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リクエスト5 ゴロヨの恋
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俺とセシルさんは、デリア様とナサニエルの結婚式のためにベールを編むという、特別な任務を共に果たした。その過程で、元漁師と元伯爵令嬢という立場を超えた深いつながりを感じ始めていた。俺は自分の出自がセシルさんに相応しくないと感じつつも、彼女への強い想いを抑えることができずにいた。
セシルさんへの告白を決意するまでに多くの夜を無眠で過ごした。彼女が自分のような男を受け入れてくれるかどうか、絶えず心配していたのだ。
(今は魔法騎士副団長の補佐になっているとはいえ、元は平民の漁師だった俺だ。告白して気まずい雰囲気になったら、グラフトン侯爵家に行きずらくなるよな)
こんな時の俺は、うじうじ悩む弱虫だ。魔獣相手に風魔法を駆使している時のほうが、よっぽど決断力に溢れている。恋とは男を強くもするが、俺の場合は弱虫にさせるようだった。
俺は上司でもあり親友でもあるナサニエルに相談することにした。あいつは既に結婚しているし、恋愛においては大先輩だと思うんだ。
「ゴロヨ補佐。私に改まって相談があるとは、どんなことかな?」
「実はな、そのぅーー、俺もそろそろ結婚をしたいな、と思ってな。それで、好きな女性に結婚を前提にお付き合いしてくださいと申し込みたいのだが、身分違いだと思って勇気がでない」
「身分違いね。そう思うのなら、自分がその女性のところまで駆け上がるだけです。好きな女性のためならどんな苦労も楽しいですよ」
ナサニエルが言うと説得力がありすぎた。
「そうだな。相手はセシルさんなのだが・・・・・・」
「だったら、身分違いでは決してありませんね。彼女は伯爵令嬢でしたが婚約破棄され、今はグラフトン侯爵家の侍女だ。魔法騎士副団長補佐なら、それほど不釣り合いではない。気にしすぎです」
「いや、セシルさんなら爵位持ちの貴族とも結婚できそうだから、俺なんかが申し込んだら笑われそうで」
「彼女は真剣な男性の気持ちを笑うような女性ではないです。デリアが最も信頼している侍女ですからね。人格も優れていますし、常識も持ち合わせている。良妻賢母になりそうな女性だと思います」
「そうなんだよ。俺もそう思っていた。でも、俺はそんなに模範的な妻になってもらわなくても構わない。セシルさんが望むような生き方を応援したい。俺はそれを側で見守るし、俺も同じように頑張りたいんだ」
「実に素晴らしい夫婦になりますね。私も仲間たちがどんどん幸せになっていくのが嬉しいですよ。ペーンも良いお付き合いをエレナ王女殿下としているようだしね」
「あ、うん。確かに、ペーンは頑張っているよな。身分違いといえば、あいつのほうが凄かったな」
八百屋の息子が一国の王女と交際しているのだから、一昔前ならあり得ないくらいぶっ飛んだ恋愛だよ。
☆彡 ★彡
俺はセシルさんと二人きりになった時、心の中で何度も練習していた言葉を口にするために深呼吸した。彼女の瞳はいつもと変わらず穏やかで、俺の心を落ち着かせてくれる。今日、俺は副団長補佐や元漁師ではなく、一人の男として彼女に真っ直ぐ向き合うつもりだ。
「セシルさん、俺たちがベールを編んだあの日から、君のことを考えずにはいられないんだ。俺と、もっと多くの思い出を作ってくれないか?」
言葉を紡ぎながら、俺はセシルさんの反応を伺った。彼女の目には初めて見るような輝きがあった。それは、期待とも希望ともつかない美しい光だった。
「ゴロヨさん、私も同じよ。あなたとなら、どんな未来も怖くないわ」
彼女は言いながら、ゆっくりと頷いた。その瞬間、俺の心は大きな安堵で満たされた。不安でいっぱいだった心が、彼女の言葉一つで晴れやかなものに変わる。これまでの人生で、こんなにも幸せを感じた瞬間はなかった。
俺たちが共に編んだベールのことを思い出しながら、その時を境に俺たちの関係がどれほど深まったかを振り返る。繊細な糸を編む作業は根気が要ったが、その一瞬一瞬が俺たちの絆を強く結びつけていたんだと、今は、はっきりとわかる。あの時、セシルさんが見せた集中している姿、時折見せる笑顔、それら全てが俺の心に深く刻まれていた。
俺はセシルさんとこれからも様々な思い出を作っていきたい。喜びも、悲しみも、すべてを共に分かち合いたいんだ。彼女がそばにいることで、どんな困難も乗り越えられる気がする。俺たちの未来がどれほど困難なものになるかはわからないけれど、それを一緒に歩んでいく勇気が今はある。
二人の間に溢れる微笑みは、これから始まる物語の美しい序章さ。セシルさんと手を取り合い、どんな未来も一緒に歩んでいこうと心に誓ったその瞬間、俺たちの恋は新たな章を開いたのだった。
「俺たちが出会ったのは運命だったんだと思う。セシルさん、君と共に過ごす毎日が、俺にとっては大きな意味を持つ。セシルさんの優しさ、強さ、全てが俺をより良い人間にしてくれるのがわかるから」
セシルさんが俺の手をそっと握って微笑んだ。
「ゴロヨさんは元から善良な人ですわ。今のままで充分ですよ。完璧です!」
愛する女性から完璧と言われた喜び。その評価が下がることがないように、俺は一生努力をしていこう。ずっと、好きでいてもらいたいから。握ったこの手は絶対離さない・・・・・・俺は今とても幸せだよ。
୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧
※次回はペーンと王女様の恋です。
セシルさんへの告白を決意するまでに多くの夜を無眠で過ごした。彼女が自分のような男を受け入れてくれるかどうか、絶えず心配していたのだ。
(今は魔法騎士副団長の補佐になっているとはいえ、元は平民の漁師だった俺だ。告白して気まずい雰囲気になったら、グラフトン侯爵家に行きずらくなるよな)
こんな時の俺は、うじうじ悩む弱虫だ。魔獣相手に風魔法を駆使している時のほうが、よっぽど決断力に溢れている。恋とは男を強くもするが、俺の場合は弱虫にさせるようだった。
俺は上司でもあり親友でもあるナサニエルに相談することにした。あいつは既に結婚しているし、恋愛においては大先輩だと思うんだ。
「ゴロヨ補佐。私に改まって相談があるとは、どんなことかな?」
「実はな、そのぅーー、俺もそろそろ結婚をしたいな、と思ってな。それで、好きな女性に結婚を前提にお付き合いしてくださいと申し込みたいのだが、身分違いだと思って勇気がでない」
「身分違いね。そう思うのなら、自分がその女性のところまで駆け上がるだけです。好きな女性のためならどんな苦労も楽しいですよ」
ナサニエルが言うと説得力がありすぎた。
「そうだな。相手はセシルさんなのだが・・・・・・」
「だったら、身分違いでは決してありませんね。彼女は伯爵令嬢でしたが婚約破棄され、今はグラフトン侯爵家の侍女だ。魔法騎士副団長補佐なら、それほど不釣り合いではない。気にしすぎです」
「いや、セシルさんなら爵位持ちの貴族とも結婚できそうだから、俺なんかが申し込んだら笑われそうで」
「彼女は真剣な男性の気持ちを笑うような女性ではないです。デリアが最も信頼している侍女ですからね。人格も優れていますし、常識も持ち合わせている。良妻賢母になりそうな女性だと思います」
「そうなんだよ。俺もそう思っていた。でも、俺はそんなに模範的な妻になってもらわなくても構わない。セシルさんが望むような生き方を応援したい。俺はそれを側で見守るし、俺も同じように頑張りたいんだ」
「実に素晴らしい夫婦になりますね。私も仲間たちがどんどん幸せになっていくのが嬉しいですよ。ペーンも良いお付き合いをエレナ王女殿下としているようだしね」
「あ、うん。確かに、ペーンは頑張っているよな。身分違いといえば、あいつのほうが凄かったな」
八百屋の息子が一国の王女と交際しているのだから、一昔前ならあり得ないくらいぶっ飛んだ恋愛だよ。
☆彡 ★彡
俺はセシルさんと二人きりになった時、心の中で何度も練習していた言葉を口にするために深呼吸した。彼女の瞳はいつもと変わらず穏やかで、俺の心を落ち着かせてくれる。今日、俺は副団長補佐や元漁師ではなく、一人の男として彼女に真っ直ぐ向き合うつもりだ。
「セシルさん、俺たちがベールを編んだあの日から、君のことを考えずにはいられないんだ。俺と、もっと多くの思い出を作ってくれないか?」
言葉を紡ぎながら、俺はセシルさんの反応を伺った。彼女の目には初めて見るような輝きがあった。それは、期待とも希望ともつかない美しい光だった。
「ゴロヨさん、私も同じよ。あなたとなら、どんな未来も怖くないわ」
彼女は言いながら、ゆっくりと頷いた。その瞬間、俺の心は大きな安堵で満たされた。不安でいっぱいだった心が、彼女の言葉一つで晴れやかなものに変わる。これまでの人生で、こんなにも幸せを感じた瞬間はなかった。
俺たちが共に編んだベールのことを思い出しながら、その時を境に俺たちの関係がどれほど深まったかを振り返る。繊細な糸を編む作業は根気が要ったが、その一瞬一瞬が俺たちの絆を強く結びつけていたんだと、今は、はっきりとわかる。あの時、セシルさんが見せた集中している姿、時折見せる笑顔、それら全てが俺の心に深く刻まれていた。
俺はセシルさんとこれからも様々な思い出を作っていきたい。喜びも、悲しみも、すべてを共に分かち合いたいんだ。彼女がそばにいることで、どんな困難も乗り越えられる気がする。俺たちの未来がどれほど困難なものになるかはわからないけれど、それを一緒に歩んでいく勇気が今はある。
二人の間に溢れる微笑みは、これから始まる物語の美しい序章さ。セシルさんと手を取り合い、どんな未来も一緒に歩んでいこうと心に誓ったその瞬間、俺たちの恋は新たな章を開いたのだった。
「俺たちが出会ったのは運命だったんだと思う。セシルさん、君と共に過ごす毎日が、俺にとっては大きな意味を持つ。セシルさんの優しさ、強さ、全てが俺をより良い人間にしてくれるのがわかるから」
セシルさんが俺の手をそっと握って微笑んだ。
「ゴロヨさんは元から善良な人ですわ。今のままで充分ですよ。完璧です!」
愛する女性から完璧と言われた喜び。その評価が下がることがないように、俺は一生努力をしていこう。ずっと、好きでいてもらいたいから。握ったこの手は絶対離さない・・・・・・俺は今とても幸せだよ。
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※次回はペーンと王女様の恋です。
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