上 下
4 / 17

4 同居人になった私達

しおりを挟む
 「日向、お前、浮気してたんだな?」

 いや、お前がな・・・・・・心の中で叫んだ私。だが、ここは声にはださない。そう、私はネットで『彼氏が浮気している時にその心を取り戻す奥義』というサイトを見つけて勉強をしたのだよ。こういう場合には、決して問い詰めてはいけないと書いてあったさ。もっと言うなら、浮気しているということを知っていることを気取られてはいけないのよ。

*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚


 日々、穏やかに彼に思いやりをもって接していれば、彼の心は戻ってきます。彼は癒やしをその浮気相手に求めているのです。貴女の彼に対する態度を逐一思い出してごらんなさい。貴女は、心から彼に対し誠意をもって精一杯の愛を捧げていましたか? さぁ、始めるのです! 今から!


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚


 このようなことが書いてあったわけですよ。なので、ここはぐっと我慢だわ。

「浮気なんて誤解だわ。ちょっとね、相談に乗ってあげていたわけよ」

 私は、適当に誤魔化してそのまま押し黙る。『あの女、誰よ?いったい、何をしていたのよ?今夜は帰れないって言ってたよね?』この、言葉が頭にぐるぐると巡って渦巻き状態の私だ。

 あぁ、問い詰めたい。でも、してはいけない・・・・・・こんな、辛いことあるかい?

「日向は聞かないんだな?あの子が誰だとか」

「え? 別に気にならないから」

 いや、実はとても気になっております。かなり、すごく、猛烈なかんじで・・・・・・しかし、ここは聞かぬ。

「日向はさ。俺に興味ないんだよな? 俺たち、いつからこうなったんだろうな?」

 え? なんて、おっしゃいました? このお話の展開は絶対に・・・・・・アレだわ・・・・・・別れの・・・・・・

「俺たち、別れようか?」

 こんな、急展開ってありますか? 3年付き合った私は、今、別れを切り出されております。私は、考えを巡らせる。あのサイトには縋って泣いては絶対いけないとも書いてあった。ということは、『私、嫌よ。別れたくない! 好きなんだからぁーー』と言ってはいけない。


 しかし、別れたくない私はなにか理由を見つける。

「あ、今別れたら、家賃が勿体ないでしょ? 契約更新のお金を払ったばかりだし。えっと同居人としてでも良いと思わない?」

 うわ。同居人って・・・・・・自分で言ってしまってドン引きな私だ。なぜ、この歳で同居人にならなければならないんだ・・・・・・結婚だろ? 普通・・・・・・うっ、うっ、言ってしまって後悔する・・・・・・・

「日向がそれでいいなら、俺はかまわないよ。じゃぁ、俺たちは今から同居人だ。よろしくな!」

「う、うん。家賃は裕太の方が多く払ってたけど折半にしましょう。食費も裕太の方が多く払ってたから折半ね」

「あ? あぁ、日向の好きにしろ。俺はなんでもかまわないよ」

 『俺はなんでもかまわないよ』この言葉が全てを物語っている気がした。もう、私には心がないのだろうな。




*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*



「おはよーございまぁす。日向さん。昨日はすいませんでした。僕、失礼なこと言って怒らせたみたいですね?」

「ん? あぁ、こっちこそごめん。急に帰ったりして悪かったわ」

「いや、大丈夫ですよ。僕、酔うと酒癖あまり良くないらしくて・・・・・・」

 あぁ、酒癖良くないって・・・・・・昨日みたいに女が前にいると口説いちゃうみたいなことね・・・・・・了解です。

「わかるわよーー。昨日は酔ってたものね。お互い、忘れましょう。さて、仕事、仕事っと」

「え? ちょっと、待ってくださいよ。忘れないでくださいよ。僕が、あなたを好きだってことはね」

「・・・・・・」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。……これは一体どういうことですか!?

四季
恋愛
朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

逃げても絶対に連れ戻すから

鳴宮鶉子
恋愛
逃げても絶対に連れ戻すから

安らかにお眠りください

くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。 ※突然残酷な描写が入ります。 ※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。 ※小説家になろう様へも投稿しています。

雨宮課長に甘えたい

コハラ
恋愛
仕事大好きアラサーOLの中島奈々子(30)は映画会社の宣伝部エースだった。しかし、ある日突然、上司から花形部署の宣伝部からの異動を言い渡され、ショックのあまり映画館で一人泣いていた。偶然居合わせた同じ会社の総務部の雨宮課長(37)が奈々子にハンカチを貸してくれて、その日から雨宮課長は奈々子にとって特別な存在になっていき……。 簡単には行かない奈々子と雨宮課長の恋の行方は――? そして奈々子は再び宣伝部に戻れるのか? ※表紙イラストはミカスケ様のフリーイラストをお借りしました。 http://misoko.net/

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました

四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。 だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!

処理中です...