レトロな事件簿

八雲 銀次郎

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14章:四人の約束

#2-7

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 私は、寧々と、客室の片付けをした。片付けと言っても、ごみ箱を空にしたり、シーツを交換前のシーツを剥いだりする程度、本格的な、掃除は、咲子さんが、戻ってから、行う予定だ。
 「へぇ、客室って、こんな感じなんだ…。」
 寧々が、感心した様に、部屋を見て回った。旅館と言えど、少しビジネスホテルの客室に、近い感覚だ。
 「ここは、別名、“洋室館”だから、ベッドを基調とした、ホテルの様な、客室が、あるのが、特徴。ビジホと違うのは、部屋の大きさ位かな。」
 私自身、ビジネスホテルという所に、泊まったことが無いため、写真や、画像でしか、見たことが無いが、この部屋は、私が、見てきた、どの写真の部屋より、一回りも、二回りも、大きい。
 更に、この一角の部屋には、室内露天風呂が完備されている為、より一層、贅沢を、寄せ集めた、客室になっている。
 「この部屋、一泊幾らくらいなんだろ…。」
 「確か、安くて、1.5万くらいだったはず…。」
 「イチゴーか…。私たち学生には、厳しいね…。」
 そう寧々は、呟いた時だった。
 「香織ちゃん!替えのタオルとか、シーツ、此処に置いておくから、この部屋任せて良い?やり方は、全然変わってないから!」
 咲子さんが、入り口の方から、顔を覗かせ、近くにあった、棚の上に、“いつも”のセットを、置いた。
 「分かりました。やっておきます。」
 「お願いね。」
 私は、そのセットを、シーツを剥いだばかりの、ベッドの上に置いた。
 「取り敢えず、浴室の掃除からしよう。床とか、乾くまで、時間がかかるから、最初にやるのが、セオリーかな?」
 私が、寧々にそう言うと、彼女は、「りょーかい」と答え、作業に移った。


 西館は、東館や本館と比べ、客室の数は、少ないが、3~6人部屋の様に、割と、広めの和室が、多いのが、特徴だ。長期休暇のシーズンになると、家族連れの客が、多くなる。
 だから、この時期、一番の稼ぎ頭の、館でもある。
 「和室は、洋室と違って、布団の上げ下げがあるから、待機している、中居の数も、多いの。だから、こういった、スタッフ専用の通路や、エレベーターも広かったりする。」
 「へぇ、私、こういう所入るの、初めて…。」
 私は、もう見慣れたが、普通の人は、何かの体験学習みたいなものが無い限り、こういう、旅館の裏側なんて、入る機会は、無いだろう…。
 「取り敢えず、掃除が終わっている、部屋に、アメニティとか、タオルの追加とか、していこうか。和室は、特に、インスタントのお茶とか、コーヒーとか切れていること多いから、多めに、持って行こう。」
 彩は、頷き、棚にある、アメニティグッズを、それぞれ取り出した。
 だが、一番上にある、ヘアブラシは、取れない様だった…。
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