レトロな事件簿

八雲 銀次郎

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14章:四人の約束

#7-6

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 食事時となれば、バイキング形式で和洋中の料理が大広間に出される。
 だが、今私たちの目の前に並んでいるのは、中華料理と天麩羅が並んでいる…。かなり偏った世界観だが、それでも食欲を掻き立てる香りが部屋いっぱいに広がった。
 特に、海老の天麩羅を利用した。エビチリがかなり香ばしい…。
 「う、美味そう…。」
 彩がそう呟いた。
 「賄いにしては、かなり豪華だね…。これは白米が進みそう…。」
 麻由美もその匂いに釣られたのか、厨房内の炊飯器を開けた。どうやらまだ十分に余っているらしい…。
 三枝さんは、棚からそれぞれ食器を準備してくれていた。流石、フロント係…。細かい所に気が付く…。
 「流石の私も油酔い…。私はスープだけで良いから、食べてて…。」
 油酔い…。私も何度か経験がある。油をかなり使用する料理の後は、食欲が減退する…。
 理由は、私もよく知らない…。
 「確か、アクロレインって物質が原因だったかな…。私もよくは知らないけど、菜種とか、大豆を使った油で抑えられるらしいけど、結局は、体質にも依存するらしいからね…。」
 彩がそう言った。
 「詳しいね…。だが、難しい話しは後にして、折角だから、冷める前に食べてくれ。俺の愛弟子が作ったんだから…。」
 広瀬さんがそう言いながら、厨房から寸胴を一つ持ってきた。先ほどから、火をかけていた物だ…。
 「汁物が少ないと思って、簡単に中華スープを作ってみたから、是非召し上がって下さい。ただ、メインは悪魔でも主菜の方ですので、比べない様に…。」
 広瀬さんが悪戯っぽく、そう微笑んだ…。
 そう言われると、嫌でも意識してしまう…。
 最初に、料理に手を付けたのは、麻由美だった。箸の伸びた先は当然、エビチリの海老だった。
 「美味しい…。」
 それを皮切りに、各々箸を伸ばし始めた。
 「こんなサックサクでホクホクな天麩羅、初めて食べたかも…。」
 「揚げ出しって、こんなに香ばしく作れるんだね…。」
 それぞれ感想を言いながら、料理を食べ始めた。
 だが、広瀬さんが作った中華スープを飲んだ瞬間、全員の箸が止まった…。
 「……。」
 あの彩ですら何も言えずに、スープを見詰めていた。
 「ど、どうしたの?」
 寧々がそう皆に問いただした。
 「い、いや…。比べるのは悪いと思うんだけど、このスープだけは、ここに並んでいる料理の中では、別格と言うか、何と言うか…。

 「風味は料理の方は、光さんと寧々の料理の方が強いけど、味わい深いというか、コクが強いというか…。」
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