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リクエスト3 デリアの子供たちとグリオが遊ぶ様子
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私はナサニエル様にした宣言どおりに、長男エドワードを出産してから二年後の今この瞬間、二回目の出産を迎えようとしていたわ。この妊娠がわかった時もナサニエル様は感動で涙を流し、家族が増えることに幸せと喜びを感じていた。
「ナサニエル様。今度は女の子が欲しいわ。もちろん、男の子でも嬉しいけれど、ナサニエル様に似た女の子も素敵ですもの」
「デリアが生んでくれる子供なら、男の子でも女の子でも愛おしさに変わりはないよ。とにかく、元気で生まれてくれれば、それだけで満足だよ」
ナサニエル様の言葉を、このお腹の子供にも聞かせてあげたい。「お父様はこんなにも、愛情溢れる方なのよ」と、教えてあげたかった。生まれてきたら毎日、子守歌のように聞かせてあげよう。ナサニエル様がどんなに立派で素晴らしい男性かを。
波のように陣痛が襲う。やはり出産が辛いことに変わりはないのだけれど、期待と興奮でいっぱいの気持ちがあって、我慢することは容易かった。これから訪れる新しい命の到来に心を躍らせていたのよ。
部屋には温かい陽光が差し込み外の空は快晴で、まるで新しい命の誕生を祝福するかのようだった。そして、ついに私は無事に双子の女の子を出産し、その瞬間、部屋は喜びの声で満たされた。
「おめでとうございます! 可愛い女の子がおふたりです。双子の赤ちゃんですよ」
グラフトン侯爵家お抱えの医者が私にそう告げる。
ナサニエル様は新しい家族のメンバーを一目見るなり、溢れんばかりの愛情を感じ、感動のあまり涙をこぼした。「私たちのお姫様は最高に可愛い」と彼は私に言い、私も同じ感情を共有したわ。
「ね、ナサニエル様。約束通りに、私は女の子を二人も生みましたわ。これで完璧な幸せが、私たちに訪れたでしょう?」
ナサニエル様は「デリアがいるだけで、既に完璧だったよ。そして、今は完璧すぎるほど完璧だし、これ以上ないくらい幸せだよ。髪が赤くて瞳が青い、私たちの子供がふたり増えた。どうしよう、可愛すぎて・・・・・・お嫁に行かせたくない・・・・・・」
ナサニエル様の空想が暴走しすぎていて、お母様は呆れていた。
「そうだな、ナサニエル君。こんな可愛い子たちを遠くにお嫁に行かせるのはやめよう。二人とも近くに住まわせ、婿を取れば良い。間違っても他国には嫁がせんし、苦労しそうな婚約も結ばせない」
お父様はナサニエル様と同じ気持ちだったみたいで、とても具体的な案を提案しだした。
「気が早いですし、孫娘たちは好きな男性のもとへ嫁ぐ権利がありますよ。まったく、まだ生まれたばかりですよ」
お母様がお父様をたしなめて、部屋中に朗らかな笑い声が響いたのだった。二人の娘たちは姉がリリアン、妹はエリザベスと名付けられた。
☆彡 ★彡
それから、リリアンもエリザベスもすくすくと育ち、元気に外で遊ぶ年齢になっていた。
「グリオみたいに空を飛びたい! きっと、僕も飛べるはずだよ。お兄様。見ていてくださいね」
ある晴れた日の昼下がり、庭園にいるリリアンの勇ましい声が風に乗って、グラフトン侯爵家のサロンにまで聞こえてきた。私は慌てて、サロンの窓から外に向かって叫んだ。
「だめよ! リリアン。そこにじっとしていなさい。怪我をしたらどうするの? こらっ、だめ、飛び降りないでーー!」
いつも、リリアンたちは侍女たちの監視の目をくぐって、新しい遊びや冒険をしたがる。今のリリアンは、庭の一番高い木の枝に立っており、赤く長い髪が風になびいていた。きっと、綺麗に澄んだ青い目はわくわくした思いを反映するような輝きを放っているに違いない。木の下から見守るエリザベスの心配そうな姿も見えた。私の声は子供たちには届いていない。
「リリアンお姉様。やめて。大けがをしてしまうわ」
「見てて、エリザベス! 僕もグリオみたいに空を飛べるんだ!」リリアンの声は興奮に満ちており、彼女は今にも飛び立ちそうな勢いだった。リリアンは自分を「僕」と呼ぶ。何度も注意したけれどやめないのよ。
そんな中、エドワードとグリオもその木の下にいることに安心したわ。エドワードはすでに兄としての責任感を身につけており、グリオと共にリリアンの安全を確保しようと慎重にその下で身構えていた。グリオは彼の神獣としての能力である変身を駆使して、このような時にも家族のサポートを惜しまない。
「リリアン、急に飛び降りないで!ちゃんと準備をして!」エドワードは兄としての優しさと心配を込めて叫んでいた。
一瞬の静寂の後、リリアンは勇敢にも枝から飛び降りた。けれど、彼女が空を飛ぶことはなく、本来の姿に戻ったグリオが差し出す翼の上に落ちていき、もそもそとその純白の羽毛から顔を出した。
「ぷはぁーー。おかしいなぁ。僕は絶対に飛べるはずだぞ。だって、グリオも飛べるんだから!」
「人間はグリオみたいに簡単には飛べないんだよ」とエドワードは妹に優しく言い、少年の姿に変わったグリオはクスクスと笑った。
「だって、お父様はいろいろな伝説の生き物に変身して空を飛ぶよ。お母様だって、傘で宙に浮かんで移動マーケットにお買い物に行くわ。僕だって、絶対飛べるはずだもん。だって、僕はお父様のように魔法騎士団総長になるんだからっ!」
私はサロンからゆっくりと庭園に出て、リリアンたちに近づいた。
「リリアン。自分のことを『僕』と呼ぶのはやめなさい。それに、女の子なのだから魔法騎士団総長を目指すことはしないで。お母様はリリアンに女の子らしくしてほしいのよ」
リリアンは可愛いピンクの頬を、ぷっと膨らませた。
「お母様! 性別で差別するのはいけません。女の子だって強くなれるし、僕はお父様とお母様の魔法の才能を継いでいます。最強の魔法騎士になれるし、いっぱいいろいろなお勉強を頑張ります」
確かに、せっかく抱いた夢を否定したらいけなかった。その点は反省したわ。リリアンは私の火魔法とナサニエル様の氷魔法のふたつを受け継いだ女の子だから、魔法騎士団総長になれる可能性は充分あった。
「そうね。女の子だからという理由だけで、魔法騎士団総長になれないのはおかしいわね。本来なら、誰にでも均等なチャンスが与えられるべきだものね」
私はリリアンの可能性を信じてあげる母親になろうと決心した。これだけ純粋に夢を描いているのだから、否定なんてしてはいけない。でも、自分を『僕』呼びするのは『私』に変えてほしいわ。
「リリアンも年頃になれば落ち着くよ。魔法騎士団総長になった女性は歴史上には一人もいないが、リリアンが初めての総長になるかもしれないし、他の子たちと違って個性的な部分は伸ばしてあげよう」
ナサニエル様は娘たちには特に甘い。でも、言っていることは間違っていないので、私もリリアンの個性を伸ばすことにするわ。
私とナサニエル様の子供だもの。たくさんの才能に恵まれて、これから多くの経験をし活躍していくのだろう。
私の子供たちは最高だわ!
「ナサニエル様。今度は女の子が欲しいわ。もちろん、男の子でも嬉しいけれど、ナサニエル様に似た女の子も素敵ですもの」
「デリアが生んでくれる子供なら、男の子でも女の子でも愛おしさに変わりはないよ。とにかく、元気で生まれてくれれば、それだけで満足だよ」
ナサニエル様の言葉を、このお腹の子供にも聞かせてあげたい。「お父様はこんなにも、愛情溢れる方なのよ」と、教えてあげたかった。生まれてきたら毎日、子守歌のように聞かせてあげよう。ナサニエル様がどんなに立派で素晴らしい男性かを。
波のように陣痛が襲う。やはり出産が辛いことに変わりはないのだけれど、期待と興奮でいっぱいの気持ちがあって、我慢することは容易かった。これから訪れる新しい命の到来に心を躍らせていたのよ。
部屋には温かい陽光が差し込み外の空は快晴で、まるで新しい命の誕生を祝福するかのようだった。そして、ついに私は無事に双子の女の子を出産し、その瞬間、部屋は喜びの声で満たされた。
「おめでとうございます! 可愛い女の子がおふたりです。双子の赤ちゃんですよ」
グラフトン侯爵家お抱えの医者が私にそう告げる。
ナサニエル様は新しい家族のメンバーを一目見るなり、溢れんばかりの愛情を感じ、感動のあまり涙をこぼした。「私たちのお姫様は最高に可愛い」と彼は私に言い、私も同じ感情を共有したわ。
「ね、ナサニエル様。約束通りに、私は女の子を二人も生みましたわ。これで完璧な幸せが、私たちに訪れたでしょう?」
ナサニエル様は「デリアがいるだけで、既に完璧だったよ。そして、今は完璧すぎるほど完璧だし、これ以上ないくらい幸せだよ。髪が赤くて瞳が青い、私たちの子供がふたり増えた。どうしよう、可愛すぎて・・・・・・お嫁に行かせたくない・・・・・・」
ナサニエル様の空想が暴走しすぎていて、お母様は呆れていた。
「そうだな、ナサニエル君。こんな可愛い子たちを遠くにお嫁に行かせるのはやめよう。二人とも近くに住まわせ、婿を取れば良い。間違っても他国には嫁がせんし、苦労しそうな婚約も結ばせない」
お父様はナサニエル様と同じ気持ちだったみたいで、とても具体的な案を提案しだした。
「気が早いですし、孫娘たちは好きな男性のもとへ嫁ぐ権利がありますよ。まったく、まだ生まれたばかりですよ」
お母様がお父様をたしなめて、部屋中に朗らかな笑い声が響いたのだった。二人の娘たちは姉がリリアン、妹はエリザベスと名付けられた。
☆彡 ★彡
それから、リリアンもエリザベスもすくすくと育ち、元気に外で遊ぶ年齢になっていた。
「グリオみたいに空を飛びたい! きっと、僕も飛べるはずだよ。お兄様。見ていてくださいね」
ある晴れた日の昼下がり、庭園にいるリリアンの勇ましい声が風に乗って、グラフトン侯爵家のサロンにまで聞こえてきた。私は慌てて、サロンの窓から外に向かって叫んだ。
「だめよ! リリアン。そこにじっとしていなさい。怪我をしたらどうするの? こらっ、だめ、飛び降りないでーー!」
いつも、リリアンたちは侍女たちの監視の目をくぐって、新しい遊びや冒険をしたがる。今のリリアンは、庭の一番高い木の枝に立っており、赤く長い髪が風になびいていた。きっと、綺麗に澄んだ青い目はわくわくした思いを反映するような輝きを放っているに違いない。木の下から見守るエリザベスの心配そうな姿も見えた。私の声は子供たちには届いていない。
「リリアンお姉様。やめて。大けがをしてしまうわ」
「見てて、エリザベス! 僕もグリオみたいに空を飛べるんだ!」リリアンの声は興奮に満ちており、彼女は今にも飛び立ちそうな勢いだった。リリアンは自分を「僕」と呼ぶ。何度も注意したけれどやめないのよ。
そんな中、エドワードとグリオもその木の下にいることに安心したわ。エドワードはすでに兄としての責任感を身につけており、グリオと共にリリアンの安全を確保しようと慎重にその下で身構えていた。グリオは彼の神獣としての能力である変身を駆使して、このような時にも家族のサポートを惜しまない。
「リリアン、急に飛び降りないで!ちゃんと準備をして!」エドワードは兄としての優しさと心配を込めて叫んでいた。
一瞬の静寂の後、リリアンは勇敢にも枝から飛び降りた。けれど、彼女が空を飛ぶことはなく、本来の姿に戻ったグリオが差し出す翼の上に落ちていき、もそもそとその純白の羽毛から顔を出した。
「ぷはぁーー。おかしいなぁ。僕は絶対に飛べるはずだぞ。だって、グリオも飛べるんだから!」
「人間はグリオみたいに簡単には飛べないんだよ」とエドワードは妹に優しく言い、少年の姿に変わったグリオはクスクスと笑った。
「だって、お父様はいろいろな伝説の生き物に変身して空を飛ぶよ。お母様だって、傘で宙に浮かんで移動マーケットにお買い物に行くわ。僕だって、絶対飛べるはずだもん。だって、僕はお父様のように魔法騎士団総長になるんだからっ!」
私はサロンからゆっくりと庭園に出て、リリアンたちに近づいた。
「リリアン。自分のことを『僕』と呼ぶのはやめなさい。それに、女の子なのだから魔法騎士団総長を目指すことはしないで。お母様はリリアンに女の子らしくしてほしいのよ」
リリアンは可愛いピンクの頬を、ぷっと膨らませた。
「お母様! 性別で差別するのはいけません。女の子だって強くなれるし、僕はお父様とお母様の魔法の才能を継いでいます。最強の魔法騎士になれるし、いっぱいいろいろなお勉強を頑張ります」
確かに、せっかく抱いた夢を否定したらいけなかった。その点は反省したわ。リリアンは私の火魔法とナサニエル様の氷魔法のふたつを受け継いだ女の子だから、魔法騎士団総長になれる可能性は充分あった。
「そうね。女の子だからという理由だけで、魔法騎士団総長になれないのはおかしいわね。本来なら、誰にでも均等なチャンスが与えられるべきだものね」
私はリリアンの可能性を信じてあげる母親になろうと決心した。これだけ純粋に夢を描いているのだから、否定なんてしてはいけない。でも、自分を『僕』呼びするのは『私』に変えてほしいわ。
「リリアンも年頃になれば落ち着くよ。魔法騎士団総長になった女性は歴史上には一人もいないが、リリアンが初めての総長になるかもしれないし、他の子たちと違って個性的な部分は伸ばしてあげよう」
ナサニエル様は娘たちには特に甘い。でも、言っていることは間違っていないので、私もリリアンの個性を伸ばすことにするわ。
私とナサニエル様の子供だもの。たくさんの才能に恵まれて、これから多くの経験をし活躍していくのだろう。
私の子供たちは最高だわ!
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