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5 アメリカに行くと言い出した裕太
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同居人というのは、どういう定義なのだろうか・・・・・・恋人でないならキスはないよね。ついでに言うならエッチもないはず・・・・・・
くそ! この3年間の愛が、ぽっと出の「なおみちゃん」に負けるとは・・・・・・無念・・・・・・
あ、でもここでめげている場合じゃないわ。なんとか、裕太の心を取り戻そう。
「おはよ。今日は休みだよね? 私も休みをとったんだよ」
「あぁ、そう。何のために?」
え? この返しがくるのか。よく、考えたら同居人になりさがった女が、休みを合わせること自体、おかしな話だもんね・・・・・・
「日向はあの男とデートした方がいいんじゃない?」
撃沈か・・・・・・私、いや、頑張る。
「あのさ、あの前から行きたがっていた絵だわ! 絵よ。 見に行かない?」
私は絵には全く興味がない。しかし、裕太は芸術を好むエリートだ。
『近代西洋絵画名作展 印象派からエコール・ド・パリまで』
正直、さっぱりわからない。印象派は聞いたことはある。でも、エコール・ド・パリってなに?
「日向は絵画に興味ないだろう? 音楽だってクラシックは聴かないしさ」
「あ、えっとね。この頃の私は一味違うのよ。これからは、勉強する。そういう芸術の高みを」
うーーん、自分で言ってよく意味がわからない・・・・・・これは、でも間違っていない方向性よね?
芸術は大事よ!きっと、私の人生を豊かにするはずなのよ。
「日向はさ、米津玄米を聴いていればいいんだよ。あとなんだっけ?あいみんか」
玄米ではないし、あいみんでもないけれどそこは指摘しないでおこう。いっそ、玄米でも良しとしようか。
「玄米をバカにするな。あれは、良い曲なのよ。あ、クラシックだって知ってるからね。あの葉加瀬太郎さんの情熱大陸! あれは名曲よね」
葉加瀬太郎さんの情熱大陸はクラシックよね? それすらよくわかっていない私は、ドキュメンタリー番組でよくかかるあの曲だけは大好きなのだった。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
久しぶりに裕太と、外出する私はいつもより明るめの服を選んだ。あの”なおみ”に対抗するのはパステルカラーよ。淡いオレンジのセーターに黒のパンツで、コートはベージュにした。
「珍しいな。モノトーンの服が好きだったのに」
「うん。もう少し華やかにしようと思って。もう34だからね。明るい色が似合うと思う」
「あの男が言ったのか? あいつ、若いもんな」
裕太は苦笑している。なにか、すっかり誤解されている気がする。
「あのさ、ほんとにあの男は関係ないって。付き合ってないからね。同僚ってだけで・・・・・・」
「ふふっ。いいよ、今さら。でも、これで安心かもな。来年、アメリカに行く話があってね。ずっと迷ってた。行こうと思うよ」
裕太は爽やかな笑顔を私に向けたのだった。
くそ! この3年間の愛が、ぽっと出の「なおみちゃん」に負けるとは・・・・・・無念・・・・・・
あ、でもここでめげている場合じゃないわ。なんとか、裕太の心を取り戻そう。
「おはよ。今日は休みだよね? 私も休みをとったんだよ」
「あぁ、そう。何のために?」
え? この返しがくるのか。よく、考えたら同居人になりさがった女が、休みを合わせること自体、おかしな話だもんね・・・・・・
「日向はあの男とデートした方がいいんじゃない?」
撃沈か・・・・・・私、いや、頑張る。
「あのさ、あの前から行きたがっていた絵だわ! 絵よ。 見に行かない?」
私は絵には全く興味がない。しかし、裕太は芸術を好むエリートだ。
『近代西洋絵画名作展 印象派からエコール・ド・パリまで』
正直、さっぱりわからない。印象派は聞いたことはある。でも、エコール・ド・パリってなに?
「日向は絵画に興味ないだろう? 音楽だってクラシックは聴かないしさ」
「あ、えっとね。この頃の私は一味違うのよ。これからは、勉強する。そういう芸術の高みを」
うーーん、自分で言ってよく意味がわからない・・・・・・これは、でも間違っていない方向性よね?
芸術は大事よ!きっと、私の人生を豊かにするはずなのよ。
「日向はさ、米津玄米を聴いていればいいんだよ。あとなんだっけ?あいみんか」
玄米ではないし、あいみんでもないけれどそこは指摘しないでおこう。いっそ、玄米でも良しとしようか。
「玄米をバカにするな。あれは、良い曲なのよ。あ、クラシックだって知ってるからね。あの葉加瀬太郎さんの情熱大陸! あれは名曲よね」
葉加瀬太郎さんの情熱大陸はクラシックよね? それすらよくわかっていない私は、ドキュメンタリー番組でよくかかるあの曲だけは大好きなのだった。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
久しぶりに裕太と、外出する私はいつもより明るめの服を選んだ。あの”なおみ”に対抗するのはパステルカラーよ。淡いオレンジのセーターに黒のパンツで、コートはベージュにした。
「珍しいな。モノトーンの服が好きだったのに」
「うん。もう少し華やかにしようと思って。もう34だからね。明るい色が似合うと思う」
「あの男が言ったのか? あいつ、若いもんな」
裕太は苦笑している。なにか、すっかり誤解されている気がする。
「あのさ、ほんとにあの男は関係ないって。付き合ってないからね。同僚ってだけで・・・・・・」
「ふふっ。いいよ、今さら。でも、これで安心かもな。来年、アメリカに行く話があってね。ずっと迷ってた。行こうと思うよ」
裕太は爽やかな笑顔を私に向けたのだった。
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