5 / 7
5 爽やかフィリップ様は腹黒王太子?
しおりを挟む
ꕤ୭*アネット視点
「あのぉ、『私の国』と言うからにはあなた様はもしや・・・・・・」
「そう! エジラプトの王太子だよ。ところでこの魔獣は美味しいなあ。このように食べられるのなら殺した魔獣も無駄にはならないね?」
「えぇ、どんな魔獣も毒抜きさえすれば食べられますからね」
「その毒抜きとやらは誰でもできるかい?」
「さぁ・・・・・・できないとは思いますが・・・・・・」
「ならば、貴女こそは伝説の大聖女様だ。是非、我が国の神殿でトップとして・・・・・・」
「いえいえ、それだけは嫌です! お願いがあります。私を大聖女様だと持ち上げないでください。できれば聖女とも呼ばれたくありません」
「変わってるね? エジラプト国では魔力がなくてもあるように装う者が後を絶たないよ。でも、良い考えだ。君は私の国では魔力のない普通の女性として暮せばいいよ。手柄はみんな真聖女のものとする」
だから私は『王太子殿下と騎士達を森でたまたま手当てした恩人』として王宮に住まわせてもらい、魔獣がこの国に現れると遠隔操作でやっつけた。これは最近会得した技術で、その場にいなくても魔獣を退治できたから便利だった。
そして真聖女は私が倒した魔獣を『私が倒しました!』と得意気に自慢し、ことあるごとに私をこき下ろした。
「なぜ、あの森でたまたま薬草を湿布し手当をしただけの無能な女が、客人としてもてなされるのでしょうねぇ? なんの能力もないくせに!」
「そうですね。申し訳ありません」
私は素直にそこは謝った。エジラプトの聖女達は皆この真聖女を怖がっている。一度、他の聖女を脅すのを神殿の庭園で見かけたことがあった。
「この私より目立つ力を出すんじゃないわよ! 私が霞むでしょうが! またやったらただじゃおかないんだから!」
凄まじい怒気は聖なる力よりも大きいので、あの真聖女はどちらかというと闇女だ。負のエネルギーは魔獣の好物なのに・・・・・・
私が退治したり張り巡らした結界は、全て真聖女のしたことと賞賛されエジラプト国からは勲章が彼女に贈られたのだった。
「ふん! 勲章を持った聖女の言葉を王太子殿下もお聞きになるべきですわ。そこの女を即刻宮殿から追い出してください! なぜなら王宮に住みゆくゆくは王太子妃になるのは、この私以外にいないでしょう?」
「うん。そうだね! ならば、その前に未来の王太子妃として外交をしてきてほしい。隣国アグスティン国のカール王太子殿下から応援の要請が入っている。強力な力を持つ聖女様に来ていただきたいとのことだ。未来の私の妻よ! さぁ、行ってくるがいい!」
「ほぇ? ちょ、ちょっとお待ちを! あそこは魔獣が大量発生し今や国の存続の危機だとか・・・・・・そんなところに行けば死んでしまいます!」
「あぁ、並みの聖女であれば死ぬ。しかし、あなたは大聖女様なのだろう? 今までの素晴らしい功績も全てあなたがしたことなのだろう? 私の恩人を王宮から追い出そうとするぐらいのお偉い聖女様だ。さぁ、行くがいい!」
「ひ、ひぇーー!! 嫌です!! いやでづぅーー」
「黙れ! これは王命でもある。病に伏している父上がさきほどおっしゃった言葉である。『大聖女様ならば全ての魔獣も一瞬で退治できよう! 今すぐ行くのが大聖女の勤めである!』と!」
ꕤ୭*カール・アグスティン王太子視点をちょこっと
押し寄せる魔獣に城を囲まれ、神殿の聖女はなにも役に立たない。ハニワは泣き叫びか弱い声で呪文を唱えるが、なにも効かないではないか!
「お前は偽物なのか? よくも私を騙したな! だったら誰が本物だったんだ? ここにはまともに力を使える聖女など一人もいないではないか!」
ーーまさか・・・・・・あの追放した冴えない女が・・・・・・そんなはずはない・・・・・・・
私は隣国、エジラプト国に助けを求めた。返事はすぐ来た。良かった!
我がエジラプト国の真聖女様を向かわせております。ご安心ください。これで、万事うまくいきます。邪悪な者は一掃できるでしょう。
「あのぉ、『私の国』と言うからにはあなた様はもしや・・・・・・」
「そう! エジラプトの王太子だよ。ところでこの魔獣は美味しいなあ。このように食べられるのなら殺した魔獣も無駄にはならないね?」
「えぇ、どんな魔獣も毒抜きさえすれば食べられますからね」
「その毒抜きとやらは誰でもできるかい?」
「さぁ・・・・・・できないとは思いますが・・・・・・」
「ならば、貴女こそは伝説の大聖女様だ。是非、我が国の神殿でトップとして・・・・・・」
「いえいえ、それだけは嫌です! お願いがあります。私を大聖女様だと持ち上げないでください。できれば聖女とも呼ばれたくありません」
「変わってるね? エジラプト国では魔力がなくてもあるように装う者が後を絶たないよ。でも、良い考えだ。君は私の国では魔力のない普通の女性として暮せばいいよ。手柄はみんな真聖女のものとする」
だから私は『王太子殿下と騎士達を森でたまたま手当てした恩人』として王宮に住まわせてもらい、魔獣がこの国に現れると遠隔操作でやっつけた。これは最近会得した技術で、その場にいなくても魔獣を退治できたから便利だった。
そして真聖女は私が倒した魔獣を『私が倒しました!』と得意気に自慢し、ことあるごとに私をこき下ろした。
「なぜ、あの森でたまたま薬草を湿布し手当をしただけの無能な女が、客人としてもてなされるのでしょうねぇ? なんの能力もないくせに!」
「そうですね。申し訳ありません」
私は素直にそこは謝った。エジラプトの聖女達は皆この真聖女を怖がっている。一度、他の聖女を脅すのを神殿の庭園で見かけたことがあった。
「この私より目立つ力を出すんじゃないわよ! 私が霞むでしょうが! またやったらただじゃおかないんだから!」
凄まじい怒気は聖なる力よりも大きいので、あの真聖女はどちらかというと闇女だ。負のエネルギーは魔獣の好物なのに・・・・・・
私が退治したり張り巡らした結界は、全て真聖女のしたことと賞賛されエジラプト国からは勲章が彼女に贈られたのだった。
「ふん! 勲章を持った聖女の言葉を王太子殿下もお聞きになるべきですわ。そこの女を即刻宮殿から追い出してください! なぜなら王宮に住みゆくゆくは王太子妃になるのは、この私以外にいないでしょう?」
「うん。そうだね! ならば、その前に未来の王太子妃として外交をしてきてほしい。隣国アグスティン国のカール王太子殿下から応援の要請が入っている。強力な力を持つ聖女様に来ていただきたいとのことだ。未来の私の妻よ! さぁ、行ってくるがいい!」
「ほぇ? ちょ、ちょっとお待ちを! あそこは魔獣が大量発生し今や国の存続の危機だとか・・・・・・そんなところに行けば死んでしまいます!」
「あぁ、並みの聖女であれば死ぬ。しかし、あなたは大聖女様なのだろう? 今までの素晴らしい功績も全てあなたがしたことなのだろう? 私の恩人を王宮から追い出そうとするぐらいのお偉い聖女様だ。さぁ、行くがいい!」
「ひ、ひぇーー!! 嫌です!! いやでづぅーー」
「黙れ! これは王命でもある。病に伏している父上がさきほどおっしゃった言葉である。『大聖女様ならば全ての魔獣も一瞬で退治できよう! 今すぐ行くのが大聖女の勤めである!』と!」
ꕤ୭*カール・アグスティン王太子視点をちょこっと
押し寄せる魔獣に城を囲まれ、神殿の聖女はなにも役に立たない。ハニワは泣き叫びか弱い声で呪文を唱えるが、なにも効かないではないか!
「お前は偽物なのか? よくも私を騙したな! だったら誰が本物だったんだ? ここにはまともに力を使える聖女など一人もいないではないか!」
ーーまさか・・・・・・あの追放した冴えない女が・・・・・・そんなはずはない・・・・・・・
私は隣国、エジラプト国に助けを求めた。返事はすぐ来た。良かった!
我がエジラプト国の真聖女様を向かわせております。ご安心ください。これで、万事うまくいきます。邪悪な者は一掃できるでしょう。
33
お気に入りに追加
1,104
あなたにおすすめの小説
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?
みおな
ファンタジー
私の妹は、聖女と呼ばれている。
妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。
聖女は一世代にひとりしか現れない。
だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。
「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」
あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら?
それに妹フロラリアはシスコンですわよ?
この国、滅びないとよろしいわね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
常識的に考えて
章槻雅希
ファンタジー
アッヘンヴァル王国に聖女が現れた。王国の第一王子とその側近は彼女の世話係に選ばれた。女神教正教会の依頼を国王が了承したためだ。
しかし、これに第一王女が異を唱えた。なぜ未婚の少女の世話係を同年代の異性が行うのかと。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様に重複投稿、自サイトにも掲載。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──
naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。
昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。
そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。
そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。
二人の男爵令嬢の成り上がり!でも、結末は──
naturalsoft
恋愛
オーラシア大陸の南に姉妹国と呼ばれる二つの国があった。
西側のアネーデス王国
東側のイモート王国
過去にはお互いの王族を嫁がせていた事もあり、お互いにそれぞれの王族の血が受け継がれている。
そして、アネーデス王国で周辺国を驚かすニュースが大陸を駆け抜けた。
その国のとある男爵令嬢が、王太子に見初められ【正しい正規の手続き】を踏んで、王太子妃になったのである。
その出来事から1年後、隣のイモート王国でも、その国の男爵令嬢が【第一王子】の【婚約者】になったと騒がれたのだった。
しかし、それには公衆の面前で元婚約者に婚約破棄を突き付けたりと、【正規の手続きを踏まず】に決行した悪質なやり方であった。
この二人の結末はいかに──
タイトルイラスト
素材提供
『背景素材屋さんみにくる』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる