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14章:四人の約束
#11-2
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「こ、こちらこそ、すみません。」
私がそう答えると、寧々は手をひらひらと振ると、歩き始めた。
「何?寧々。新手のナンパ?」
「違うって~。ただぶつかっただけよ~。」
周りに居た人達が寧々を茶化しているのを後目に私も歩き始めた。
彼女が背負っていたのは、ギターではなく、おそらく、エレキベースって物だろう…。大きさがギターよりも大きい。
それに他の周りにいる人達も、それぞれ楽器の様な物を背負ったり肩に掛けたりしている…。
きっと…。
「軽音楽部…か…。」
私も少しではあるが、ピアノを齧ったことがある。習っていた訳では無いが、幸い、譜面は読めるし、一度聞いた曲は、何となくではあるが脳内で譜面に起こすことができる。
だが、それができてしまうから、つまらない…。そう思っていた。だから、音楽系の部活には、あまり興味がなかった…。彼女に合うまでは…。
翌日、私は例のごとく、独りで食堂のラーメンを啜っていた。
昼時の所為か、食堂には、かなりの人数の学生や教授でごった返していた。この食堂は、一般人にも、開放している為、よく見ると子供連れの主婦や工事関係の業者などといった、一般人も何人かいる。当然、私の様に独りで居る人も。
「そんなのばっかり食べてると、大きくなれないぞ~。」
そう行って現れたのは、昨日ぶつかってしまった軽音楽部の女性だった。
「…昨日の…。」
「お?覚えてたんだ~。隣良い?全然席空いてなくって。」
「いいですけど、お弁当持参なら、教室でも良いんじゃない?」
この頃から寧々は、お昼は弁当を持参していた。
「今日午後からの講義無いから、居るところが、サークル室かここくらいしか無いからさ、それまでどうにかこうにか時間潰せないかなぁって…。」
サークルが始まる時間まではだいたい4、5時間ある。それまで時間を潰すには、食堂だけでは流石に、キツい気がする…。
「それなら、昨日のメンバー達と過ごせばいいじゃない。その方が、楽しいんじゃない?」
私がそう提案すると、彼女は箸を置いた。
「あの人達は、それぞれ個人練習するんだって…。」
少し寂しそうな顔をしたのが見えてしまった。
「私、自慢じゃないけど、一度聞けば、大体の曲は弾けるし、それなりの楽器も、機材も揃ってるから、基礎練習以外あまりしないんだよね…。練習して極め過ぎちゃうと、拘り出しちゃうから、自分で妥協するようにしてるんだよね。」
彼女はそう言いながら、再度弁当を食べ始めた。
「ふ~ん。私と一緒か…。」
私がボソリとそう言うと、彼女は驚いた様に、こちらを見た。
私がそう答えると、寧々は手をひらひらと振ると、歩き始めた。
「何?寧々。新手のナンパ?」
「違うって~。ただぶつかっただけよ~。」
周りに居た人達が寧々を茶化しているのを後目に私も歩き始めた。
彼女が背負っていたのは、ギターではなく、おそらく、エレキベースって物だろう…。大きさがギターよりも大きい。
それに他の周りにいる人達も、それぞれ楽器の様な物を背負ったり肩に掛けたりしている…。
きっと…。
「軽音楽部…か…。」
私も少しではあるが、ピアノを齧ったことがある。習っていた訳では無いが、幸い、譜面は読めるし、一度聞いた曲は、何となくではあるが脳内で譜面に起こすことができる。
だが、それができてしまうから、つまらない…。そう思っていた。だから、音楽系の部活には、あまり興味がなかった…。彼女に合うまでは…。
翌日、私は例のごとく、独りで食堂のラーメンを啜っていた。
昼時の所為か、食堂には、かなりの人数の学生や教授でごった返していた。この食堂は、一般人にも、開放している為、よく見ると子供連れの主婦や工事関係の業者などといった、一般人も何人かいる。当然、私の様に独りで居る人も。
「そんなのばっかり食べてると、大きくなれないぞ~。」
そう行って現れたのは、昨日ぶつかってしまった軽音楽部の女性だった。
「…昨日の…。」
「お?覚えてたんだ~。隣良い?全然席空いてなくって。」
「いいですけど、お弁当持参なら、教室でも良いんじゃない?」
この頃から寧々は、お昼は弁当を持参していた。
「今日午後からの講義無いから、居るところが、サークル室かここくらいしか無いからさ、それまでどうにかこうにか時間潰せないかなぁって…。」
サークルが始まる時間まではだいたい4、5時間ある。それまで時間を潰すには、食堂だけでは流石に、キツい気がする…。
「それなら、昨日のメンバー達と過ごせばいいじゃない。その方が、楽しいんじゃない?」
私がそう提案すると、彼女は箸を置いた。
「あの人達は、それぞれ個人練習するんだって…。」
少し寂しそうな顔をしたのが見えてしまった。
「私、自慢じゃないけど、一度聞けば、大体の曲は弾けるし、それなりの楽器も、機材も揃ってるから、基礎練習以外あまりしないんだよね…。練習して極め過ぎちゃうと、拘り出しちゃうから、自分で妥協するようにしてるんだよね。」
彼女はそう言いながら、再度弁当を食べ始めた。
「ふ~ん。私と一緒か…。」
私がボソリとそう言うと、彼女は驚いた様に、こちらを見た。
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