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14章:四人の約束
#11-1 対照
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麻由美の助言もあり、あれから、殆ど入れ食い状態でイワナが6匹程釣れた。だが、川の中の魚たちも、流石に異変を察知したのか、蜘蛛の子を散らす様に、居なくなってしまった。
「こうなったら、暫く待つしか無いね…。」
麻由美はそう言うと、岩の上に寝そべり始めた。
「たまにルアー動かしながら、少しだけ待ってて。」
「わ、分かった。」
彩はそう言うと、釣り竿を動かしながら、また座り込んだ。
「そういえばさ、彩。寧々と初めてあった日のことって覚えてる?」
麻由美が思い出した様に彩に聞いた。
「寧々と?」
「うん。寧々に聞いたら忘れたらしいからさ。」
そういえば私も、二人の関係はそれ程深くは知らない。私と麻由美は高校の時からの同級生だから、それなりの付き合いだ。
だが、彩と寧々は、出身高校が違う。そのため、接点が生まれたのは、大学に入学した、数ヶ月前の話だ。一体どういった経緯で二人は知り合ったのか…。
「確かに、私も気になる…。どうやって知り合ったの?やっぱりサークルで?」
私が寧々に聞くと、思い出す様に顎に手を置いた。
「ん~何でだっけ…。」
「本当に覚えてないの?」
彩が呆れた。
「私はさ、音楽関係で人と知り合うことが多いから、人との出会いなんて、あんまり覚えてないんだよね…。
でも、香織と初めて合ったときのことは、覚えてるよ。」
「はぁ…。まぁでも、寧々は覚えてなくても当然か…。」
そう言うと、彩は語りだした。
大学の入学式を終え、数日が経った。
大学の敷地内は、サークルや部活のメンバーを募集する人とそれに興味を惹かれる人で溢れかえっていた。
同じ学部内でも、何人かが固まり楽しそうにしていた。
私にはそんな知り合い、居なかった。昔からそうなのだ。友人の作り方がよくわからず、結局売れ残ってしまう…。たまに、声を掛けてくれる人たちはいるのだが、適当にあしらってしまう為、最終的には、孤立してしまう。
まぁ、学校なんて、勉強さえできればいい等と自分に言い聞かせ、帰路に着くため正門に向かった。
だが、いろんなサークルが勧誘をしている為、なかなか前に進まない。
将棋、ゲーム、落語、盆栽…。色々なサークルがあるものだ…。私が、あたりを見回していると、人とぶつかってしまい、思わず足元がよろけてしまった。だが、私の身体は、地面に叩きつけられることはなく、ぶつかってしまった、女性に受け止められていた。。
「ごめんごめん、話に夢中でさぁ、気が付かなかったよ…。立てる?」
「は、はい…。」
なんとか起き上がり、彼女の方に改めて目をやると、派手な服装に、派手な髪色。それに長いギターケースを背負っていた。
「良かった。ちゃんと前見ないとだねぇ、お互い。」
それが、佐藤寧々との初めての出会いだった。
「こうなったら、暫く待つしか無いね…。」
麻由美はそう言うと、岩の上に寝そべり始めた。
「たまにルアー動かしながら、少しだけ待ってて。」
「わ、分かった。」
彩はそう言うと、釣り竿を動かしながら、また座り込んだ。
「そういえばさ、彩。寧々と初めてあった日のことって覚えてる?」
麻由美が思い出した様に彩に聞いた。
「寧々と?」
「うん。寧々に聞いたら忘れたらしいからさ。」
そういえば私も、二人の関係はそれ程深くは知らない。私と麻由美は高校の時からの同級生だから、それなりの付き合いだ。
だが、彩と寧々は、出身高校が違う。そのため、接点が生まれたのは、大学に入学した、数ヶ月前の話だ。一体どういった経緯で二人は知り合ったのか…。
「確かに、私も気になる…。どうやって知り合ったの?やっぱりサークルで?」
私が寧々に聞くと、思い出す様に顎に手を置いた。
「ん~何でだっけ…。」
「本当に覚えてないの?」
彩が呆れた。
「私はさ、音楽関係で人と知り合うことが多いから、人との出会いなんて、あんまり覚えてないんだよね…。
でも、香織と初めて合ったときのことは、覚えてるよ。」
「はぁ…。まぁでも、寧々は覚えてなくても当然か…。」
そう言うと、彩は語りだした。
大学の入学式を終え、数日が経った。
大学の敷地内は、サークルや部活のメンバーを募集する人とそれに興味を惹かれる人で溢れかえっていた。
同じ学部内でも、何人かが固まり楽しそうにしていた。
私にはそんな知り合い、居なかった。昔からそうなのだ。友人の作り方がよくわからず、結局売れ残ってしまう…。たまに、声を掛けてくれる人たちはいるのだが、適当にあしらってしまう為、最終的には、孤立してしまう。
まぁ、学校なんて、勉強さえできればいい等と自分に言い聞かせ、帰路に着くため正門に向かった。
だが、いろんなサークルが勧誘をしている為、なかなか前に進まない。
将棋、ゲーム、落語、盆栽…。色々なサークルがあるものだ…。私が、あたりを見回していると、人とぶつかってしまい、思わず足元がよろけてしまった。だが、私の身体は、地面に叩きつけられることはなく、ぶつかってしまった、女性に受け止められていた。。
「ごめんごめん、話に夢中でさぁ、気が付かなかったよ…。立てる?」
「は、はい…。」
なんとか起き上がり、彼女の方に改めて目をやると、派手な服装に、派手な髪色。それに長いギターケースを背負っていた。
「良かった。ちゃんと前見ないとだねぇ、お互い。」
それが、佐藤寧々との初めての出会いだった。
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