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13章:香織と少年の交換日記
3-7 交換日記
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「ありがとう、お姉ちゃん!」
“お姉ちゃん”。ここまで、毒気のない呼び方をされたのは、久しぶりだ…。
妹も、私の事は、“お姉ちゃん”とは呼ぶ物の、何処か、嫌みったらしさがある。だからこそ、彼の言い方には、少し違和感を覚えた。
何というか…。こそばゆい感じがした。
「あ、そうだ。忘れない内に書いておかなきゃ。」
そう言いながら、彼は、小さいバッグから、メモ帳の様なものを取り出した。
それに、何かぶつぶつ言いながら、何かを書き込み始めた。
「何書いてるんだ?」
二代目が、それを覗き込みながら訊ねた。
「日記、新しい学校からの宿題で、やらなきゃいけないんだけど、書くこと無くて。」
私は転校という物をしたことが無いから、そんな経験ないが、彼の言いたい事は、何となく分かる。
私も、小学生の頃、夏休みの課題の一つとして、毎日、日記を書かされた。
だが、私の夏休みは、本当に書けることが無かった。旅行に連れて行ってもらうどころか、外に出る機会も、殆どなかった。
それでも、無理やり書くことを作っていた。読んだ本の感想だったり、窓から見えた花火の様子など…。時には、旅行に行ったことを、妄想して、書いたこともあった…。
彼は、環境こそは、違うものの、その時の私と、同じ境遇なのだろう。見慣れない街に引っ越したばかりで、無駄に一人で外出してしまえば、迷子になる可能性もある。
更に、今は、夏休み。同世代の子と友だちになる、機会も少ない。唯一の肉親の母親は、仕事で忙しく、遊んでもらう時間も少ない…。
そうなると、彼にとっては、毎日が“退屈”なのだろう。
だから、こうして、毎日無理やりにでも、書くことを探しているのだろう…。
そう推測をしていると、古川マスターが、口を開いた。
「香織様も、書いてみますか?」
「え?何をですか?」
「日記ですよ。香織様も、今日あった事、メモ帳に書いて、このレジ横に置いておく。それが、賢太様の日記の材料となれば、書けることも増えますし、彼がここに来る理由もできます。
そうなれば、先ほどのガラの悪いお兄さん達と鉢合わせる機会も、うんと減りますからね。」
「なるほど…。」彼の宿題の手助けができれば、休み開け、新しい学校に行ったとしても、話のタネになる。更には、無駄に街をぶらぶらさせて、チンピラたちの餌になってしまったり、熱中症に患う心配もなくなる。
「それは、名案ですね。」
私と二代目が納得している中、賢太君だけが、話の内容を読めていなさそうだった。
“お姉ちゃん”。ここまで、毒気のない呼び方をされたのは、久しぶりだ…。
妹も、私の事は、“お姉ちゃん”とは呼ぶ物の、何処か、嫌みったらしさがある。だからこそ、彼の言い方には、少し違和感を覚えた。
何というか…。こそばゆい感じがした。
「あ、そうだ。忘れない内に書いておかなきゃ。」
そう言いながら、彼は、小さいバッグから、メモ帳の様なものを取り出した。
それに、何かぶつぶつ言いながら、何かを書き込み始めた。
「何書いてるんだ?」
二代目が、それを覗き込みながら訊ねた。
「日記、新しい学校からの宿題で、やらなきゃいけないんだけど、書くこと無くて。」
私は転校という物をしたことが無いから、そんな経験ないが、彼の言いたい事は、何となく分かる。
私も、小学生の頃、夏休みの課題の一つとして、毎日、日記を書かされた。
だが、私の夏休みは、本当に書けることが無かった。旅行に連れて行ってもらうどころか、外に出る機会も、殆どなかった。
それでも、無理やり書くことを作っていた。読んだ本の感想だったり、窓から見えた花火の様子など…。時には、旅行に行ったことを、妄想して、書いたこともあった…。
彼は、環境こそは、違うものの、その時の私と、同じ境遇なのだろう。見慣れない街に引っ越したばかりで、無駄に一人で外出してしまえば、迷子になる可能性もある。
更に、今は、夏休み。同世代の子と友だちになる、機会も少ない。唯一の肉親の母親は、仕事で忙しく、遊んでもらう時間も少ない…。
そうなると、彼にとっては、毎日が“退屈”なのだろう。
だから、こうして、毎日無理やりにでも、書くことを探しているのだろう…。
そう推測をしていると、古川マスターが、口を開いた。
「香織様も、書いてみますか?」
「え?何をですか?」
「日記ですよ。香織様も、今日あった事、メモ帳に書いて、このレジ横に置いておく。それが、賢太様の日記の材料となれば、書けることも増えますし、彼がここに来る理由もできます。
そうなれば、先ほどのガラの悪いお兄さん達と鉢合わせる機会も、うんと減りますからね。」
「なるほど…。」彼の宿題の手助けができれば、休み開け、新しい学校に行ったとしても、話のタネになる。更には、無駄に街をぶらぶらさせて、チンピラたちの餌になってしまったり、熱中症に患う心配もなくなる。
「それは、名案ですね。」
私と二代目が納得している中、賢太君だけが、話の内容を読めていなさそうだった。
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