(完結)だって貴方は浮気をしているのでしょう?

青空一夏

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7 落ち込む私と上条瑛太

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 「日向さん、おはようございます!!」

 あぁ、今日も上条瑛太は元気で明るいこと!10歳も下だとまとう空気も、若々しく煌めいて見えるわ。昨夜の裕太の本心を聞いて改めて『若さ』に嫉妬する私だ。もっと、早く結婚を迫れば・・・・・・いや、違うな・・・・・・裕太は私が楽だとしか言わなかった。

 愛は始めからそこにはない、と言われたようなものだ。しかしだ、交際を申し込んできたのも、一緒に住もうと言ってきたのも裕太のほうからだった。ここは、このまま泣き寝入りにしてはいけないわ。日青病院の副病院長の娘さんかぁ。あのワインの店で見かけた”かわいこちゃん”だろうな。

「日向さん、最近、元気ないですよ。僕に話してください。絶対、お役に立ちます。日向さんは、明るくてパワフルなところが魅力的なんですよ?」

「え? う、うん。ありがとねぇーー。こんな私でもねぇーー。落ち込むことはありますって・・・・・・3年も同棲してた男に『好きじゃなかった』的宣言をされた女が笑っていられると思う?」

「えぇ? なんですか? それ? 今日は一緒に営業先、回りませんか? また、お台場でしょ? 僕も同じだから
・・・・・・今日は僕の車出します。いつもは電車で移動するけど・・・・・・売り上げトップを誇る僕と日向さんなら簡単にオッケーがでるでしょうからね」

 上条瑛太の話を聞きかじった部長が早速、『いいぞーー。お前ら、最近仲いいな。売れる奴は神様だ。ついでに直帰でいいから、あと2本売ってくれると助かるな』と上機嫌で言った。

 まぁ、不動産屋なんてこんなものだ。ここにも、規律やルールはあるがそれは建前にすぎない。売れる者は優遇され、売れない者はここにはいられない。最初の3ヶ月は給料の最低保証があるからその期間だけはいられるが、半年以内に一本も売れないと、ここには肩身が狭くていられやしないのだ。



*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*


「さぁ、どうぞ」

 上条瑛太は白のBMWのドアを開けてくれた。

「サンキュー」

 社員の通勤者の駐車場は近い場所から営業成績順に止めていい決まりだ。だから、入り口付近の車は、ほとんどが外車や国産の高級車だ。遠くにいくに従って、ランクがさがる車が並ぶ。これもシビアな年収差を物語る。

 もちろん、上条瑛太は最も近い一等地に車を止めていた。私はその2台先だ。10歳下の後輩に営業成績も抜かれ、そして昨夜、男の取り合いでも年下に負けた私は無念のため息しかない。

「さてと、どこ遊びに行きます?」

 上条裕太は、どこまでも爽やかな微笑みを浮かべていた。

 私は、思い詰めた声で「日青病院」と言ったのだった。

 
 
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