レトロな事件簿

八雲 銀次郎

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14章:四人の約束

#11-11

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 「ナナ…。」
 「聞いたよヒサ。アンタがバンド組みたがるなんて、珍しいね。一体どういう風の吹き回しよ。」
 トヨダ先輩にナナと呼ばれた女性と、風子先輩はそれぞれ開いている席に座り、私と同じでドリンクバーを注文していた。
 「別に、たまにはこういうのも悪くねぇなと思って。ってか、お前は何しに来たんだよ…。」
 「私はフーに話聞いて来たのよ。まだボーカル枠が欠番だって聞いたから、丁度いいかなぁと思って。それに、面白そうだし…。」
 「あ、あの…。」
 彼らが独自に話を展開していくため、私と河内は付いていけず、漸く話を遮ることができた。それを察したように、風子先輩が説明し始めた。
 「えっと、この人は3年の七森知夏先輩。ウチのサークルのボーカル担当。偶にギターも弾くこともあるけど、基本的には声担当だから、間違えないように。」
 「確か、寧々ちゃんと雅史君だよね?よろしくね。ちなみに、フーとは同じ学部だから、一緒にいること多いよね?」
 風子先輩がそれに頷いた。
 「そして、そこのヒサ…。トヨダ君とは、高校時代からの腐れ縁。」
 「ナナ先輩も相当歌上手いから、入れても問題ないと思ったけど、一応リーダーは寧々ちゃんだから、許可は得ないとなぁと思って連れてきた。あわよくば、今日で曲とか決めておきたいともって…。」
 「私は全然構いません。河内君とトヨダ先輩は?」
 私は正直、当日友人が聴きに来てくれる予定だから、それに恥じない様なメンバーだとありがたい。ただそれだけなので、人間性にかなりの問題さえなければ、誰でも良いといった所だ…。
 「俺はトヨダ先輩と組めれば誰でも良いですよ。よろしくお願いします、知夏先輩。」
 河内はそう答えると、知夏先輩に握手を求めた。
 「ナナでいいよ。そっちの方が呼びなれてるし。よろしく、河内君…。」
 知夏先輩も彼の握手に答える様に、手を握った。
 「じゃぁ俺もマサでお願いします。」
 「…よろしく、マサ君。」
 「良かった…。トヨダ先輩はどうですか?」
 風子先輩がトヨダ先輩に訊ねた。
 「俺も誰でも良いよ。最終決定権はリーダーにあるんだ。それよりも、ナナが入ってくれるなら、俺は文句はねぇよ。」
 「…ヒサ…。あぁもう!好き!いい加減付き合ってよ!」
 唐突な告白に私とマサは飲んでいたジュースを吹き出してしまった。
 「イヤだ。いつも言ってるだろ。俺には既に決めてる人が居るんだって…。」
 「酷い!いっつもそうやってはぐらかして…。私の気持ちも考えてよ!」
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