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4 結婚したらデリアを大事にしてやるよ (クラーク視点)
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僕はスローカム伯爵家の三男に生まれた。この立場ではスローカム伯爵家の家督は継げない。勉強に励み文官になるか、剣の道で身を立て王立騎士団員になるかを決めなければならない。
しかし、僕は生まれつき身体が弱い。勉強を始めてしばらくすると頭が痛くなるし、剣術の練習をしていると腕がしびれ汗がどっと噴き出す。これはどう考えても、深刻な持病だと思う。
母上に言うと「可哀想に。すぐに休んだほうが良いわ」と心配された。僕の将来を憂いた両親は、高位貴族の跡取り娘と僕を結婚させようと、情報を集めていたらしい。
「クラークよ。グラフトン侯爵家が1人娘のデリア様のために婿を探しているそうだ。グラフトン侯爵家といえば、それはもう高貴な血筋で財産家だぞ。ぜひ、クラークを選んでいただこう」
「え? 本当ですか? もし、グラフトン侯爵家に婿入りできたら、文官や騎士団員になれなくても大丈夫ですか?」
「もちろんだとも。年齢も一歳違いだし、ちょうど良いだろう」
まもなく、グラフトン侯爵家に招待されてデリアと会った。ニンジンのような赤毛と真っ赤な瞳はあまり好きになれそうもない。美人だけれど、全く好みのタイプではなかった。僕はもっと小柄で可愛いかんじの女の子が好きなのに。
それでも「グラフトン侯爵家に婿入りすれば将来安泰」と両親が言うのでそれに従った。デリアに気に入られるように、父上の指示通りに行動した。
古代語で書かれた本を借りてきた時には、わざわざ王立貴族学園の寄宿舎にいるナサニエル兄上を呼びつけてくれた。ナサニエル兄上は陰気だけれど、癪に障るくらい優秀だったから、代わりに読ませ要点を聞いた。
あいつは僕たち兄弟の都合の良い奴隷だ。優秀だからなんでも任せられて、面倒なことを押しつけるには便利だった。幼い頃からマクソンス兄上も僕もそれが当然だと思っていた。なぜなら、父上も母上もそうするように言っていたから。次男は長兄を敬い、末っ子を助ける義務があるんだとさ。
だいたい、僕よりもマクソンス兄上よりも背が高くて格好良いなんてずるいよな?
だから、わざと難しくて厚い本を選んだ。僕はナサニエル兄上を困らせてやりたかった。でも、優秀なあいつには楽勝だったみたいだ。それからも、いろいろあいつに手伝わせたおかげで、王立貴族学園の入学前にめでたくグラフトン侯爵家のデリアと婚約できた。正直、ホッとした。
「これでクラークはデリア様には逆らえないな。はるか格上の筆頭侯爵家に婿入りするのだから、結婚したら奴隷だな」
だが、婚約が決まってすぐのこと、ナサニエル兄上は僕の耳元でそう囁いた。
「え? だって、あのグラフトン侯爵家は僕が継ぐことになるのでしょう?」
「グラフトン侯爵家はデリア様が継ぐに決まっている。クラークはただの婿で、なんの権限もないさ。だが、贅沢はできるだろうから安心しろ」
「・・・・・・奴隷・・・・・・そんなの嫌だ・・・・・・」
ナサニエル兄上のように面倒なことや嫌なことを押しつけられて、文句も言えなくなるのか?
冗談じゃないよ。
「まぁ、学園生活を謳歌することだな。結婚したらそうはいかない」
そうか。僕の自由は学生時代だけなのか。
そう思うと、婚約が嬉しいことなのか、悲しいことなのかよくわからなくなってきた。
☆彡 ★彡
学園生活は楽しかった。ナタリーは同じ学年でピンクの頬にえくぼが浮かぶ可愛い子だった。蜂蜜色の髪と瞳に小動物のようなキュートな顔。デリアは大輪の赤い薔薇のようだけど、こちらはひなげしのような愛らしさだ。こういう子が好みだったんだよ。僕は生徒会の書記になり、友人もたくさんできた。
「クラークはスローカム伯爵家の三男だよね? 卒業後はどうするんだい?」
同級生の男子たちに聞かれた時に、グラフトン侯爵家の話をしたんだ。
「うわっ! すっごい逆玉だな。グラフトン侯爵夫人って国王陛下の姪だろう? おまけに、グラフトン侯爵閣下の祖母はペトルーシュキンの王女殿下じゃなかったっけ? すごいなぁーー」
やたらと羨ましがられて得意な気持ちもあったけれど、『グラフトン侯爵家の婿殿』とからかう者もいて腹が立った。
「そんなに良い話じゃないよ。デリア様は高貴な血筋だから、いろいろ大変なことも多いからね」
少しだけ憂鬱そうな表情を浮かべた。すると、皆が僕に同情して前よりも優しくなったんだ。
「きっと、デリア様は我が儘で鼻っ柱の強い女の子なんだろう? なんたって、1人娘で溺愛されて育てられているのは間違いないもんなぁ。クラークもずいぶん苦労しているんだね?」
「あぁ、まぁね。でも、デリア様にとても好かれちゃって、僕が我慢するしかないんだ」
悲劇の主人公みたいに力なく言葉を紡ぐと、女生徒たちも気の毒がって僕を慰めてくれた。
とても気分が良いぞ。
僕はデリアに無理矢理婚約を迫られた弱者の格下貴族、彼女は傲慢で我が儘な王家の血を引く高貴な悪女。この設定を皆は面白がって受け入れた。
結婚したらデリアに一生逆らえない人生が待っている。それなら、今のうちだけでも好き勝手に生きてやろう!
その一年後にデリアが入学してきても、一年生の教室に会いにいくことはなかった。僕がばらまいた噂によって、学園内でデリアが孤立しているのを見ると、心のもやもやがすっと晴れる気さえしたんだ。
家柄や財力では勝てないし、社交界にでたら明らかにデリアが上だ。でも学園では違う。この学園は爵位や財力なんて関係ないし、学生らしくいられる最高の場所だった。
結婚したらデリアの言う通りにするつもりだし、大事にしてやろう。だから、なんの問題もないよな。
☆彡 ★彡
だが、そんな楽しい生活は、あっけなく幕を閉じた。ある日のこと、僕はスローカム伯爵家のタウンハウスから学園に通っていたんだが、領地にいるはずの父上が苦い顔で僕を待っていた。
「お前、大変なことをしでかしてくれたな? わざわざ、グラフトン侯爵がスローカム伯爵領までいらして、大層素晴らしい笑顔で『クラーク君を解放してあげましょう』と、おっしゃった。ナタリー・サーソク伯爵令嬢と結婚できるように、取り計らってくださるそうだ。これがどういうことかわかるか?」
え? なんでそうなるんだ?
しかし、僕は生まれつき身体が弱い。勉強を始めてしばらくすると頭が痛くなるし、剣術の練習をしていると腕がしびれ汗がどっと噴き出す。これはどう考えても、深刻な持病だと思う。
母上に言うと「可哀想に。すぐに休んだほうが良いわ」と心配された。僕の将来を憂いた両親は、高位貴族の跡取り娘と僕を結婚させようと、情報を集めていたらしい。
「クラークよ。グラフトン侯爵家が1人娘のデリア様のために婿を探しているそうだ。グラフトン侯爵家といえば、それはもう高貴な血筋で財産家だぞ。ぜひ、クラークを選んでいただこう」
「え? 本当ですか? もし、グラフトン侯爵家に婿入りできたら、文官や騎士団員になれなくても大丈夫ですか?」
「もちろんだとも。年齢も一歳違いだし、ちょうど良いだろう」
まもなく、グラフトン侯爵家に招待されてデリアと会った。ニンジンのような赤毛と真っ赤な瞳はあまり好きになれそうもない。美人だけれど、全く好みのタイプではなかった。僕はもっと小柄で可愛いかんじの女の子が好きなのに。
それでも「グラフトン侯爵家に婿入りすれば将来安泰」と両親が言うのでそれに従った。デリアに気に入られるように、父上の指示通りに行動した。
古代語で書かれた本を借りてきた時には、わざわざ王立貴族学園の寄宿舎にいるナサニエル兄上を呼びつけてくれた。ナサニエル兄上は陰気だけれど、癪に障るくらい優秀だったから、代わりに読ませ要点を聞いた。
あいつは僕たち兄弟の都合の良い奴隷だ。優秀だからなんでも任せられて、面倒なことを押しつけるには便利だった。幼い頃からマクソンス兄上も僕もそれが当然だと思っていた。なぜなら、父上も母上もそうするように言っていたから。次男は長兄を敬い、末っ子を助ける義務があるんだとさ。
だいたい、僕よりもマクソンス兄上よりも背が高くて格好良いなんてずるいよな?
だから、わざと難しくて厚い本を選んだ。僕はナサニエル兄上を困らせてやりたかった。でも、優秀なあいつには楽勝だったみたいだ。それからも、いろいろあいつに手伝わせたおかげで、王立貴族学園の入学前にめでたくグラフトン侯爵家のデリアと婚約できた。正直、ホッとした。
「これでクラークはデリア様には逆らえないな。はるか格上の筆頭侯爵家に婿入りするのだから、結婚したら奴隷だな」
だが、婚約が決まってすぐのこと、ナサニエル兄上は僕の耳元でそう囁いた。
「え? だって、あのグラフトン侯爵家は僕が継ぐことになるのでしょう?」
「グラフトン侯爵家はデリア様が継ぐに決まっている。クラークはただの婿で、なんの権限もないさ。だが、贅沢はできるだろうから安心しろ」
「・・・・・・奴隷・・・・・・そんなの嫌だ・・・・・・」
ナサニエル兄上のように面倒なことや嫌なことを押しつけられて、文句も言えなくなるのか?
冗談じゃないよ。
「まぁ、学園生活を謳歌することだな。結婚したらそうはいかない」
そうか。僕の自由は学生時代だけなのか。
そう思うと、婚約が嬉しいことなのか、悲しいことなのかよくわからなくなってきた。
☆彡 ★彡
学園生活は楽しかった。ナタリーは同じ学年でピンクの頬にえくぼが浮かぶ可愛い子だった。蜂蜜色の髪と瞳に小動物のようなキュートな顔。デリアは大輪の赤い薔薇のようだけど、こちらはひなげしのような愛らしさだ。こういう子が好みだったんだよ。僕は生徒会の書記になり、友人もたくさんできた。
「クラークはスローカム伯爵家の三男だよね? 卒業後はどうするんだい?」
同級生の男子たちに聞かれた時に、グラフトン侯爵家の話をしたんだ。
「うわっ! すっごい逆玉だな。グラフトン侯爵夫人って国王陛下の姪だろう? おまけに、グラフトン侯爵閣下の祖母はペトルーシュキンの王女殿下じゃなかったっけ? すごいなぁーー」
やたらと羨ましがられて得意な気持ちもあったけれど、『グラフトン侯爵家の婿殿』とからかう者もいて腹が立った。
「そんなに良い話じゃないよ。デリア様は高貴な血筋だから、いろいろ大変なことも多いからね」
少しだけ憂鬱そうな表情を浮かべた。すると、皆が僕に同情して前よりも優しくなったんだ。
「きっと、デリア様は我が儘で鼻っ柱の強い女の子なんだろう? なんたって、1人娘で溺愛されて育てられているのは間違いないもんなぁ。クラークもずいぶん苦労しているんだね?」
「あぁ、まぁね。でも、デリア様にとても好かれちゃって、僕が我慢するしかないんだ」
悲劇の主人公みたいに力なく言葉を紡ぐと、女生徒たちも気の毒がって僕を慰めてくれた。
とても気分が良いぞ。
僕はデリアに無理矢理婚約を迫られた弱者の格下貴族、彼女は傲慢で我が儘な王家の血を引く高貴な悪女。この設定を皆は面白がって受け入れた。
結婚したらデリアに一生逆らえない人生が待っている。それなら、今のうちだけでも好き勝手に生きてやろう!
その一年後にデリアが入学してきても、一年生の教室に会いにいくことはなかった。僕がばらまいた噂によって、学園内でデリアが孤立しているのを見ると、心のもやもやがすっと晴れる気さえしたんだ。
家柄や財力では勝てないし、社交界にでたら明らかにデリアが上だ。でも学園では違う。この学園は爵位や財力なんて関係ないし、学生らしくいられる最高の場所だった。
結婚したらデリアの言う通りにするつもりだし、大事にしてやろう。だから、なんの問題もないよな。
☆彡 ★彡
だが、そんな楽しい生活は、あっけなく幕を閉じた。ある日のこと、僕はスローカム伯爵家のタウンハウスから学園に通っていたんだが、領地にいるはずの父上が苦い顔で僕を待っていた。
「お前、大変なことをしでかしてくれたな? わざわざ、グラフトン侯爵がスローカム伯爵領までいらして、大層素晴らしい笑顔で『クラーク君を解放してあげましょう』と、おっしゃった。ナタリー・サーソク伯爵令嬢と結婚できるように、取り計らってくださるそうだ。これがどういうことかわかるか?」
え? なんでそうなるんだ?
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