レトロな事件簿

八雲 銀次郎

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14章:四人の約束

#11-3

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 「私は、音楽なんてやったこと無いし、楽譜も人並みにしか読めないけど、一度聞けば何となく音は分かる。だからつまらなくてやってないんだけどね…。」
 「つまらない…。」
 私の言葉に、彼女は眉間にシワを寄せた。
 「あ、その、つまらないってのは、そういう意味じゃなくて、聞くのは好きなんだけど、弾けるから、達成感があまりなくて…。」
 そこまで言うと、寧々はお弁当を口に掻き込み立ち上がった。
 「来週の土曜日17時に、駅前のライブハウスでライブがある。そこに来てほしい。入場料とかは私が奢るから、絶対に来て。詳細は後で教えるから、これに連絡先書いて。」
 彼女は、そう言いうと、メモ帳を出し、お弁当を片付け始めた。
 「…。」
 私は、それに従い、自分の電話番号と、メッセージアプリのIDを記入し、彼女に手渡した。
 「絶対だよ!私が音楽が何なのかっていうのを、教えてあげる。」
 寧々は相違言い残すと、楽器を背負い、食堂を出ていった…。
 「…何?」
 何か怒らせることでも口走ってしまっただろうか…。彼女も、拘りすぎるのは嫌だと行っていたから、私のこともわかってくれると思ったが、違ったのか…。
 私も、食べ終わった食器を片付け、午後の、講義に向かった。


 食堂で合った、あの背の低い娘と分かれた後、一度自宅に戻った。
 「お帰り、今日は早かったね。」
 案の定、ばあちゃんが出迎えてくれたが、すぐに学校に戻らなければならなかった。
 「ばあちゃんただいま、また大学戻らないといけないから。」
 そう答え、自室に入り、部屋の隅で眠っていた、楽器ケースに手を掛けた。
 「まさか、こんなに早く出番が来るとは思わなかったね…。」
 更にベッドの下から引張出したアタッシュケースを掴み、家を出た。

 それから時間が経ち、講義が終わった人達は各々、サークル室に向かっていた。
 私が、軽音のサークル室に入る頃には、数十人程のメンバーが各々の時間を過ごしていた。私の姿に気が付き、手招きしてくれるメンバーもチラホラ…。
 だが今日は、彼等と駄弁りに来たわけではない。
 私は彼等の前を通り過ぎ、教卓の前に立った。
 「急募します!このサークル内で、一番音楽が好きなメンバーを集めます!加入条件は、私と同等のレベルのリード、バッキングギター、ドラム、ボーカル一名ずつ!」
 私はそう言い、背負ってきた楽器、5弦ベースを取り出し、近くのベースアンプに繋いだ。
 「先輩でもOBでも誰でもいいです。私のベースを満足させられる人なら、誰でも良いです。」
 私は、持っていたベースを一心不乱に弾いた。
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