53 / 88
49 ナサニエル様を甘やかしたい
しおりを挟む
「お母様! 見てくださいな。どれも素晴らしいわ。キャサリンはちょっとアレなところはあるけれど、素晴らしい才能があるのね!」
「えっ? アレって、どういう意味でしょうか? セシルお姉様、デリア様が私をアレっておっしゃいましたわ。アレって?」
「キャサリンはうっかりさんと言いたかったのよ。あなたは口を開いて言葉を発する前に10数えなさい。気持ちに正直すぎるのよ」
セシルの言う通りよ。言葉を発する前に数をかぞえる、これは大事なことかもね。
「デリア様。そのスケッチブックを私にも見せていただけませんか? うわっ。これは素晴らしいな。キャサリン様は服飾デザイナーの才能があるんですね。このドレスを見ると、これに合った宝石のインスピレーションが湧いてきます。私と一緒に働きませんか?」
ヴァーノン様がキャサリンに、まさかのお仕事スカウトをするなんてびっくりよ。さて、キャサリンはどう答えるのかとハラハラするわ。きっと、安易にはしゃいでヴァーノン様について行ってしまうわね。
「それはできませんわ。このドレスはデリア様だけのために考えました。グラフトン侯爵夫人も私に良くしてくださるし、ここにはお姉様もいます。ですから、私はグラフトン侯爵家の侍女でいます」
これには私たちも意外な気持ちで嬉しい驚きだった。これは絶対褒めてあげても良いと思う。セシルはキャサリンの模範解答に満足して、抱きしめながら頭を撫でていた。まるで母親ね。私にもお姉様がいたらこんな感じだったのかしら?
「良いお返事でしたよ。きっちり根本的なことはわかっているようです」
お母様から合格点をもらったキャサリンはにこにこと微笑んだ。スカウトを断られた形のヴァーノン様は笑っていたけれど、キャサリンに興味を覚えたようで頻繁にグラフトン侯爵家を訪ねてくるようになった。
同じ時期にナサニエル様が魔法騎士団で仲が良いというゴロヨ小隊長を招き、グラフトン侯爵家のディナーはたちまち賑やかになっていく。
「我が家に娘と息子がいっきに増えたようで嬉しいな。食事は大勢で賑やかに食べた方が楽しい」
お父様は朗らかに笑い、ナサニエル様にもっと頻繁に、魔法騎士団の同僚を連れてくるようにおっしゃった。私もお母様も大賛成だわ。人が集まる家には幸せもたくさん積もって、愛もいっぱい溢れるわ。
私はナサニエル様をいっぱいの愛でくるんで、思いっきり甘やかしたいのよ!
୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧
※イラストエッセイの29話にナサニエルの氷魔法を使うイラストあります。
※イラストエッセイの24話にナサニエルとデリアの子供のイメージイラストあります。
「えっ? アレって、どういう意味でしょうか? セシルお姉様、デリア様が私をアレっておっしゃいましたわ。アレって?」
「キャサリンはうっかりさんと言いたかったのよ。あなたは口を開いて言葉を発する前に10数えなさい。気持ちに正直すぎるのよ」
セシルの言う通りよ。言葉を発する前に数をかぞえる、これは大事なことかもね。
「デリア様。そのスケッチブックを私にも見せていただけませんか? うわっ。これは素晴らしいな。キャサリン様は服飾デザイナーの才能があるんですね。このドレスを見ると、これに合った宝石のインスピレーションが湧いてきます。私と一緒に働きませんか?」
ヴァーノン様がキャサリンに、まさかのお仕事スカウトをするなんてびっくりよ。さて、キャサリンはどう答えるのかとハラハラするわ。きっと、安易にはしゃいでヴァーノン様について行ってしまうわね。
「それはできませんわ。このドレスはデリア様だけのために考えました。グラフトン侯爵夫人も私に良くしてくださるし、ここにはお姉様もいます。ですから、私はグラフトン侯爵家の侍女でいます」
これには私たちも意外な気持ちで嬉しい驚きだった。これは絶対褒めてあげても良いと思う。セシルはキャサリンの模範解答に満足して、抱きしめながら頭を撫でていた。まるで母親ね。私にもお姉様がいたらこんな感じだったのかしら?
「良いお返事でしたよ。きっちり根本的なことはわかっているようです」
お母様から合格点をもらったキャサリンはにこにこと微笑んだ。スカウトを断られた形のヴァーノン様は笑っていたけれど、キャサリンに興味を覚えたようで頻繁にグラフトン侯爵家を訪ねてくるようになった。
同じ時期にナサニエル様が魔法騎士団で仲が良いというゴロヨ小隊長を招き、グラフトン侯爵家のディナーはたちまち賑やかになっていく。
「我が家に娘と息子がいっきに増えたようで嬉しいな。食事は大勢で賑やかに食べた方が楽しい」
お父様は朗らかに笑い、ナサニエル様にもっと頻繁に、魔法騎士団の同僚を連れてくるようにおっしゃった。私もお母様も大賛成だわ。人が集まる家には幸せもたくさん積もって、愛もいっぱい溢れるわ。
私はナサニエル様をいっぱいの愛でくるんで、思いっきり甘やかしたいのよ!
୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧
※イラストエッセイの29話にナサニエルの氷魔法を使うイラストあります。
※イラストエッセイの24話にナサニエルとデリアの子供のイメージイラストあります。
62
お気に入りに追加
5,000
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
奪われる人生とはお別れします ~婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました~
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◯完結まで毎週金曜日更新します
※他サイト様でも連載中です。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
本当にありがとうございます!
姉妹差別の末路
京佳
ファンタジー
粗末に扱われる姉と蝶よ花よと大切に愛される妹。同じ親から産まれたのにまるで真逆の姉妹。見捨てられた姉はひとり静かに家を出た。妹が不治の病?私がドナーに適応?喜んでお断り致します!
妹嫌悪。ゆるゆる設定
※初期に書いた物を手直し再投稿&その後も追記済
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ
榎夜
恋愛
私の婚約も勉強も、常に邪魔をしてくるおバカさんたちにはもうウンザリですの!
私は私で好き勝手やらせてもらうので、そちらもどうぞ自滅してくださいませ。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放されました。でもそれが、私を虐げていた人たちの破滅の始まりでした
水上
恋愛
「ソフィア、悪いがお前との婚約は破棄させてもらう」
子爵令嬢である私、ソフィア・ベルモントは、婚約者である子爵令息のジェイソン・フロストに婚約破棄を言い渡された。
彼の隣には、私の妹であるシルビアがいる。
彼女はジェイソンの腕に体を寄せ、勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。
こんなこと、許されることではない。
そう思ったけれど、すでに両親は了承していた。
完全に、シルビアの味方なのだ。
しかも……。
「お前はもう用済みだ。この屋敷から出て行け」
私はお父様から追放を宣言された。
必死に食い下がるも、お父様のビンタによって、私の言葉はかき消された。
「いつまで床に這いつくばっているのよ、見苦しい」
お母様は冷たい言葉を私にかけてきた。
その目は、娘を見る目ではなかった。
「惨めね、お姉さま……」
シルビアは歪んだ笑みを浮かべて、私の方を見ていた。
そうして私は、妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放された。
途方もなく歩いていたが、そんな私に、ある人物が声を掛けてきた。
一方、私を虐げてきた人たちは、破滅へのカウントダウンがすでに始まっていることに、まだ気づいてはいなかった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる