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台無しのクリスマス・イブ

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 今日は、クリスマス・イブだ。大好きなジェイコブ様は勤務日だとおっしゃったが、それはどうやら嘘だとわかった。従兄弟のジョンが近衛兵の勤務表を見せてくれたからだ。そんな心ない嘘のせいで、私の心はとてもブルーだ。
 
 今日のイブは私の側にはジェイコブ様ではなくジョンがいる。それが、とても虚しい。

「そんな、見え透いた嘘をつく男などソフィアには相応しくないだろう。このお付き合いはなかったことにしなさい」

 お父様が、ジョンからジェイコブ様の話を聞いてお怒りになった。

「そうだよ。ジェイコブなど忘れて、私と婚約しよう。幼い頃から知っているから安心できるだろう?」
 
 ジョンは、優しい微笑みを浮かべて、私ににじり寄ってくる。

「ジョンは好きだけど。お兄様のような感じなのよ。ごめんなさい」

 そう答えて、私はマーレー公爵家の庭園に出て物思いに沈む。けれど、そんなセンチメンタルな感情は誰かから抱きしめられて台無しにされた。背後から私を抱きしめる影が男で、私に襲いかかろうとするのがわかると必死で抵抗した。

「しっ、静かにして!すぐ終わるからさ。でないと、君を傷つけちゃうかも」

 ジョンの声が、私を脅し下着を脱がそうとしていた。こんなことは嘘だ。ジョンは従兄弟でいつだって優しかったのに・・・・・・

「なんで?こんなことをするの?」

 私は、必死で抵抗した。ジョンは私の頬を殴ってすごんだ。

「ソフィアが好きなんだ。いいだろう?」

 絶対に、嫌よ!本当に私を好きなら無理矢理こんなことはしないはず。ジェイコブ様なら、こんなことは絶対しない。キスもしてくれないって不満に思っていたけれど、それは大事にしてくれた、ということなのかも・・・・・・

 このままだと、もうジェイコブ様に会えなくなっちゃう・・・・・・

 その時、ガツンと音がしてジョンが倒れた。

「大丈夫だった? 勤務だったけれど、ほんの少しでも顔が見たくて一時間だけ変わってもらったんだ。

 この男は、保安部に引き渡そう。あれ、え? これ、ジョンじゃないか?」

「そう、ジョンなのよ。こいつは、絶対許さないんだから! 」

「ふーーん。ジョンって酒癖が悪いのかな? どちらにしても、もう一発殴っていいかな?」

「もちろんよ」

 ジェイコブ様は、ジョンをもう3発殴って保安部に引き渡したのだった。

「私の娘を力づくで襲おうとするなど、ジョンよ、お前の人生は私がことごとく台無しにしてあげようね」

 引き渡す際のお父様のどす黒いオーラを放った言葉は、ジョンだけでなく保安部の人達も震えあがらせたのだった。

 

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