レトロな事件簿

八雲 銀次郎

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14章:四人の約束

#6-5

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 「どんな想像したのか知らないけど、そんなに興奮する様なものじゃないから…。」
 麻由美が、呆れた様に三枝さんにそう言った。
 まぁ、確かにれとろの制服は、黒ズボンに、ワイシャツがスタンダードな物だ…。たまに、ベストや黒いワイシャツ等、着こなすこともあるが、チェーン店の様な、華やかさや、統一性は、少ないかもしれない…。
 「それでも、香織ちゃんの姿形なら…。ウヘヘ…。」
 不敵な笑いを浮かべた。他人の顔を見ただけで、これ程までに恐怖したのは、久しぶりだった。
 広「“香織”って存在なら、何でも良いのか…。」
 彩「あれが俗に言う、“犯罪者予備軍”ってやつね…。」
 真「ここまで来たら、私にもどうしようもない…。」
 立「取り敢えず、警察に…。」
 寧「私の香織を守らなきゃ…。」
 各々が、そうツッコんだ。(一人、同じ系統が、居るみたいだが、取り合えず、効かなかったことにする…。)
 「じょ、冗談だって、冗談!で、でも、見たみたいじゃん!香織ちゃんが、ウチ以外で働いてるところ!」
 そう言われると、「是非来てください。」とは、言えなくなる…。客を逃がした様だが、私の身の危険に比べれば…。
 「写真ならありますよ。」
 寧々がそう言い、スマホの画面を見せた。そこには、れとろのカウンター奥の丸椅子に腰かけて、ウトウトしている時の私の姿があった。
 「い、何時撮ったの!こんなもの!」
 流石の私も声を荒げた。
 「この間コーヒーの見に行った時。思わず撮っちゃった。」
 悪びれる様子もなく、寧々はそう答えた。
 「これは、スタッフによる職務怠慢かなと思って、証拠を…ってのは冗談で、只の記念に撮ってみただけ。」
 「何の記念よ…。」
 「香織ちゃんがバイト先で、無防備にも居眠りしている記念。」
 そんな記念、聞いたことない…。只々、写真を取られるなら、まだいいが、よりにもよって、こんな恥ずかしい一面を取られるとは、思っても居なかった。
 「こ、これ、後で私に送って!スマホの壁紙にするから!」
 「私も!」
 三枝さんだけでなく、立花さんもそう言った。
 「了解っす。他にも色々送っておきますね。サマーダイニングの時のとか。」
 まさか寧々がここまで、写真を撮る習慣があったとは…。
 「最悪…。」
 私がそう呟くと、広瀬さんが応えた。
 「ま、それだけ、お前さんが人気ってことだ。そんなに卑屈にならずに、もうちょっと、胸張ってみても、良いんじゃないか?」
 「でも、あれは流石に、恥ずかしすぎます…。」
 広瀬さんは、小さく笑った。
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