! ようこそ、我がアグスティン国へ」
ひざまずく神官達の傍らには、その服装から王太子夫妻と思われる男女が涙ぐみながら感激していた。
「早く、お願いします! もうすでに王城の門は破られそうです。どんどん増殖する一方です!あれは同化型魔獣です! 噛まれると私達も魔獣化します」
――ひゃぁーー!! そんなの絶対、無理!!
ꕤ୭*ハニワ王太子妃視点
「お前は偽物なのか? よくも私を騙したな!・・・・・・」
そんなこと今更言っても遅すぎだわよ・・・・・・
ーーあの追い出したアネットこそ、きっと本物の大聖女様だったに違いない。大聖女よ! だったらなぜ間違いを指摘しなかった? 逃げるのではなく力をここで証明すれば良かったじゃないの? 大聖女の力を持ちながら、さっさと出ていったアネットが悪いのに。
結局エジラプト国に助けを求めた結果、真聖女なる強大な力を持つ女性が来ることになって私達はひとまず安心していた。
いきなり神殿にボワンっと現れた真聖女様に、神官の中には気絶した者もいたぐらいだ。これは移転魔法? このような術が使える聖女はこの国には一人もいない。流石は真聖女様だ。
エジラプト国の真聖女様は青白い顔の、とても美しい女性だった。顔色だけは悪いがそれさえなければたいした美女だ。
「どうぞ、お助けくださいませ! この城は取り囲まれて今まさに門をこじ開け侵入されるところです」
私の言葉にもなんの反応もしない真聖女様。
いよいよ魔獣どもが侵入し神官達を食い荒し、食われた神官も魔獣に成りさがる。このような地獄絵図をこの真聖女は震えながら見ているだけだ。
「何をしているのです! 早くやっつけてくださいよ! その為に来たのでしょう?」
「わ、わかってるわよぉーー!! 魔獣よ! 去れ! 消滅! 消去! 削除!・・・・・・あっちに行け! 来るな! ちっくしょーー! 来るなぁ~~」
めちゃくちゃに叫び逃げまどい、すでに魔獣に何カ所も噛みつかれている。
――なに? あれ、私よりポンコツじゃない!!
「魔獣よぉ! 去れぇ~~!! 嫌ぁ~~!! 助けてぇ~~!!」
私も同じように叫び声をあげ・・・・・・
「まずはそこのアグスティン国の城までたどり着けるのかもわかりません。国中のあちらこちらに魔獣がおり大発生しているのでしょう? 無茶なことをおっしゃらないでください」
私は冷静さを取り戻し、もっともらしい理由を探し出す。行かなくて済むように言いくるめなければならないわ。
「あぁ、それならこの私が魔法陣を描いて真聖女様をあちらの城に移転させましょう」
声の主を見ればあの役立たずの客人だ。
「そんなことができるなら、今すぐやってもらいましょうか? できないことを偉そうに言うだけの無能のくせに!」
「はい! お待ちくださいませぇーー」
その王宮の無能な居候はさっさと魔方陣を床に描くと、私をそこに立たせなにやらブツブツ唱えだした。
「ふん、変わりはない? ・・・・・・ここ、どこよ?」
「おぉーー!! お待ちしておりました! ようこそ、我がアグスティン国へ」
ひざまずく神官達の傍らには、その服装から王太子夫妻と思われる男女が涙ぐみながら感激していた。
「早く、お願いします! もうすでに王城の門は破られそうです。どんどん増殖する一方です!あれは同化型魔獣です! 噛まれると私達も魔獣化します」
――ひゃぁーー!! そんなの絶対、無理!!
ꕤ୭*ハニワ王太子妃視点
「お前は偽物なのか? よくも私を騙したな!・・・・・・」
そんなこと今更言っても遅すぎだわよ・・・・・・
ーーあの追い出したアネットこそ、きっと本物の大聖女様だったに違いない。大聖女よ! だったらなぜ間違いを指摘しなかった? 逃げるのではなく力をここで証明すれば良かったじゃないの? 大聖女の力を持ちながら、さっさと出ていったアネットが悪いのに。
結局エジラプト国に助けを求めた結果、真聖女なる強大な力を持つ女性が来ることになって私達はひとまず安心していた。
いきなり神殿にボワンっと現れた真聖女様に、神官の中には気絶した者もいたぐらいだ。これは移転魔法? このような術が使える聖女はこの国には一人もいない。流石は真聖女様だ。
エジラプト国の真聖女様は青白い顔の、とても美しい女性だった。顔色だけは悪いがそれさえなければたいした美女だ。
「どうぞ、お助けくださいませ! この城は取り囲まれて今まさに門をこじ開け侵入されるところです」
私の言葉にもなんの反応もしない真聖女様。
いよいよ魔獣どもが侵入し神官達を食い荒し、食われた神官も魔獣に成りさがる。このような地獄絵図をこの真聖女は震えながら見ているだけだ。
「何をしているのです! 早くやっつけてくださいよ! その為に来たのでしょう?」
「わ、わかってるわよぉーー!! 魔獣よ! 去れ! 消滅! 消去! 削除!・・・・・・あっちに行け! 来るな! ちっくしょーー! 来るなぁ~~」
めちゃくちゃに叫び逃げまどい、すでに魔獣に何カ所も噛みつかれている。
――なに? あれ、私よりポンコツじゃない!!
「魔獣よぉ! 去れぇ~~!! 嫌ぁ~~!! 助けてぇ~~!!」
私も同じように叫び声をあげ・・・・・・
32
お気に入りに追加
1,104
あなたにおすすめの小説

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?
みおな
ファンタジー
私の妹は、聖女と呼ばれている。
妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。
聖女は一世代にひとりしか現れない。
だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。
「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」
あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら?
それに妹フロラリアはシスコンですわよ?
この国、滅びないとよろしいわね?

聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──
naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。
昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。
そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。
そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。

【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?
仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。
そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。
「出来の悪い妹で恥ずかしい」
「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」
そう言ってましたよね?
ある日、聖王国に神のお告げがあった。
この世界のどこかに聖女が誕生していたと。
「うちの娘のどちらかに違いない」
喜ぶ両親と姉妹。
しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。
因果応報なお話(笑)
今回は、一人称です。

ええ。私もあなたの事が嫌いです。 それではさようなら。
月華
ファンタジー
皆さんはじめまして。月華です。はじめてなので至らない点もありますが良い点も悪い点も教えてくだされば光栄です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「エレンベール・オーラリー!貴様との婚約を破棄する!」…皆さんこんにちは。オーラリー公爵令嬢のエレンベールです。今日は王立学園の卒業パーティーなのですが、ここロンド王国の第二王子のラスク王子殿下が見たこともない女の人をエスコートしてパーティー会場に来られたらこんな事になりました。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる