(完結)妹に病にかかった婚約者をおしつけられました。

青空一夏

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10(大神官視点)

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 ピリュラツイレネ神殿は多くの国が信仰する神を祀る神殿である。大神官はそこの長であり、どの国の国王よりもその地位は高い。誰からも敬愛される大神官モンゴルフィエは、イズルダリア王国公爵家に嫁いだ妹ジャンヌ・リュシュパン公爵夫人からの手紙を読んでいるところであった。

(大神官視点)


「ふむ。湖が七色に光ったとな? 原因不明のマクシミリアンの病気がどんどん回復していくようだ? まさか・・・・・・」

 わたしは書庫に入り、高く積まれた聖女についての文献を何日もかかり調べる。膨大な書物のなかから、やっと見つけた箇所を声をあげて読み上げる。


『美しき乙女が清き水に触れたとき、七色に光り奇跡が起こる。水の精の如く清廉な乙女は尊き存在、神の祝福を一身に受け偉大なる治癒の力を持つ。この乙女こそ”聖女”である』


(なんと・・・・・・甥の婚約者が聖女様? こ、これは、なんと喜ばしくも有り難いことだ)

 早急にイズルダリア王国に向かおうとするも、神事行事が多く重なりどうにも移動することができないでいた。

 その後まもなくしてから、1通の招待状がわたしに届く。





親愛なるお兄様へ

 わたくしの一人息子マクシミリアンが全快しました。快気祝いのパーティを開きますので、ぜひお越しくださいませ。

 お兄様! わたくしの義理の娘になるフランソワーズは水の精オンディーヌにそっくりです。巨匠の描く麗しきオンディーヌそのものです。それに彼女は”奇跡”を起こしました。

 つまりは、わたくしの大事なフランソワーズは・・・・・・続きの楽しいお話しはパーティで! お兄様は、これには必ず出席しなければいけません。

ジャンヌ・リュシュパンより

 
 

 もちろん、行くさ。可愛い妹の息子の快気祝いだ。これに行かなければ神の意にも背くことになる。

「これからわたしは、イズルダリア王国に向かうこととする! わたしを守る神聖騎士を集めろ!」



୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

神聖騎士:大神官を守る神殿に属する騎士。大神官が移動する際には必ず護衛につく。
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