レトロな事件簿

八雲 銀次郎

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14章:四人の約束

#11-5

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 「ちょ、ちょっと寧々!あたしらそんな話聴いてないんだけど!」
 楽器をしまっていると、同じクラスのマナカがそう話しかけてきた。彼女は高校のときからギターをやっているらしい。
 「さっき思いついたから。あんたもやる?」
 「い、良いよ…。トヨダ先輩と組むんでしょ?あたしじゃぁ張り合えないよ…。」
 「じゃぁ、他を当たるよ。」
 楽器をしまい終え、担ごうとしたその時だった。勢いよく、部屋の扉が開いた。そこには息を切らした、女性が一人立っていた。
 「さ、さっきのベース弾いてた子って誰?」
 女性は、息も絶え絶えにそう訪ねた。
 「…私ですけど。」
 「ホント?!」
 そう言うと、彼女は嬉しそうにこちらにやってきて、私の手を握った。
 「私とバンド組まない?あれだけリズムとテンポキープできるベーシスト、なかなか居ないからさ!」
 「良いですけど、因みにパートは何ですか?」
 「あ、ごめんごめん。私は2年の池田風子。パートはドラムで、去年まで4年の先輩達と組んでたから今フリーなんだよ。」
 「そうなんですか。私は、1年の佐藤寧々です。今次の新入生歓迎会のメンバーを集めてます。それでも良いなら、組みましょう。」
 私がそう言うと、風子先輩はキョトンとした顔をしていた。
 「新入生歓迎会?貴女新入生でしょ?」
 「はい。ですが、私はどうも聴いているより、演奏する方が好きなので、どうしても出たいんです。
 さっき、サークル長に聴いたら、メンバーさえ集められれば問題ない、とのことだったので、急ですが募集することにしました。」
 暫く彼女は目を丸くした後、堰を切った様に豪快に笑い始めた。
 「ハッハッハ…。ごめん!ただ面白くってつい…。
 良いねぇ寧々ちゃん。それが貴女のロックなら、私と相性は良さそう。」
 彼女はそう言うと、スマホを差し出してきた。
 「その話、乗った!だから連絡先教えて。時間無いから、練習日とか早めに決めないと。メンバーは私と寧々ちゃんの二人だけ?」
 「いえ、先程トヨダ先輩って方が来て…。」
 「え?トヨダ先輩?珍しいこともあるのね…。分かった、先輩の分もグループチャットに追加しておくからよろしくね。」
 彼女は、そう言うとまた勢いよく扉を開け、部屋を出ていった。
 「おい…。風子まで…。あの1年何者だよ…。」
 「あの娘なら、トヨダの本気、見せてくれるかもな…。」
 そういった声が、部屋中から聞こえた。
 「ねぇそういえば、さっきのトヨダ先輩っどんな人なんだろ…。」
 マナカに訪ねた。
 「あんた、知らないの?トヨダ先輩って、高校時代からかなり有名だよ。」
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