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番外編:1今井真香の事件簿
#1
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この話は、私、今井真香が、香織を自宅マンションに、居候させて、まだ間もない頃の話だ…。
自分で、始めた事業とはいえ、“仕事に行く”という作業は、偶に、面倒になることは、ある。
今日も、朝起きた時から、容赦ない日光が、地面を照らし出し、既に、外の空気を熱していた。
「お早うございます、社長。今日の予定は…。」
エントランスで待ち構えていた、私の秘書である朝倉香乃が、今日の予定を、スラスラと読み上げて行く…。それを、私は、何時もの様に、左から右へと、聞き流しながら、エレベーターに乗り込んだ。
「15時から取引先との会議が……って聞いてますか?」
「え?えぇ、聞いてる聞いてる。ってか、あたしのスマホのスケジュールアプリにも、予定事細かく、記入されてるんだから、別に改めて、確認する必要ないでしょ?」
「しかし…。」
「あたしだって、こう見えて、次の日の予定や打合せとかは、夜の内に確認してる様にしてるんだから、そこは信用してほしいなぁ。」
「別に、信用していない訳では無いですが、これも、私の仕事ですし…。」
彼女を、秘書として私の、側近に置いたのは、半年くらい、前の話だ。事業も軌道に乗り、私の作業量が増えたことを機に、人事部と相談し、中途採用で、朝倉ちゃんを雇った。が、面接の時は、もう少し、物腰柔らかい人なのかと思ったが、ただ単に、几帳面なだけだった。
「じゃぁ、新しい予定とか、緊急な打合せが、あった時だけ、報告でどう?そうすれば、朝倉ちゃんも、もう少し、サボれるでしょ?」
「サボりなんて、そんな!」
私の提案に、彼女が、叫ぶように、訴えかけてきた…。
「冗談よ…。でも、余り仕事しすぎるのも、身体に毒よ?」
「…。」
思う節があったのか、彼女は、何も言い返さなかった…。
「じゃぁ、決まりね。」
そのタイミングで、エレベーターは、目的の階に、停止し、私たち二人は、そこを後にした。
「何で、出来てないの!昨日、この資料明日までだからって、言ったよね?」
社長室に向かう、途中、その様な、怒鳴り声が、企画部がある部屋から、聞こえてきた。どうやら、一人の女性社員が、叱られている様だった。
個人的には、よく朝から怒鳴る元気があるなと、感心して居たいが…。
「朝倉ちゃん、あの課長が言ってる資料って、いつから依頼してたっけ?」
「えぇっと…。確か、2・3週間程前からですね。」
「だよね。」
私は、口に人差し指を当て、扉近くに居た、社員数名に、静かにするように、とサインを送り、叱られている、女性社員の下へと向かった。
自分で、始めた事業とはいえ、“仕事に行く”という作業は、偶に、面倒になることは、ある。
今日も、朝起きた時から、容赦ない日光が、地面を照らし出し、既に、外の空気を熱していた。
「お早うございます、社長。今日の予定は…。」
エントランスで待ち構えていた、私の秘書である朝倉香乃が、今日の予定を、スラスラと読み上げて行く…。それを、私は、何時もの様に、左から右へと、聞き流しながら、エレベーターに乗り込んだ。
「15時から取引先との会議が……って聞いてますか?」
「え?えぇ、聞いてる聞いてる。ってか、あたしのスマホのスケジュールアプリにも、予定事細かく、記入されてるんだから、別に改めて、確認する必要ないでしょ?」
「しかし…。」
「あたしだって、こう見えて、次の日の予定や打合せとかは、夜の内に確認してる様にしてるんだから、そこは信用してほしいなぁ。」
「別に、信用していない訳では無いですが、これも、私の仕事ですし…。」
彼女を、秘書として私の、側近に置いたのは、半年くらい、前の話だ。事業も軌道に乗り、私の作業量が増えたことを機に、人事部と相談し、中途採用で、朝倉ちゃんを雇った。が、面接の時は、もう少し、物腰柔らかい人なのかと思ったが、ただ単に、几帳面なだけだった。
「じゃぁ、新しい予定とか、緊急な打合せが、あった時だけ、報告でどう?そうすれば、朝倉ちゃんも、もう少し、サボれるでしょ?」
「サボりなんて、そんな!」
私の提案に、彼女が、叫ぶように、訴えかけてきた…。
「冗談よ…。でも、余り仕事しすぎるのも、身体に毒よ?」
「…。」
思う節があったのか、彼女は、何も言い返さなかった…。
「じゃぁ、決まりね。」
そのタイミングで、エレベーターは、目的の階に、停止し、私たち二人は、そこを後にした。
「何で、出来てないの!昨日、この資料明日までだからって、言ったよね?」
社長室に向かう、途中、その様な、怒鳴り声が、企画部がある部屋から、聞こえてきた。どうやら、一人の女性社員が、叱られている様だった。
個人的には、よく朝から怒鳴る元気があるなと、感心して居たいが…。
「朝倉ちゃん、あの課長が言ってる資料って、いつから依頼してたっけ?」
「えぇっと…。確か、2・3週間程前からですね。」
「だよね。」
私は、口に人差し指を当て、扉近くに居た、社員数名に、静かにするように、とサインを送り、叱られている、女性社員の下へと向かった。
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