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14章:四人の約束
#7-9
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「気持ち…。」
「そんな意外そうな顔は止めろ…。俺だって、料理人だ。他人の気持ちくらい、汲み取れないといけないからな…。香織も、一応飲食業界で働いて居るなら、そういう所、敏感になっておかないと、後々ついていけなくなるぞ…。」
広瀬さんは、そう言いながら、下処理し終わった食材を冷蔵庫に仕舞った。
「だが、今回の事は、あいつには、内緒な
?もしかしたら、気付いたかもしれねぇが、口にはしてやるな…。最近スランプ気味だったらしいから、良い薬になったんじゃねぇかな?」
スランプ…。私はそんな体験したことが無い…。だが、何らかのきっかけで、思う様にできなくなったり、普段通りの事が出来なくなったりするらしい…。
「立花さん、そんなに大変だったんですか?」
「まぁな…。全く料理が出来なくなっちまった訳では無いが、何かいつもと違う“不調”が起きていてな…。どうにかしないとな、と思ていた矢先に、香織たちが泊りに、来てくれた。これを利用しようと思って、西瓜を使って、腹が減る様に仕向けた…。不快に思ってたのなら、謝っておく…。すまんな…。」
彼は少し頭を下げた。
「だが、あいつも俺の大事な弟子なんだよ…。少し、親心が出てしまうのも、理解してくれ…。」
「…親心ですか…。」
別に、広瀬さんに利用されていたこと自体は、それ程気にはしていない…。だが、私には、その、“親心”というものを知らない…。俗に言う親バカとは違うのだろうか…。
「香織。アンタも食べな?お腹空いていんだろ?」
寧々の子が聞こえ、私は、厨房を後にした。
「そんな意外そうな顔は止めろ…。俺だって、料理人だ。他人の気持ちくらい、汲み取れないといけないからな…。香織も、一応飲食業界で働いて居るなら、そういう所、敏感になっておかないと、後々ついていけなくなるぞ…。」
広瀬さんは、そう言いながら、下処理し終わった食材を冷蔵庫に仕舞った。
「だが、今回の事は、あいつには、内緒な
?もしかしたら、気付いたかもしれねぇが、口にはしてやるな…。最近スランプ気味だったらしいから、良い薬になったんじゃねぇかな?」
スランプ…。私はそんな体験したことが無い…。だが、何らかのきっかけで、思う様にできなくなったり、普段通りの事が出来なくなったりするらしい…。
「立花さん、そんなに大変だったんですか?」
「まぁな…。全く料理が出来なくなっちまった訳では無いが、何かいつもと違う“不調”が起きていてな…。どうにかしないとな、と思ていた矢先に、香織たちが泊りに、来てくれた。これを利用しようと思って、西瓜を使って、腹が減る様に仕向けた…。不快に思ってたのなら、謝っておく…。すまんな…。」
彼は少し頭を下げた。
「だが、あいつも俺の大事な弟子なんだよ…。少し、親心が出てしまうのも、理解してくれ…。」
「…親心ですか…。」
別に、広瀬さんに利用されていたこと自体は、それ程気にはしていない…。だが、私には、その、“親心”というものを知らない…。俗に言う親バカとは違うのだろうか…。
「香織。アンタも食べな?お腹空いていんだろ?」
寧々の子が聞こえ、私は、厨房を後にした。
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