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14章:四人の約束
#9-4
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「…さ、皆急いで!お客は待ってくれないから、並べられる物から、どんどん運び出して。麻由美も香織ちゃんは、丁度良さそうなの見繕って、部屋に持って行ってゆっくり食べて来なさい。今回は半分お客なんだから、たまにはのんびりしなさいね。」
有美さんはそれだけ言って、今度は、中居チームの朝礼に向かった。
「…母さんがあぁ言ってるんだから、今回は、私たちは引きましょう…。」
麻由美はそう言うと、近くにあった、小さめの手鍋を幾つかかき集め始めた。
「お嬢、向こうにもう少しで火が通りそうな料理があります。そっちから持って行って下さい。その方が、帳尻合わせが楽ですから。」
近くに居た調理スタッフがそう声を掛けてきた。
「ありがとう。じゃぁそうさせて貰うよ。香織、折角だから、片っ端から、貰って行こう。あ、でも、あの二人、苦手な物ってあったっけ…。」
「確か二人とも、これと言ってなかったはず…。あ、確か寧々は、魚卵系苦手だった筈…。」
「魚卵…。ってことは、明太子はダメって事か…。まぁ、有っても私が食べるから良いか…。彩は?」
「彩は…確か、料理に至っては、極端じゃなければ、何でも行ける筈。辛すぎとか、苦すぎとか…。」
「じゃぁ、ここの朝食は大丈夫だね…。味はなるべく、さっぱり目にしてるからね…。」
麻由美は、目の前にある料理を、鍋に片っ端から、掬って入れて行った。
「麻由美…本当に手加減ないね…。」
百乃季の朝食は、基本的にはビュッフェ形式である。だが、品数は100種類以上ある。それを、全部自分たちの部屋に持ち込むとなるとかなりの手間と、容器が必要となる…。
流石に、手鍋や大きめの皿だけで、全てを持ち帰ることは不可能に近い。
それでも、麻由美は料理をかき集める手を止めなかった。
「本当に好きね…。」
麻由美は知り合った時からそうだった。彼女は、この大きな旅館の一人娘でありながら、地味にケチなところがある…。そこが民間人臭く、私たち一般人と似ている…。
だからこそ、彼女とはよく意気が合う事が多い。
「朝飯は、一日の活力よ。これだけの栄養素。取りこぼすわけには行かないでしょ…。だけど、流石に、限度がありそう…。」
麻由美が、持っていた手鍋を置いたときだった。
厨房の扉が開いた。
「ふぁぁぁあ…。ごめん、ちょっと寝過ごした…。」
「…旅館の朝って、早いの忘れてた…。何から手伝えば良い?」
噂をすれば…。寧々と彩が起きてきた…。彼女等は早朝に慣れていないのか、目をこすっていた…。
「丁度良い!あんた達、これ持って行くの手伝って!」
麻由美はそう言うと、目をこすっていた、彼女等に料理が入った大皿や、手鍋を渡した。
有美さんはそれだけ言って、今度は、中居チームの朝礼に向かった。
「…母さんがあぁ言ってるんだから、今回は、私たちは引きましょう…。」
麻由美はそう言うと、近くにあった、小さめの手鍋を幾つかかき集め始めた。
「お嬢、向こうにもう少しで火が通りそうな料理があります。そっちから持って行って下さい。その方が、帳尻合わせが楽ですから。」
近くに居た調理スタッフがそう声を掛けてきた。
「ありがとう。じゃぁそうさせて貰うよ。香織、折角だから、片っ端から、貰って行こう。あ、でも、あの二人、苦手な物ってあったっけ…。」
「確か二人とも、これと言ってなかったはず…。あ、確か寧々は、魚卵系苦手だった筈…。」
「魚卵…。ってことは、明太子はダメって事か…。まぁ、有っても私が食べるから良いか…。彩は?」
「彩は…確か、料理に至っては、極端じゃなければ、何でも行ける筈。辛すぎとか、苦すぎとか…。」
「じゃぁ、ここの朝食は大丈夫だね…。味はなるべく、さっぱり目にしてるからね…。」
麻由美は、目の前にある料理を、鍋に片っ端から、掬って入れて行った。
「麻由美…本当に手加減ないね…。」
百乃季の朝食は、基本的にはビュッフェ形式である。だが、品数は100種類以上ある。それを、全部自分たちの部屋に持ち込むとなるとかなりの手間と、容器が必要となる…。
流石に、手鍋や大きめの皿だけで、全てを持ち帰ることは不可能に近い。
それでも、麻由美は料理をかき集める手を止めなかった。
「本当に好きね…。」
麻由美は知り合った時からそうだった。彼女は、この大きな旅館の一人娘でありながら、地味にケチなところがある…。そこが民間人臭く、私たち一般人と似ている…。
だからこそ、彼女とはよく意気が合う事が多い。
「朝飯は、一日の活力よ。これだけの栄養素。取りこぼすわけには行かないでしょ…。だけど、流石に、限度がありそう…。」
麻由美が、持っていた手鍋を置いたときだった。
厨房の扉が開いた。
「ふぁぁぁあ…。ごめん、ちょっと寝過ごした…。」
「…旅館の朝って、早いの忘れてた…。何から手伝えば良い?」
噂をすれば…。寧々と彩が起きてきた…。彼女等は早朝に慣れていないのか、目をこすっていた…。
「丁度良い!あんた達、これ持って行くの手伝って!」
麻由美はそう言うと、目をこすっていた、彼女等に料理が入った大皿や、手鍋を渡した。
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