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6 アグスティン国の滅亡 R15
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ꕤ୭*真聖女視点
「まずはそこのアグスティン国の城までたどり着けるのかもわかりません。国中のあちらこちらに魔獣がおり大発生しているのでしょう? 無茶なことをおっしゃらないでください」
私は冷静さを取り戻し、もっともらしい理由を探し出す。行かなくて済むように言いくるめなければならないわ。
「あぁ、それならこの私が魔法陣を描いて真聖女様をあちらの城に移転させましょう」
声の主を見ればあの役立たずの客人だ。
「そんなことができるなら、今すぐやってもらいましょうか? できないことを偉そうに言うだけの無能のくせに!」
「はい! お待ちくださいませぇーー」
その王宮の無能な居候はさっさと魔方陣を床に描くと、私をそこに立たせなにやらブツブツ唱えだした。
「ふん、変わりはない? ・・・・・・ここ、どこよ?」
「おぉーー!! お待ちしておりました! ようこそ、我がアグスティン国へ」
ひざまずく神官達の傍らには、その服装から王太子夫妻と思われる男女が涙ぐみながら感激していた。
「早く、お願いします! もうすでに王城の門は破られそうです。どんどん増殖する一方です!あれは同化型魔獣です! 噛まれると私達も魔獣化します」
――ひゃぁーー!! そんなの絶対、無理!!
ꕤ୭*ハニワ王太子妃視点
「お前は偽物なのか? よくも私を騙したな!・・・・・・」
そんなこと今更言っても遅すぎだわよ・・・・・・
ーーあの追い出したアネットこそ、きっと本物の大聖女様だったに違いない。大聖女よ! だったらなぜ間違いを指摘しなかった? 逃げるのではなく力をここで証明すれば良かったじゃないの? 大聖女の力を持ちながら、さっさと出ていったアネットが悪いのに。
結局エジラプト国に助けを求めた結果、真聖女なる強大な力を持つ女性が来ることになって私達はひとまず安心していた。
いきなり神殿にボワンっと現れた真聖女様に、神官の中には気絶した者もいたぐらいだ。これは移転魔法? このような術が使える聖女はこの国には一人もいない。流石は真聖女様だ。
エジラプト国の真聖女様は青白い顔の、とても美しい女性だった。顔色だけは悪いがそれさえなければたいした美女だ。
「どうぞ、お助けくださいませ! この城は取り囲まれて今まさに門をこじ開け侵入されるところです」
私の言葉にもなんの反応もしない真聖女様。
いよいよ魔獣どもが侵入し神官達を食い荒し、食われた神官も魔獣に成りさがる。このような地獄絵図をこの真聖女は震えながら見ているだけだ。
「何をしているのです! 早くやっつけてくださいよ! その為に来たのでしょう?」
「わ、わかってるわよぉーー!! 魔獣よ! 去れ! 消滅! 消去! 削除!・・・・・・あっちに行け! 来るな! ちっくしょーー! 来るなぁ~~」
めちゃくちゃに叫び逃げまどい、すでに魔獣に何カ所も噛みつかれている。
――なに? あれ、私よりポンコツじゃない!!
「魔獣よぉ! 去れぇ~~!! 嫌ぁ~~!! 助けてぇ~~!!」
私も同じように叫び声をあげ・・・・・・
「まずはそこのアグスティン国の城までたどり着けるのかもわかりません。国中のあちらこちらに魔獣がおり大発生しているのでしょう? 無茶なことをおっしゃらないでください」
私は冷静さを取り戻し、もっともらしい理由を探し出す。行かなくて済むように言いくるめなければならないわ。
「あぁ、それならこの私が魔法陣を描いて真聖女様をあちらの城に移転させましょう」
声の主を見ればあの役立たずの客人だ。
「そんなことができるなら、今すぐやってもらいましょうか? できないことを偉そうに言うだけの無能のくせに!」
「はい! お待ちくださいませぇーー」
その王宮の無能な居候はさっさと魔方陣を床に描くと、私をそこに立たせなにやらブツブツ唱えだした。
「ふん、変わりはない? ・・・・・・ここ、どこよ?」
「おぉーー!! お待ちしておりました! ようこそ、我がアグスティン国へ」
ひざまずく神官達の傍らには、その服装から王太子夫妻と思われる男女が涙ぐみながら感激していた。
「早く、お願いします! もうすでに王城の門は破られそうです。どんどん増殖する一方です!あれは同化型魔獣です! 噛まれると私達も魔獣化します」
――ひゃぁーー!! そんなの絶対、無理!!
ꕤ୭*ハニワ王太子妃視点
「お前は偽物なのか? よくも私を騙したな!・・・・・・」
そんなこと今更言っても遅すぎだわよ・・・・・・
ーーあの追い出したアネットこそ、きっと本物の大聖女様だったに違いない。大聖女よ! だったらなぜ間違いを指摘しなかった? 逃げるのではなく力をここで証明すれば良かったじゃないの? 大聖女の力を持ちながら、さっさと出ていったアネットが悪いのに。
結局エジラプト国に助けを求めた結果、真聖女なる強大な力を持つ女性が来ることになって私達はひとまず安心していた。
いきなり神殿にボワンっと現れた真聖女様に、神官の中には気絶した者もいたぐらいだ。これは移転魔法? このような術が使える聖女はこの国には一人もいない。流石は真聖女様だ。
エジラプト国の真聖女様は青白い顔の、とても美しい女性だった。顔色だけは悪いがそれさえなければたいした美女だ。
「どうぞ、お助けくださいませ! この城は取り囲まれて今まさに門をこじ開け侵入されるところです」
私の言葉にもなんの反応もしない真聖女様。
いよいよ魔獣どもが侵入し神官達を食い荒し、食われた神官も魔獣に成りさがる。このような地獄絵図をこの真聖女は震えながら見ているだけだ。
「何をしているのです! 早くやっつけてくださいよ! その為に来たのでしょう?」
「わ、わかってるわよぉーー!! 魔獣よ! 去れ! 消滅! 消去! 削除!・・・・・・あっちに行け! 来るな! ちっくしょーー! 来るなぁ~~」
めちゃくちゃに叫び逃げまどい、すでに魔獣に何カ所も噛みつかれている。
――なに? あれ、私よりポンコツじゃない!!
「魔獣よぉ! 去れぇ~~!! 嫌ぁ~~!! 助けてぇ~~!!」
私も同じように叫び声をあげ・・・・・・
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