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14章:四人の約束
#5-9
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1階の方に降りると、バケツに水を入れている広瀬さんと出くわした。
「中庭も良いが、汚すと悪いから、こっちでやるぞ。」
広瀬さんは、そう言うと、中庭の方とは逆の出入り口から、従業員用の駐車場へと出た。
「線香花火か…。私、長く続けられたことないんだよね…。」
麻由美が、近くにあったベンチに腰を下ろし、花火の入った袋を、一つ持ち、そう言った。
「あ~。何となく分かる気がする…。」
麻由美の方を、呆れた様な顔で、寧々が見詰めた。
「それ、どういう意味?」
「別に深い意味は、ございませ~ん。」
麻由美は、納得がいかない様な顔で、寧々を睨んだ。
「それより、立花さんは、まだ来てないんですか?」
「光なら、明日の仕込みやっている最中だろう…。まぁ、もう少しで終わると思うが…。」
「仕込み?」
彩が、眠い目を擦りながら、そう訊ねた。
「あぁ、あいつはああ見えて、焼き料理担当だからな…。一番、下味をつけるのが、大変な担当さ…。まぁ、それが一番面白いんだがな…。」
広瀬さんは、顎鬚を左手で触りながら、上唇を舐めた。
「そう言えば、広瀬さんも、火を使う料理なら、何でもするんですよね?」
寧々が、そう訊ねた。
「得意な料理が、それなだけ。特別担当ってわけでもない。」
「どうやったら、餃子を美味く作れますか?私が作るのと、店で食べるのとでは、全然違うくて…。調味料や食材は、一緒だから、後は、焼き方かなぁと思って…。」
その言葉を聞いた後、広瀬さんは、暫く考え込んだ後、気が付いた様に、寧々に訊ねた。
「タネ作る時って、どうしてる?」
「えっと、普通に、野菜とかお肉とか切って、混ぜて、寝かせて…ですかね…。」
「やっぱりか…野菜と肉を混ぜる前に、一回野菜を、炒めてみな?しっかりと、下味が付く筈だ。」
寧々は、衝撃を受けた様な声を発した。
「それは、考えた事なかったなぁ…。ありがとうございます。今度試してみます!」
そうこうしている間に、立花さんが、本館と西館を繋ぐ、渡り廊下の方から、こちらにやってきた。
「ごめんごめん、遅れた遅れた。それと、これ、女将さんから、差し入れだって。」
そう言うと、立花さんは、サッカーボール大の立派な西瓜を麻由美の座っていたベンチに降ろした。
「さっきまで、すぐそこの川で冷やしてたから、今が食べごろだよ?」
「私、切るの手伝います!」
さっきまで眠たそうだった彩が元気よく、そう応えた。
「お、頼もしいね。じゃぁ、私の部屋に来て、包丁とかあるから。」
「はーい。」
そう言うと、彼女等は、階段を上っていた。
「中庭も良いが、汚すと悪いから、こっちでやるぞ。」
広瀬さんは、そう言うと、中庭の方とは逆の出入り口から、従業員用の駐車場へと出た。
「線香花火か…。私、長く続けられたことないんだよね…。」
麻由美が、近くにあったベンチに腰を下ろし、花火の入った袋を、一つ持ち、そう言った。
「あ~。何となく分かる気がする…。」
麻由美の方を、呆れた様な顔で、寧々が見詰めた。
「それ、どういう意味?」
「別に深い意味は、ございませ~ん。」
麻由美は、納得がいかない様な顔で、寧々を睨んだ。
「それより、立花さんは、まだ来てないんですか?」
「光なら、明日の仕込みやっている最中だろう…。まぁ、もう少しで終わると思うが…。」
「仕込み?」
彩が、眠い目を擦りながら、そう訊ねた。
「あぁ、あいつはああ見えて、焼き料理担当だからな…。一番、下味をつけるのが、大変な担当さ…。まぁ、それが一番面白いんだがな…。」
広瀬さんは、顎鬚を左手で触りながら、上唇を舐めた。
「そう言えば、広瀬さんも、火を使う料理なら、何でもするんですよね?」
寧々が、そう訊ねた。
「得意な料理が、それなだけ。特別担当ってわけでもない。」
「どうやったら、餃子を美味く作れますか?私が作るのと、店で食べるのとでは、全然違うくて…。調味料や食材は、一緒だから、後は、焼き方かなぁと思って…。」
その言葉を聞いた後、広瀬さんは、暫く考え込んだ後、気が付いた様に、寧々に訊ねた。
「タネ作る時って、どうしてる?」
「えっと、普通に、野菜とかお肉とか切って、混ぜて、寝かせて…ですかね…。」
「やっぱりか…野菜と肉を混ぜる前に、一回野菜を、炒めてみな?しっかりと、下味が付く筈だ。」
寧々は、衝撃を受けた様な声を発した。
「それは、考えた事なかったなぁ…。ありがとうございます。今度試してみます!」
そうこうしている間に、立花さんが、本館と西館を繋ぐ、渡り廊下の方から、こちらにやってきた。
「ごめんごめん、遅れた遅れた。それと、これ、女将さんから、差し入れだって。」
そう言うと、立花さんは、サッカーボール大の立派な西瓜を麻由美の座っていたベンチに降ろした。
「さっきまで、すぐそこの川で冷やしてたから、今が食べごろだよ?」
「私、切るの手伝います!」
さっきまで眠たそうだった彩が元気よく、そう応えた。
「お、頼もしいね。じゃぁ、私の部屋に来て、包丁とかあるから。」
「はーい。」
そう言うと、彼女等は、階段を上っていた。
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