(完結)(続編)カトレーネ・トマス前々公爵夫人の事件簿 その1

青空一夏

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2 夫の嘘に悲嘆に暮れたレティシア(ヒロイン)・・・・・・

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「ただいま。ちょっと、疲れたな。今日は、ちょっと仕事があってね。騎士団の仕事は、急に呼び出されることもあるから過酷なんだよ。飲み物をくれないか? え? 買ってないのか? なにをしていたんだ! 君は、仕事もしていないくせに夫の好きな飲み物も買いに行く時間がないのか?」

「今日は、マリーのミルクが安売りだったから、まとめて買ったのよ。重くて持てなかったから・・・・・・」

「はっ! 言い訳は聞きたくないよ! 僕が、頑張って働いているのに、酷い妻だな」

私は、今日、見た光景が頭にこびりついて、涙がこみ上げてきた。

「ねぇ、今日はなにをしていたの?」

私は、さりげなく聞いたが、ライアンはうるさそうに手をヒラヒラさせて、こういった。

「君には到底わからない難しい機密業務さ。いつも、僕は命の危険と隣り合わせで、大変なストレスにさらされているんだぞ! 赤ん坊の子守しかしていない君には想像できないから、聞くだけ無駄さ。君は黙って僕の言うとおりにしていればいいんだ!」

私は、この瞬間になって漸く、この男と結婚したのが大失敗だったことを悟った。なぜ、お母様のおっしゃることを聞いて、他の方と結婚しなかったのだろう。

若気の至りとは言うけれど、私は愚かすぎた。食欲もなく、マリーの世話でくたくたなのに寝ることもできない。

「ライアン。今月のお給料が、すごく少ないのだけれど・・・・・・」

「あぁ、最近、給料形態が変ったからね。仕方ないだろ?」  

私は、隣人のナタリーに聞いた。

「お給料? 前より、上がったから嬉しいわよね? うちは、子供をもう一人産もうかって相談し合っているのよ?」

上がった? 全然、ライアンが言っていることと違う。私は、こみあげる不安と焦燥感に胸を押さえたのだった。
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