レトロな事件簿

八雲 銀次郎

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14章:四人の約束

#1-3

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 「い、何時の間に撮ったの?」
 寧々に向かって、そう訊ねた。
 「ついさっき。」
 ニヤニヤしながら、スマホを操作しながら、そう答えた。
 「結構早く着いたから、駅ビル内ぶらぶらしてたら、丁度今さっき彩と、合って、時間も時間だしってことで、改札前に向かおうとしたら、随分中良さそうなお二人を見つけたもんでね…。」
 だからと言って、盗撮は止して欲しい…。
 「ちゃんと消しなさいよ?寧々。」
 彩も援護射撃をしてくれた。彼女の口調や、態度は、普段と何ら変わりがない。だから、寧々の言っていた、“違和感”は、今のところ、私には、何も、感じ取れない。それとも、意識しすぎるのが、行けないのかもしれない…。
 「分かったって…。それより、早く、ホーム降りようよ、指定席って言っても、余裕あった方が良いでしょ?」
 麻由美の実家がある場所までは、鈍行でも乗り換えなしに、行けなくはない。だが、やはり、時間もかかるし、何時座れるかも分からない、車内は、流石に疲れる…。
増して、今回は、ただの宿泊ではない…。麻由美のお母さん。つまり、女将さんに、無理を言って、手伝いをする代わりに、タダで、泊めて貰う、寧々の魂胆だ。
 着く前から、疲れて居ては、元も子もない。そのため、確実に座れる、特急の指定席を使うことにした。
 「まだ、ちょっと早いけど、売店寄りながら、だったら、丁度良いかもね。」
 彩のその言葉に、私も、頷き、改札の方に、歩き始めた。
 そしてこの時、私も、寧々の言っていた、“違和感”というのが、何なのか、分かった。
 今日、彩と会ってから、彼女の目と、一度も合っていない。
 最初は、気の所為だと思っていたが、どうやら、そうでもないらしい。
 現に、今の言葉に賛同する時も、私からワザと視線を外された、気がした…。
 何か、彼女に嫌われる様な事をしでかしてしまったのだろうか…。
 いや…。私は、彩とは、サマーダイニング以降、一度も会っていない。連絡自体、普段から、特別なことが無い限り、していない…。

 だから、本当に、そんな心辺り、私にはない…。
 「確かに、何か変だね…。」
 私は、寧々に、そう、耳打ちした。
 「でしょ?何と言うか、何か、怯えている感じなんだよね。」
 「怯えてる…。」
 サマーダイニングの時、何があったか、私は、必死になって、思い出そうとした。あの時は、色々あり過ぎて、正直、最後の方は、殆ど、覚えて居ないに、等しい…。
 溺れかけた所を、何とか、金宮さんに助けられ、何とか、岸に、引き上げられた。その時、何かを見た気がしたが、意識も朦朧としていた状況だった為、詳しくは、覚えて居ない…。
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