258 / 309
14章:四人の約束
#7-3
しおりを挟む
寧々と並んで料理をするのは、彼女がれとろでバイトをしていたころ以来だろうか…。いや、あの時は一カ月ほどしか、一緒に居られなかったから、実際には、初めてに近いかもしれない。
寧々一番近場にあった、刃幅が太い中華包丁を握ると、円いまな板の上に置いた。
「ここにある物、全部切って良いよね?」
「良いよ良いよ、どんどん切って。」
立花さんは、こちらに目もくれず、彼女の目の前にある海老の下処理を行っていた。
「じゃぁ香織、これ洗っておいて。」
寧々はそう言うと、野菜が入ったボウルを私に寄越してきた。
「あぁ、あと広瀬さん、ここにある調味料とか、好きに使って良い?」
「ん?別に構わないが、無駄使いするなよ?」
「味付けするの?」
「まぁね。」
寧々は八角や鷹の爪、生姜などと言った食材を、目の前の円柱状のまな板に乗せるとなれた手付きで、それらを薄く、細かく刻んでいった。
「その年で、中華包丁扱えるなんざ、相当鍛えただろ?」
その様子を見ていた、広瀬さんはが感心した様に顎鬚を触った。
「最近は、こっちの方が切り易くて、家でも愛用してます。」
寧々は頷きながら、更に食材たちを刻んでいった。
「さ、香織もボケっとしてないで手伝え。」
広瀬さんは、そう言うと、私の背中を軽く叩いた。
野菜たちを洗い終え、寧々にボウル事手渡す頃になると、大きめの中華鍋から、パチパチと、油が跳ねる音が小気味よく聞こえていた。
「香織ちゃん、これ油切って、寧々ちゃんとこの鍋に入れてきて。」
今度は、立花さんが、そう言った。どうやら海老が揚がった様だった。
「え?これ、入れて良いんですか?」
私は思わず、そう聞き返した。中華鍋の中身は、かなり赤い…。八角が入っている分、香りは確かに良いが、細かく刻まれた鷹の爪も入っている為、辛いのは間違いなさそうだ…。
「辛そうなのは、見た目だけ。それ入れれば、それ程でもなくなるから。それと、切れた奴から、どんどん光さんの所に持って行って。」
更に寧々が綺麗に切りそろえられた、野菜の方を指さした。
この二人、何か打ち合わせをしたわけでもないのに、かなり息が合っている…。幾ら忙しい昼のれとろを回しているとはいえ、これは厳しい…。
「わ、分かりました…。」
私は、エビを一尾ずつ菜箸で拾い上げ、油を切り、中華鍋の中に移した。それと同時に寧々が鍋を掻きまわし始めた。
その隙に、切られた野菜を、立花さんのところに運んだ。
彼女は、それを受け取ると、次々と衣をを付け、油の海に投げ入れた。
寧々一番近場にあった、刃幅が太い中華包丁を握ると、円いまな板の上に置いた。
「ここにある物、全部切って良いよね?」
「良いよ良いよ、どんどん切って。」
立花さんは、こちらに目もくれず、彼女の目の前にある海老の下処理を行っていた。
「じゃぁ香織、これ洗っておいて。」
寧々はそう言うと、野菜が入ったボウルを私に寄越してきた。
「あぁ、あと広瀬さん、ここにある調味料とか、好きに使って良い?」
「ん?別に構わないが、無駄使いするなよ?」
「味付けするの?」
「まぁね。」
寧々は八角や鷹の爪、生姜などと言った食材を、目の前の円柱状のまな板に乗せるとなれた手付きで、それらを薄く、細かく刻んでいった。
「その年で、中華包丁扱えるなんざ、相当鍛えただろ?」
その様子を見ていた、広瀬さんはが感心した様に顎鬚を触った。
「最近は、こっちの方が切り易くて、家でも愛用してます。」
寧々は頷きながら、更に食材たちを刻んでいった。
「さ、香織もボケっとしてないで手伝え。」
広瀬さんは、そう言うと、私の背中を軽く叩いた。
野菜たちを洗い終え、寧々にボウル事手渡す頃になると、大きめの中華鍋から、パチパチと、油が跳ねる音が小気味よく聞こえていた。
「香織ちゃん、これ油切って、寧々ちゃんとこの鍋に入れてきて。」
今度は、立花さんが、そう言った。どうやら海老が揚がった様だった。
「え?これ、入れて良いんですか?」
私は思わず、そう聞き返した。中華鍋の中身は、かなり赤い…。八角が入っている分、香りは確かに良いが、細かく刻まれた鷹の爪も入っている為、辛いのは間違いなさそうだ…。
「辛そうなのは、見た目だけ。それ入れれば、それ程でもなくなるから。それと、切れた奴から、どんどん光さんの所に持って行って。」
更に寧々が綺麗に切りそろえられた、野菜の方を指さした。
この二人、何か打ち合わせをしたわけでもないのに、かなり息が合っている…。幾ら忙しい昼のれとろを回しているとはいえ、これは厳しい…。
「わ、分かりました…。」
私は、エビを一尾ずつ菜箸で拾い上げ、油を切り、中華鍋の中に移した。それと同時に寧々が鍋を掻きまわし始めた。
その隙に、切られた野菜を、立花さんのところに運んだ。
彼女は、それを受け取ると、次々と衣をを付け、油の海に投げ入れた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
病院の僧侶(プリースト) と家賃という悪夢にしばられた医者
加藤かんぬき
ミステリー
僧侶サーキスは生き別れた師匠を探す旅の途中、足の裏に謎の奇病が出現。歩行も困難になり、旅を中断する。
そして、とある病院で不思議な医者、パディ・ライスという男と出会う。
中世時代のヨーロッパという時代背景でもありながら、その医者は数百年は先の医療知識と技術を持っていた。
医療に感銘を受けた僧侶サーキスはその病院で働いていくことを決心する。
訪れる患者もさまざま。
まぶたが伸びきって目が開かない魔女。
痔で何ものにもまたがることもできなくなったドラゴン乗りの戦士。
声帯ポリープで声が出せなくなった賢者。
脳腫瘍で記憶をなくした勇者。
果たしてそのような患者達を救うことができるのか。
間接的に世界の命運は僧侶のサーキスと医者パディの腕にかかっていた。
天才的な技術を持ちながら、今日も病院はガラガラ。閑古鳥が鳴くライス総合外科病院。
果たしてパディ・ライスは毎月の家賃を支払うことができるのか。
僧侶のサーキスが求める幸せとは。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
セイカイ〜全ての暗号を解き明かせ〜
雪音鈴
ミステリー
制限時間内に全ての暗号を解き明かし脱出する《ゲーム》へと強制参加することになった主人公。その先に待ち受けているものとはーー?
【暗号を解く度に変化していく景色と暗号の解読を楽しみながらも、主人公の行く末を見守ってあげて下さい。また、読者の方々にも、2話目から暗号(という名のなぞなぞもあり。難易度は話数が進むごとに上げていきます)を解き明かしてもらう形式になっているので、楽しんでいただければ幸いです(*^^*)】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる