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クズ男の調教
しおりを挟む夜の少しばかり遅い時間に私は1年間付き合った彼のアパートの鍵をあけてそっと入った。
苦しげな切なそうな喘ぎ声が部屋の奥から聞こえてくる。
玄関には、白いピンヒールのパンプスがあった。
私は、そっとドアを閉めて、満面の笑みでその場をあとにした。
☆
「あ、ごめん、財布をわすれちゃってさ」
彼は3回目のデートの時に、そう言って私にお金を全部ださせた。
5回目のデートでは、お金まで借りようとするあつかましさだった。
親からの仕送りを盗まれたとか、財布を落としたとか、次第に私のお金をあてにするようになっていた。
「私、あなたとは別れたいよ。終わりにしよう」
私が彼にそう言って、帰ろうとすると、すごい力で腕を捕まれた。
「絶対に別れないぞ。お前には俺が必要なんだよ?いったい、俺のどこが気に入らないんだ?」
「気に入らないところだらけなんですけど?お金にルーズだし女遊びはするしパチンコもするし‥‥」
「なんだと?お金はあとで返すって言ってるだろう?今、手持ちがないだけで、すぐに倍にしてかえしてやるよ。パチンコは趣味だからいいだろう?このあいだだって、ちょっと買ってお前に景品のチョコあげただろ?」
こいつは、クズ男だ!少しばかり、かっこいいからってのぼせあがって付き合った私がばかだった。
「とにかく、もう会わない!お金はもう返してくれなくていいから!」
「おい、待て!こら!このやろう、俺をヒモみたいにいいやがって!返すっていってんだろーがよ!」
彼は私に馬乗りになって顔を数発たたき、足で数回蹴られた。
この男に殺されるかも‥‥と思ったら彼が急に泣き出した。
「お、お前がいけないんだ‥‥わざとじゃないんだ。つい、かっとして。お前が怒らせるから」
彼はいいわけしながら、泣きじゃくって謝ってきた。
「お前を愛してるんだ。わかるだろ?別れるなんて言うなよ。殺しちゃうよ、なぁーーんちゃって」
彼は、一瞬、狂気の宿る瞳を私に向けた。
ぞっとして背筋が凍った私は身動きができなかった。
☆
別れない、ということで彼をなだめた私は自宅に戻った。
私には両親がいなくて、兄が一人いるだけだ。
わけあって、ずっと連絡をとっていなかった兄だが、私の大学の学費や生活費は兄が毎月仕送りをしてくれていた。
「もしもし、お姉ちゃん、あたし、洋子だよ。お願い、助けて‥‥」
兄は次の日、遠くからすっとんできた。
私の腫れた顔や足のあざを見て、怒りで顔を歪ませている。
「男のアパートと名前を教えなさい。あとは、あたしがうまく料理してやるわ!洋子には指一本ふれさせないよ。あたしが念入りに教育してあげようじゃない?」
「ありがとう。お姉ちゃん。その格好も似合ってるね!しばらく連絡しなくてごめんね」
「いいのよーーーぉ。こんな兄貴、恥ずかしいもんねぇ」
☆
兄は元悪役プロレスラーで今は、オカマバーのママさんだ。
屈強な身体の大男だが、女装が趣味。
「今日の靴、素敵ね!夏らしいね」
私は白のピンヒールのパンプスを褒めた。
「これ、最近のお気に入りよ。特注品なのよ、この世にひとつ!」
「うん、とてもかっこいいよ」
☆
白いパンプスが転がっていた彼のアパートからでてきた私は、おもいっきり夜の空気を吸い込んで鼻歌を歌いながら自分のアパートに帰った。
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