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2 従姉妹にぞっこんの私の婚約者
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「お母様、私少しばかりダイエットしようと思うの」
私は翌朝お母様にそう宣言し、お父様は心配して眉根を寄せた。
「急にそのようなことを言い出すなんてどうしたんだね? マリアはダイエットの必要などないじゃないか?」
お父様の言葉にお母様も同意はしたが、ちょっとだけ考えて微笑んだ。
「そうね、今は少しスリムな女性がもてはやされるものね。痩せすぎはいけないけれど3キロぐらいなら痩せても良いと思うわ。綺麗になろうと努力するのは悪いことじゃないもの」
乙女心をわかってくれたお母様はさすが女同士で話が早い。
「私ね、特別メニューとか極端な食事制限はしないつもりなの。今までの食事を全体的に3割残すだけよ。あとは甘いジュースは止めて紅茶に砂糖も入れないわ。無理はしないから心配しないで」
困惑しているお父様にはそう言って微笑んだ。
お父様はお母様が大好きでいつもお母様の意見を大事にする。まぁ、力関係もあるんだけど・・・・・・だってお父様はハービィ公爵家の婿養子だからね・・・・・・しかも格下の伯爵家の三男だったの。
でも、とても仲良しでお母様もお父様が大好き。私はそのようなこともあってオスカー様がいいと思ったのだけれど、格下の家柄でも身の程をわきまえない男性がいることはこれから起こる事件で学ぶことになったわ。
それからの食事はジュリアの嫌味を散々きかされることになった。
「あらぁーー、マリア様ったらずいぶん食べなくなったのですねぇーー。もしかしてダイエット? うふふ、あたしのように華奢な女の子が好かれますものねぇーー。今頃気がついたのですね。せいぜい頑張ってくださいね!」
「ありがとう。そうね、ジュリアのように痩せている女の子って素敵よね?」
私は心の中とは裏腹に機嫌よく答えた。
ほんの少しづつだけれど変化は現れて一週間で1キロぐらいのペースで痩せていった私。
週に2回ハービィ公爵家を訪問するオスカー様との庭園でのお散歩に、ジュリアがいつも途中から合流するのも日課のようになってきた。
庭園でお散歩をするジュリアを追い払うのもどうかと思われたし、なによりオスカー様が嬉しそうにジュリアに話しかけるのだから仕方がない。
時には私よりも話が弾むオスカー様とジュリアに呆れながらも、お茶にまで当たり前のように同席するジュリアにイライラする気持ちが湧き上がる。私は砂糖なしの紅茶を飲んで気持ちを落ち着けようとした。
するとジュリアが私の紅茶にいきなり砂糖をたっぷり入れてこう言ったの。
「もうダイエットはいいのではないかしら? ずいぶん痩せたでしょう? 2キロか3キロぐらいは軽くなったのなら無理は良くないです! これは姉としてマリア様のことを心配してさしあげているのですよ」
「姉? あなたは私の姉ではなく、ただの従姉妹ですわ。そして、私のダイエットに口をはさむのは止めていただいてよろしいかしら?」
「ひどぉーーい! あたしはマリア様のことを妹のように思っていて心配していますのよ! お母様(叔母様)も酷いわ。同じ娘なのにドレスもマリア様のものばかりを注文なさるし。あたしには必要最小限のものだけ。貴族学校にも通わせてくれないなんて・・・・・・酷すぎる! オスカー様、あたしはここでは虐待されているのですわ」
泣き出すジュリアにしらける私。
「あぁ、僕も前からそれは思っていたよ! マリア、君のせいだろう? ジュリアを貴族学校に通わせないのもドレスを作らせないのも。あの聡明なハービィ女公爵様が自らの判断でこのような不公平をするはずがない。君がヤキモチを妬いてそうし向けたのに決まっているよ。ジュリアの方が綺麗だからって、嫉妬も大概にしなさい!」
私の知らないオスカー様がそこにはいた。これが彼の本性なのかな。私の恋心は段々としぼんでいくわ・・・・・・あんなに素敵に見えていたオスカー様なのに綺麗な金髪も色あせて見えてきたの。
「そうですよ! マリア様だって、あたしのこのピンクの髪と瞳にはかなわないにしてもなかなか美人なのですからひがまないでください! その銀髪はちょっとお婆さんみたいだし、アメジストの瞳はもう少し濃い色合いが素敵だと思うけれど悪くないです。その高慢そうなお鼻だって、少し高すぎて女性にしては可愛くないけど綺麗なんだから自信を持った方がいいですよ!」
「あぁ、ジュリアは天使のように優しい! 僕は感動したよ! 聞いたかい? こんなに優しい姉をないがしろにすることは僕が許さないよ」
ーーえ? ジュリアの吐いた言葉って優しいの? 悪口にしか聞こえない私っておかしいのかな?
私は翌朝お母様にそう宣言し、お父様は心配して眉根を寄せた。
「急にそのようなことを言い出すなんてどうしたんだね? マリアはダイエットの必要などないじゃないか?」
お父様の言葉にお母様も同意はしたが、ちょっとだけ考えて微笑んだ。
「そうね、今は少しスリムな女性がもてはやされるものね。痩せすぎはいけないけれど3キロぐらいなら痩せても良いと思うわ。綺麗になろうと努力するのは悪いことじゃないもの」
乙女心をわかってくれたお母様はさすが女同士で話が早い。
「私ね、特別メニューとか極端な食事制限はしないつもりなの。今までの食事を全体的に3割残すだけよ。あとは甘いジュースは止めて紅茶に砂糖も入れないわ。無理はしないから心配しないで」
困惑しているお父様にはそう言って微笑んだ。
お父様はお母様が大好きでいつもお母様の意見を大事にする。まぁ、力関係もあるんだけど・・・・・・だってお父様はハービィ公爵家の婿養子だからね・・・・・・しかも格下の伯爵家の三男だったの。
でも、とても仲良しでお母様もお父様が大好き。私はそのようなこともあってオスカー様がいいと思ったのだけれど、格下の家柄でも身の程をわきまえない男性がいることはこれから起こる事件で学ぶことになったわ。
それからの食事はジュリアの嫌味を散々きかされることになった。
「あらぁーー、マリア様ったらずいぶん食べなくなったのですねぇーー。もしかしてダイエット? うふふ、あたしのように華奢な女の子が好かれますものねぇーー。今頃気がついたのですね。せいぜい頑張ってくださいね!」
「ありがとう。そうね、ジュリアのように痩せている女の子って素敵よね?」
私は心の中とは裏腹に機嫌よく答えた。
ほんの少しづつだけれど変化は現れて一週間で1キロぐらいのペースで痩せていった私。
週に2回ハービィ公爵家を訪問するオスカー様との庭園でのお散歩に、ジュリアがいつも途中から合流するのも日課のようになってきた。
庭園でお散歩をするジュリアを追い払うのもどうかと思われたし、なによりオスカー様が嬉しそうにジュリアに話しかけるのだから仕方がない。
時には私よりも話が弾むオスカー様とジュリアに呆れながらも、お茶にまで当たり前のように同席するジュリアにイライラする気持ちが湧き上がる。私は砂糖なしの紅茶を飲んで気持ちを落ち着けようとした。
するとジュリアが私の紅茶にいきなり砂糖をたっぷり入れてこう言ったの。
「もうダイエットはいいのではないかしら? ずいぶん痩せたでしょう? 2キロか3キロぐらいは軽くなったのなら無理は良くないです! これは姉としてマリア様のことを心配してさしあげているのですよ」
「姉? あなたは私の姉ではなく、ただの従姉妹ですわ。そして、私のダイエットに口をはさむのは止めていただいてよろしいかしら?」
「ひどぉーーい! あたしはマリア様のことを妹のように思っていて心配していますのよ! お母様(叔母様)も酷いわ。同じ娘なのにドレスもマリア様のものばかりを注文なさるし。あたしには必要最小限のものだけ。貴族学校にも通わせてくれないなんて・・・・・・酷すぎる! オスカー様、あたしはここでは虐待されているのですわ」
泣き出すジュリアにしらける私。
「あぁ、僕も前からそれは思っていたよ! マリア、君のせいだろう? ジュリアを貴族学校に通わせないのもドレスを作らせないのも。あの聡明なハービィ女公爵様が自らの判断でこのような不公平をするはずがない。君がヤキモチを妬いてそうし向けたのに決まっているよ。ジュリアの方が綺麗だからって、嫉妬も大概にしなさい!」
私の知らないオスカー様がそこにはいた。これが彼の本性なのかな。私の恋心は段々としぼんでいくわ・・・・・・あんなに素敵に見えていたオスカー様なのに綺麗な金髪も色あせて見えてきたの。
「そうですよ! マリア様だって、あたしのこのピンクの髪と瞳にはかなわないにしてもなかなか美人なのですからひがまないでください! その銀髪はちょっとお婆さんみたいだし、アメジストの瞳はもう少し濃い色合いが素敵だと思うけれど悪くないです。その高慢そうなお鼻だって、少し高すぎて女性にしては可愛くないけど綺麗なんだから自信を持った方がいいですよ!」
「あぁ、ジュリアは天使のように優しい! 僕は感動したよ! 聞いたかい? こんなに優しい姉をないがしろにすることは僕が許さないよ」
ーーえ? ジュリアの吐いた言葉って優しいの? 悪口にしか聞こえない私っておかしいのかな?
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