レトロな事件簿

八雲 銀次郎

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14章:四人の約束

#11-10

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 それから、7分程経ったころに、河内がやってきた。講義が終わったばかりだというのに、相変わらず彼は元気がよく、店に入ってきた瞬間から、彼の存在がわかるほどだった。
 「いや~。早いですね二人とも!俺も何か注文して良いですか?昼まだ食べてなくて。」
 かと思えば、育ちは良いのか、言葉遣いや礼儀はよく、先輩同期問わず、裏表がない性格なのは、ありがたい。無駄な詮索をしなくても済みそうだ。
 「まだ全員揃ってないから良いんじゃね?」
 トヨダ先輩がそう答えると、彼は肉料理とライス替わりのオムライスと日替わりのスープバー、付け合わせのためかフライドポテトとオニオンリング、デザート用のイチゴパフェとドリンクバーを注文していた。
 「そんなに食べるの?」
 「お腹空いちゃって。」
 私も、高校生の頃は確かに底なしの様に、食べていた時期もあったが、最近は落ち着いてきた。
 あの時期だったからこそ、胸やけや胃もたれなんて知らずに過ごせた。だが最近は、そんなことも、言っていられない。間食の菓子類ですら、選ばなければならない程だ。
 だから、昼はなるべく弁当なんかで、カロリーやバランスを考えている。
 そんな私からすれば、一度にそんなに食べられる彼が少し羨ましく思う…。
 「あ、そういえばトヨダ先輩。一つ聞きたいことがあったんですけど。」
 「?」
 河内がドリンクを持ってきた際に、思い出したかのように、そう訊ねた。
 まぁ、彼もこう見えてギタリスト。一度もセッションをしたことがないから、彼のギタリストとしてのレベルがどのくらいなのかもわからないが、トヨダ先輩が居るからと、私のメンバー募集に乗ってきた。
 きっと、同じギタリストとして聞きたいことは、山ほどあるのだろう…。
 そう思っていたのだが…。
 「あのスタンプ、にゃん太師匠ですよね?しかも劇場版限定の!」
 「そうだよ。朝から並んで、手に入れたやつ。」
 「え…。」
 「マジですか!実は俺も見に行ったんですよ!ただ、スタンプ配布は終わってて、キーホルダーくらいしかグッズ手に入らなかったんですよね…。」
 「手に入るだけ良いじゃねぇか。中には転売ヤーに頼らざるを得ない奴らも居るんだ。しっかり現場で、しかも定価で買えたことは誇っていいと思うぞ。」
 「そんなものですかね…。」
 にゃん太師匠。私が知らないだけで、実はメジャーなアニメなのではないのか…。私はこっそり、スマホでにゃん太師匠を検索した。
 「ごめん!お待たせ!」
 そうこうしてる内に風子先輩が現れた。もう一人、女性を連れて…。
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