289 / 309
14章:四人の約束
#11-1 対照
しおりを挟む
麻由美の助言もあり、あれから、殆ど入れ食い状態でイワナが6匹程釣れた。だが、川の中の魚たちも、流石に異変を察知したのか、蜘蛛の子を散らす様に、居なくなってしまった。
「こうなったら、暫く待つしか無いね…。」
麻由美はそう言うと、岩の上に寝そべり始めた。
「たまにルアー動かしながら、少しだけ待ってて。」
「わ、分かった。」
彩はそう言うと、釣り竿を動かしながら、また座り込んだ。
「そういえばさ、彩。寧々と初めてあった日のことって覚えてる?」
麻由美が思い出した様に彩に聞いた。
「寧々と?」
「うん。寧々に聞いたら忘れたらしいからさ。」
そういえば私も、二人の関係はそれ程深くは知らない。私と麻由美は高校の時からの同級生だから、それなりの付き合いだ。
だが、彩と寧々は、出身高校が違う。そのため、接点が生まれたのは、大学に入学した、数ヶ月前の話だ。一体どういった経緯で二人は知り合ったのか…。
「確かに、私も気になる…。どうやって知り合ったの?やっぱりサークルで?」
私が寧々に聞くと、思い出す様に顎に手を置いた。
「ん~何でだっけ…。」
「本当に覚えてないの?」
彩が呆れた。
「私はさ、音楽関係で人と知り合うことが多いから、人との出会いなんて、あんまり覚えてないんだよね…。
でも、香織と初めて合ったときのことは、覚えてるよ。」
「はぁ…。まぁでも、寧々は覚えてなくても当然か…。」
そう言うと、彩は語りだした。
大学の入学式を終え、数日が経った。
大学の敷地内は、サークルや部活のメンバーを募集する人とそれに興味を惹かれる人で溢れかえっていた。
同じ学部内でも、何人かが固まり楽しそうにしていた。
私にはそんな知り合い、居なかった。昔からそうなのだ。友人の作り方がよくわからず、結局売れ残ってしまう…。たまに、声を掛けてくれる人たちはいるのだが、適当にあしらってしまう為、最終的には、孤立してしまう。
まぁ、学校なんて、勉強さえできればいい等と自分に言い聞かせ、帰路に着くため正門に向かった。
だが、いろんなサークルが勧誘をしている為、なかなか前に進まない。
将棋、ゲーム、落語、盆栽…。色々なサークルがあるものだ…。私が、あたりを見回していると、人とぶつかってしまい、思わず足元がよろけてしまった。だが、私の身体は、地面に叩きつけられることはなく、ぶつかってしまった、女性に受け止められていた。。
「ごめんごめん、話に夢中でさぁ、気が付かなかったよ…。立てる?」
「は、はい…。」
なんとか起き上がり、彼女の方に改めて目をやると、派手な服装に、派手な髪色。それに長いギターケースを背負っていた。
「良かった。ちゃんと前見ないとだねぇ、お互い。」
それが、佐藤寧々との初めての出会いだった。
「こうなったら、暫く待つしか無いね…。」
麻由美はそう言うと、岩の上に寝そべり始めた。
「たまにルアー動かしながら、少しだけ待ってて。」
「わ、分かった。」
彩はそう言うと、釣り竿を動かしながら、また座り込んだ。
「そういえばさ、彩。寧々と初めてあった日のことって覚えてる?」
麻由美が思い出した様に彩に聞いた。
「寧々と?」
「うん。寧々に聞いたら忘れたらしいからさ。」
そういえば私も、二人の関係はそれ程深くは知らない。私と麻由美は高校の時からの同級生だから、それなりの付き合いだ。
だが、彩と寧々は、出身高校が違う。そのため、接点が生まれたのは、大学に入学した、数ヶ月前の話だ。一体どういった経緯で二人は知り合ったのか…。
「確かに、私も気になる…。どうやって知り合ったの?やっぱりサークルで?」
私が寧々に聞くと、思い出す様に顎に手を置いた。
「ん~何でだっけ…。」
「本当に覚えてないの?」
彩が呆れた。
「私はさ、音楽関係で人と知り合うことが多いから、人との出会いなんて、あんまり覚えてないんだよね…。
でも、香織と初めて合ったときのことは、覚えてるよ。」
「はぁ…。まぁでも、寧々は覚えてなくても当然か…。」
そう言うと、彩は語りだした。
大学の入学式を終え、数日が経った。
大学の敷地内は、サークルや部活のメンバーを募集する人とそれに興味を惹かれる人で溢れかえっていた。
同じ学部内でも、何人かが固まり楽しそうにしていた。
私にはそんな知り合い、居なかった。昔からそうなのだ。友人の作り方がよくわからず、結局売れ残ってしまう…。たまに、声を掛けてくれる人たちはいるのだが、適当にあしらってしまう為、最終的には、孤立してしまう。
まぁ、学校なんて、勉強さえできればいい等と自分に言い聞かせ、帰路に着くため正門に向かった。
だが、いろんなサークルが勧誘をしている為、なかなか前に進まない。
将棋、ゲーム、落語、盆栽…。色々なサークルがあるものだ…。私が、あたりを見回していると、人とぶつかってしまい、思わず足元がよろけてしまった。だが、私の身体は、地面に叩きつけられることはなく、ぶつかってしまった、女性に受け止められていた。。
「ごめんごめん、話に夢中でさぁ、気が付かなかったよ…。立てる?」
「は、はい…。」
なんとか起き上がり、彼女の方に改めて目をやると、派手な服装に、派手な髪色。それに長いギターケースを背負っていた。
「良かった。ちゃんと前見ないとだねぇ、お互い。」
それが、佐藤寧々との初めての出会いだった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夜の動物園の異変 ~見えない来園者~
メイナ
ミステリー
夜の動物園で起こる不可解な事件。
飼育員・えまは「動物の声を聞く力」を持っていた。
ある夜、動物たちが一斉に怯え、こう囁いた——
「そこに、"何か"がいる……。」
科学者・水原透子と共に、"見えざる来園者"の正体を探る。
これは幽霊なのか、それとも——?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?


第一機動部隊
桑名 裕輝
歴史・時代
突如アメリカ軍陸上攻撃機によって帝都が壊滅的損害を受けた後に宣戦布告を受けた大日本帝国。
祖国のため、そして愛する者のため大日本帝国の精鋭である第一機動部隊が米国太平洋艦隊重要拠点グアムを叩く。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる