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ドリアン子爵夫妻の場合
断罪2 アデリー男爵夫人
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ーーアデリー男爵夫人ーー
海か山? 意味がわからない。このカトレーネ・トマス前々公爵夫人の、おっしゃる意味がわからず躊躇していた。
「どちらかと言えば、山・・・・・・ですわ」
その後は、そのまま屋敷に戻されて、荷物をまとめさせられた。護衛騎士付きのトマス公爵家の馬車が待っていて、逃げることもできなかった。
二日ほど、馬車に揺られて、やっと着いた場所は、炭鉱だった。噂には、聞いたことがあるがここで働くのかと思ったら涙が出てきた。
粗末な作業着を着せられて、坑内堀りに従事させられると、そこは地獄だった。温度が40度にもなるというその場所で、一日12時間も働かされた。
これは、人間のする仕事ではない。奴隷ではないか! 明らかに、法律違反だと思う。
「これは、法律違反でしょう? こんな劣悪な労働環境で人間を働かせるなんて、おかしいじゃないの!」
私は、たまに来るトマス公爵家の方に叫んだ。とても、綺麗な背の高い女性。名前は、バーミュレ様だったと思う。
「残念ながら法律違反ではありませんよ。なぜなら、適正な報酬をここでは渡していますからね? 貴方の場合は借金返済にまわされていますがね。娘を、好きでもない相手に嫁がせて、借金のし放題をしていた方が文句を言えた義理ではないでしょう?」
「娘はお金持ちに嫁に行けて、幸せだったはずなんです! あのオーロラが、全ていけないんだわ。浮気なんてするから!」
私は、泣きわめきながら周りの者に当たり散らした。
「静かになさい。よろしいですか? アデリー男爵夫人? 騒げば、もっと醜聞をほじくりだしてもいいのですよ? 貴女、ずいぶん年下の男性がお好きなようですね? 男性を買うって、どんな気分ですか? そして、その金を娘の夫に払わせて、天国のような気持ちでしたか? つけが、まわってきただけです!」
え? なんで、それを知っているのよ? それは、夫も知らないことだった・・・・・・だって、綺麗な若い男は、皆が好きでしょう? なによ! 聖人君子ぶるんじゃないわよ!
「なによぉおーー! 貴女だって、絶対、若くて綺麗な男が好きなはずでしょう! 貴女ほどの美女なら、いくらでも男が寄ってくるわよね! 自分だって、よろしく、やっているくせに!」
私は、せせら笑いながら言ってやった。
「やれやれ、お婆様が温情を示して、一ヶ月後にはもっとましな職場に移すようにおっしゃっていたが。私の権限でなかったことにしよう。私の最愛の妻を侮辱する女に優しい気持ちにはなれないからね」
バーミュレ様の側に立った男性は、舞台俳優のような甘いマスクの美男子だった。背も高く、鍛えられあげた筋肉は服を着ていてもわかる。
この男性が夫か・・・・・・それなら・・・・・・浮気なんてしないだろな・・・・・・あぁ、言わなければ良かった。
余計なことを口走った私は、この炭鉱の辛い作業を8年間もすることになったのだった。
海か山? 意味がわからない。このカトレーネ・トマス前々公爵夫人の、おっしゃる意味がわからず躊躇していた。
「どちらかと言えば、山・・・・・・ですわ」
その後は、そのまま屋敷に戻されて、荷物をまとめさせられた。護衛騎士付きのトマス公爵家の馬車が待っていて、逃げることもできなかった。
二日ほど、馬車に揺られて、やっと着いた場所は、炭鉱だった。噂には、聞いたことがあるがここで働くのかと思ったら涙が出てきた。
粗末な作業着を着せられて、坑内堀りに従事させられると、そこは地獄だった。温度が40度にもなるというその場所で、一日12時間も働かされた。
これは、人間のする仕事ではない。奴隷ではないか! 明らかに、法律違反だと思う。
「これは、法律違反でしょう? こんな劣悪な労働環境で人間を働かせるなんて、おかしいじゃないの!」
私は、たまに来るトマス公爵家の方に叫んだ。とても、綺麗な背の高い女性。名前は、バーミュレ様だったと思う。
「残念ながら法律違反ではありませんよ。なぜなら、適正な報酬をここでは渡していますからね? 貴方の場合は借金返済にまわされていますがね。娘を、好きでもない相手に嫁がせて、借金のし放題をしていた方が文句を言えた義理ではないでしょう?」
「娘はお金持ちに嫁に行けて、幸せだったはずなんです! あのオーロラが、全ていけないんだわ。浮気なんてするから!」
私は、泣きわめきながら周りの者に当たり散らした。
「静かになさい。よろしいですか? アデリー男爵夫人? 騒げば、もっと醜聞をほじくりだしてもいいのですよ? 貴女、ずいぶん年下の男性がお好きなようですね? 男性を買うって、どんな気分ですか? そして、その金を娘の夫に払わせて、天国のような気持ちでしたか? つけが、まわってきただけです!」
え? なんで、それを知っているのよ? それは、夫も知らないことだった・・・・・・だって、綺麗な若い男は、皆が好きでしょう? なによ! 聖人君子ぶるんじゃないわよ!
「なによぉおーー! 貴女だって、絶対、若くて綺麗な男が好きなはずでしょう! 貴女ほどの美女なら、いくらでも男が寄ってくるわよね! 自分だって、よろしく、やっているくせに!」
私は、せせら笑いながら言ってやった。
「やれやれ、お婆様が温情を示して、一ヶ月後にはもっとましな職場に移すようにおっしゃっていたが。私の権限でなかったことにしよう。私の最愛の妻を侮辱する女に優しい気持ちにはなれないからね」
バーミュレ様の側に立った男性は、舞台俳優のような甘いマスクの美男子だった。背も高く、鍛えられあげた筋肉は服を着ていてもわかる。
この男性が夫か・・・・・・それなら・・・・・・浮気なんてしないだろな・・・・・・あぁ、言わなければ良かった。
余計なことを口走った私は、この炭鉱の辛い作業を8年間もすることになったのだった。
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