レトロな事件簿

八雲 銀次郎

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14章:四人の約束

#9-7

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 「ん~~…。電車の時間まで何しようか…。」
 窓を開け、身体を伸ばしながら、寧々がそう言った。
 私達が帰るはずの電車は夕方16時半頃に出発だ。本当ならそれまでの間、館内の掃除や皿洗いの仕事が待っている筈だが、先程有美さんから、“のんびりしなさい”と言われたこともあり、これと言って、やることも無い…。
 「少し暑いかもしれないけど、近くの川まで行ってみる?良ければ、泳げるかも…。」
 麻由美が提案した。
 「あぁ…。あのちょっと行ったところにある小川?いいね、涼しそうだし。」
 「小川かぁ、昔弟とばあちゃんと遊んだなぁ…。懐かしいから、行ってみるか。」
 「じゃぁ私も行く…。」
 彩もそれに同意した。
 「じゃぁ決まり、着替えて9時に一階のロビー集合!」
 麻由美がそう号令をかけると、私たちはそれぞれ返事をした。


 時刻は8時半少し前…。集合時間までは程遠いが、1階のロビーまでもう来てしまった…。私は出入り口の近くにある肘掛椅子に腰をおろし、スマホを取り出した。
 動きやすい服装は、常にそうだ…。洒落っ気はたしかに気にするが、それはあくまでも、バンドイベントでの為だ。今流行のファッションを知っておかないと、人の前に立つことは難しい。だからこそ、ファッションには、いつも気をつけている。
 が、プライベートは別だ。心を許せるところは、少しくらい、羽を伸ばしてもいいだろう…。だから、最初から彼女らと合うと分かっているときは、季節に合うシャツとジーパンを身につけるようにしている。その方が目立たなくて好きだし、香織や他の友人に何かあっても、すぐに駆け付けられる様に、でもある。
 香織には、一生忘れられない、恩がある。だから、何があっても、私は彼女の味方で居たい…。だからこそ、この服装なのだ…。

 とは言え、流石に早すぎた…。スマホをいじっていても、ゲームなんて殆どしないし、ネットサーフィンも流石に飽きた…。
 スマホを隣にあった、サイドデスクに置き、しばらくボーッとでいると、家族連れの一行が、フロントでチェックアウトした。
 どうやら、夏休みを機に祖父母のところに遊びに来た小学生の姉弟のようだ。
 なにやら無邪気に喧嘩しているのか、それてもじゃれているのか何か、言い争っているが、それを軽く諫める様に、祖父母が笑っていた。
 「お早う、寧々ちゃん…。よく眠れた?」
 そんな光景を懐かしく見ていると、三枝さんがそう声をかけてきた。どうやら今日の分も非番に変わったらしく、売店に飲食物を会に来たらしい。
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