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15 瑛太視点
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俺は、日向さんに、ずっと憧れていた。年上で、すごい美人なんだ。でも、少し、そそっかしくて、可愛いところもあって、つまりドストライクな女性だった。
『なんとか、付き合えないかな?』そう、ずっと思っていた。
噂には、イケメンの医者と同棲していると聞いていたが、知らないふりをした。
機会を狙っていたんだ。もし、その男と少しでも上手くいってなかったら、迷わず奪い取る。
だって、彼女は、俺の初恋の人だから。日向さんは、きっと覚えていない。俺が高校受験の時に、バスに乗り遅れて途方に暮れていた時に、声をかけてくれたことを。
その頃の俺は、身長が伸びる前だったし、受験のストレスや夜食のせいで、太っていた。
「さっきのバスに乗らないと、受験に間に合わないんです・・・・・・」
俺は、見ず知らずの綺麗なお姉さんに泣きついていた。それが、日向さんだ。
「そういう時は、もっと余裕をもって家をでなきゃダメよ! 仕方ないわね。お姉さんが、そこの高校まで送ってあげるわよ?」
バス停の側の自販機でジュースを買うために車から降りた日向さんに、一目惚れした。
白のブラウスに、パンツスーツの『できる女』のオーラを漂わせていた日向さんは、国産車でも、いわゆる高級車に乗っていた。
「車に乗って? 安心してね。怪しい者じゃないわよ? そこの高校まで送ってあげるわ。私は、神崎日向。不動産屋に勤務しているの。ほら、あそこの不動産屋よ?」
立派なビルを指さして言った大人な女性に、俺はポーッとなった。
俺も、絶対、そこに勤めよう! と思った。高校生になっても、大学生になっても、付き合っていた女の子はいたけれど、日向さんは別格だった。
だから、日向さんの恋人が酷い男だと知って、憤りもあったが、その反面、嬉しくもあった。
日向さんにその恋人を諦めさせたい・・・・・・そう思いながら、協力してきたが。
車が病院から動かない?・・・・・・あり得ない・・・・・・俺は、ひとつの予想をしてみた。
これは、確認する必要があるな・・・・・・今度の休みは、日向さんに内緒で病院に行ってみよう。
その癌治療センター中央病院に・・・・・・気が重いけれど、俺は行かなければならない。
『なんとか、付き合えないかな?』そう、ずっと思っていた。
噂には、イケメンの医者と同棲していると聞いていたが、知らないふりをした。
機会を狙っていたんだ。もし、その男と少しでも上手くいってなかったら、迷わず奪い取る。
だって、彼女は、俺の初恋の人だから。日向さんは、きっと覚えていない。俺が高校受験の時に、バスに乗り遅れて途方に暮れていた時に、声をかけてくれたことを。
その頃の俺は、身長が伸びる前だったし、受験のストレスや夜食のせいで、太っていた。
「さっきのバスに乗らないと、受験に間に合わないんです・・・・・・」
俺は、見ず知らずの綺麗なお姉さんに泣きついていた。それが、日向さんだ。
「そういう時は、もっと余裕をもって家をでなきゃダメよ! 仕方ないわね。お姉さんが、そこの高校まで送ってあげるわよ?」
バス停の側の自販機でジュースを買うために車から降りた日向さんに、一目惚れした。
白のブラウスに、パンツスーツの『できる女』のオーラを漂わせていた日向さんは、国産車でも、いわゆる高級車に乗っていた。
「車に乗って? 安心してね。怪しい者じゃないわよ? そこの高校まで送ってあげるわ。私は、神崎日向。不動産屋に勤務しているの。ほら、あそこの不動産屋よ?」
立派なビルを指さして言った大人な女性に、俺はポーッとなった。
俺も、絶対、そこに勤めよう! と思った。高校生になっても、大学生になっても、付き合っていた女の子はいたけれど、日向さんは別格だった。
だから、日向さんの恋人が酷い男だと知って、憤りもあったが、その反面、嬉しくもあった。
日向さんにその恋人を諦めさせたい・・・・・・そう思いながら、協力してきたが。
車が病院から動かない?・・・・・・あり得ない・・・・・・俺は、ひとつの予想をしてみた。
これは、確認する必要があるな・・・・・・今度の休みは、日向さんに内緒で病院に行ってみよう。
その癌治療センター中央病院に・・・・・・気が重いけれど、俺は行かなければならない。
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