168 / 309
13章:香織と少年の交換日記
6-4 母子
しおりを挟む
賢太君が、母親の手を引き、店にやってきたのは、日曜日のラストオーダー10分前だった。
この時間になると、店内には、客が居なくなり、『裏メニュー』を出すには丁度いい。
「お姉ちゃん!早く“あれ”出して!」
賢太君が、興奮気味に叫んだ。だが…。
「ごめんね。古川さん、今、裏で電話してるいから、もう少しだけ、待ってて。」
週明けの、食材やコーヒー豆の追加発注を、新庄さんに、電話報告していた。今の時代、メールやら、メッセージアプリがあるのだが、古川マスターは、そういう物に疎いらしく、九条さんが、居ないときは、電話で直接、連絡を入れている。
「その間、一杯飲みますか?」
私は、母親の方に、メニュー表を差し出した。
「是非!一度、昼にも来てみたいと思っていたんです!」
母親は、メニュー表を受け取った。
「一度とは言わず、好きな時に来てください。」
母親は、微笑んで、頷いた。
「じゃぁ、コスタリカ。」
「承りました。」
コスタリカは、苦味と酸味のバランスが良く、風味の強いのが特徴。そのため、少し温めのお湯(85℃程度)で、抽出すると、より一層、風味を楽しめる。
更に、その風味事態を、よりダイレクトに味わえるように、普段使う、ペーパーフィルターではなく、金属性のフィルターで、抽出してみることにした。
「珍しい物、使うね。」
「うわぁ!」
突然、背後から、声を掛けられた為、驚いた。危うく、ケトルのお湯を、ぶち撒けるところだった。
「びっくりした…。急に驚かさないで下さい、心臓飛び出るかと思いました…。」
九条さんは、苦笑いしながら、応えた。
「別に驚かすつもりは、無かったんだけど…。」
「急に背後から声掛けられれば、誰だって驚きますよ…。それより、どうして、裏から入ってきたんですか?」
真剣にやっていたとは言え、私が、目の前の格子戸が、開く音に、気が付かない訳がない。だから、休憩室にある、勝手口から入ってきたのだろう…。
「気分的に裏から入りたかっただけ。特に深い意味はないよ…。
僕も一つ聞いて良い?コスタリカなら、フレンチプレスの方が、簡単じゃない?」
フレンチプレスは、コーヒーの抽出方法の一つで、コーヒープレスなんて、言われることもある。日本では、紅茶用として、器具が販売されたこともあり、『フレンチプレスは、紅茶』とイメージする人も、少なくないだろう。
抽出方法は、とても簡単で、蒸らしの時間を、決めて置けば、良いだけ。更に、フィルターは、金属製。だから、本来なら、わざわざ、ハンドドリップ用の金属フィルターを、使って入れる必要がない。
この時間になると、店内には、客が居なくなり、『裏メニュー』を出すには丁度いい。
「お姉ちゃん!早く“あれ”出して!」
賢太君が、興奮気味に叫んだ。だが…。
「ごめんね。古川さん、今、裏で電話してるいから、もう少しだけ、待ってて。」
週明けの、食材やコーヒー豆の追加発注を、新庄さんに、電話報告していた。今の時代、メールやら、メッセージアプリがあるのだが、古川マスターは、そういう物に疎いらしく、九条さんが、居ないときは、電話で直接、連絡を入れている。
「その間、一杯飲みますか?」
私は、母親の方に、メニュー表を差し出した。
「是非!一度、昼にも来てみたいと思っていたんです!」
母親は、メニュー表を受け取った。
「一度とは言わず、好きな時に来てください。」
母親は、微笑んで、頷いた。
「じゃぁ、コスタリカ。」
「承りました。」
コスタリカは、苦味と酸味のバランスが良く、風味の強いのが特徴。そのため、少し温めのお湯(85℃程度)で、抽出すると、より一層、風味を楽しめる。
更に、その風味事態を、よりダイレクトに味わえるように、普段使う、ペーパーフィルターではなく、金属性のフィルターで、抽出してみることにした。
「珍しい物、使うね。」
「うわぁ!」
突然、背後から、声を掛けられた為、驚いた。危うく、ケトルのお湯を、ぶち撒けるところだった。
「びっくりした…。急に驚かさないで下さい、心臓飛び出るかと思いました…。」
九条さんは、苦笑いしながら、応えた。
「別に驚かすつもりは、無かったんだけど…。」
「急に背後から声掛けられれば、誰だって驚きますよ…。それより、どうして、裏から入ってきたんですか?」
真剣にやっていたとは言え、私が、目の前の格子戸が、開く音に、気が付かない訳がない。だから、休憩室にある、勝手口から入ってきたのだろう…。
「気分的に裏から入りたかっただけ。特に深い意味はないよ…。
僕も一つ聞いて良い?コスタリカなら、フレンチプレスの方が、簡単じゃない?」
フレンチプレスは、コーヒーの抽出方法の一つで、コーヒープレスなんて、言われることもある。日本では、紅茶用として、器具が販売されたこともあり、『フレンチプレスは、紅茶』とイメージする人も、少なくないだろう。
抽出方法は、とても簡単で、蒸らしの時間を、決めて置けば、良いだけ。更に、フィルターは、金属製。だから、本来なら、わざわざ、ハンドドリップ用の金属フィルターを、使って入れる必要がない。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
蠍の舌─アル・ギーラ─
希彗まゆ
ミステリー
……三十九。三十八、三十七
結珂の通う高校で、人が殺された。
もしかしたら、自分の大事な友だちが関わっているかもしれない。
調べていくうちに、やがて結珂は哀しい真実を知ることになる──。
双子の因縁の物語。
【完結】誰も知らない 狩人ゲーム〜彼岸の章〜
サニー・ジョーダンJr.
ミステリー
狩人は狼を倒す。狼は村人を喰らう。村人は狩人を魅了し落とす。そんなゲーム…のはずだった。(主サスペンス・微ホラー風味)
性別も年齢も異なる10人の男女が、とある洋館に集められた。突如 始まるゲームに、出場者達は覚悟の有る無しに関わらず、自らの人生を賭けて挑む。『狼は誰?狩人は誰?』
疑心暗鬼と、様々な思惑が渦巻く共同生活。絡み合う殺意。ふるい落とされる出場者達。
脈略もなく集められたような彼らに、徐々に証される繋がり。事件の発端は数年前まで遡る……。
【第1幕・制裁】の表と裏側
【第2幕・断罪】を越えて
【第3幕・審判】の時を迎え
【第4幕・終幕】にて明かされた事実。『最後に嗤うのだーれだ』
人は皆、大なり小なり『嘘』をつく。
そして立場によって『真実』も変わる。
貴方はこの『嘘』が見破れますか?
追記:祝・初 完結特典【備忘録・たねあかし】=映画などで最後に流れる風なメイキング編を載せました。裏側の わちゃx2 した感じが伝われば幸いです。
【作者注】人狼をしたことがありません。ごめんなさい。夢に出てきて面白そうだから書きました。なんとか完結まで持ち込めて、感無量です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる