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14章:四人の約束
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趣味・・・そういわれると、これといったものは無い…。
あるのは、読書とコーヒーくらいだ。寧々の様に、料理が特別得意なわけでもなければ、彩の様に、音楽がとても好きなわけでもない。
好きなことは、いろいろあるが、それはせいぜい、好物のようなものだ。趣味になる様なのめり込めるものではない。
「それが、あまりないんだよね…。」
私も何か別の趣味を見つけてみたいと思ってはいた。
「…そっか。私も音楽以外ないから、他にいい趣味がないか、探してるんだよね…。
ふと、下流の方で、釣り糸を垂らしている、季則さんが視界に入った。
「私も釣りしてみようかなぁ…。」
「釣りか…私やったことない…。」
「行ってみる?」
彩は頷くと、私たちは立ち上がり、季則さんが居る下流の方に向かった。
「何か釣れます?」
季則さんにそう訊ねると彼は、首を横に振った。
「流れは穏やかだが、向こうであいつらが騒いでるからな…。」
季則さんは、麻由美たちがいる上流に視線を向けた。
「もう少し下流に行かないと釣れないね…。」
「あの私たち、釣りしたことないので、やってみたいです。」
「なるほど…。わかった。じゃぁ、もう少し、下流の方に移動しよう。よく釣れる穴場があるから。」
彼はそういうと、クーラーボックスと釣り竿ケースを肩にかけると、下流の方に向かって歩き出し、私と彩はその後に続いた。
久々に体を動かすのは、気分がいい。ましてや、都会ではあまり経験することが少なくなった、川遊び…。しばらく飽きることはないだろう。
だが…。
「ちょっと…休憩…。流石に疲れた…。」
私が水面から顔を出し、近くの大きめの岩に腰を下ろした。
「もう疲れたの?」
麻由美も顔をあげ、私の近くまでやってきた。まるで、「情けない」と言わんばかりの表情で…。
「貴女は元スポーツマンでしょ…。私はずっと文化人だから、体の動かし方の根幹から違うのは当然でしょ…。」
重いベースをもって、数バンド掛け持ちすることもあるから、私もそれなりに体力には自信がある。
だが、元運動部の麻由美とは、差があるのは当然だ…。」
「そっか…。それより、香織たちは?」
私はそういわれ、彼女らが居たあたりに目を向けた。だがそこには、さっき彼女らが作っていた、岩のプールがあるだけで、姿形見えなかった。
「あれ?いない…。」
「父さんも居ないから一緒に下流の方に行っちゃったのかも。」
「一緒にって、釣りしに行ったってこと?」
「多分…。まぁ、父さんが一緒なら、大丈夫でしょ。」
麻由美はそういうと、また川の中に入っていった。
「ほんと、体力お化け…。」
あるのは、読書とコーヒーくらいだ。寧々の様に、料理が特別得意なわけでもなければ、彩の様に、音楽がとても好きなわけでもない。
好きなことは、いろいろあるが、それはせいぜい、好物のようなものだ。趣味になる様なのめり込めるものではない。
「それが、あまりないんだよね…。」
私も何か別の趣味を見つけてみたいと思ってはいた。
「…そっか。私も音楽以外ないから、他にいい趣味がないか、探してるんだよね…。
ふと、下流の方で、釣り糸を垂らしている、季則さんが視界に入った。
「私も釣りしてみようかなぁ…。」
「釣りか…私やったことない…。」
「行ってみる?」
彩は頷くと、私たちは立ち上がり、季則さんが居る下流の方に向かった。
「何か釣れます?」
季則さんにそう訊ねると彼は、首を横に振った。
「流れは穏やかだが、向こうであいつらが騒いでるからな…。」
季則さんは、麻由美たちがいる上流に視線を向けた。
「もう少し下流に行かないと釣れないね…。」
「あの私たち、釣りしたことないので、やってみたいです。」
「なるほど…。わかった。じゃぁ、もう少し、下流の方に移動しよう。よく釣れる穴場があるから。」
彼はそういうと、クーラーボックスと釣り竿ケースを肩にかけると、下流の方に向かって歩き出し、私と彩はその後に続いた。
久々に体を動かすのは、気分がいい。ましてや、都会ではあまり経験することが少なくなった、川遊び…。しばらく飽きることはないだろう。
だが…。
「ちょっと…休憩…。流石に疲れた…。」
私が水面から顔を出し、近くの大きめの岩に腰を下ろした。
「もう疲れたの?」
麻由美も顔をあげ、私の近くまでやってきた。まるで、「情けない」と言わんばかりの表情で…。
「貴女は元スポーツマンでしょ…。私はずっと文化人だから、体の動かし方の根幹から違うのは当然でしょ…。」
重いベースをもって、数バンド掛け持ちすることもあるから、私もそれなりに体力には自信がある。
だが、元運動部の麻由美とは、差があるのは当然だ…。」
「そっか…。それより、香織たちは?」
私はそういわれ、彼女らが居たあたりに目を向けた。だがそこには、さっき彼女らが作っていた、岩のプールがあるだけで、姿形見えなかった。
「あれ?いない…。」
「父さんも居ないから一緒に下流の方に行っちゃったのかも。」
「一緒にって、釣りしに行ったってこと?」
「多分…。まぁ、父さんが一緒なら、大丈夫でしょ。」
麻由美はそういうと、また川の中に入っていった。
「ほんと、体力お化け…。」
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