102 / 309
9章:悔み
9 天然
しおりを挟む
「どうします?こうなれば、コラボしてみる価値はあると思いますけど…。」
それが、解決につながるかは分からないが、何もしないよりだったら、清水さん達の手を借りるべきだと、思う…。
そんな思いで、二代目に訴えた。
「あたしを見なさんな…。決定権は、古川のおっさんにあるんだ…。」
そう言いつつも、どこか納得していない様子だった。
当の古川マスターも、腕を組み、考え込んだ。
「香織ちゃんを特別擁護する訳じゃないが、確かに、今の俺らじゃ、手数あっても確実に限界だからなぁ…。」
月島さんが、仕方ないといった感じに、嘆いた。それに不貞腐れた様に、大臣も唸るような返事をした。
すると、食材を運んできた新庄さんと彰さんが、休憩室に入ってきた。
「あっつ~。」
「今年は、俺たちの周りの屋台は、焼き物系の店ばっかりだからな。」
「それでも、焼き物系の人気は絶大だからね…。」
そう言いながら、冷凍庫等がある、裏方の方に消えて行った。
私も昨日、彩と寧々三人で、偵察という名の、買い食いに回っていた。全体の店舗を把握した訳ではないが、色々な店が連なっていた。
汁物系や飲み物系、スイーツ系がある中、ダントツに多いのが、やはり鉄板焼きや炭火焼きと言った、焼き物系だった。
屋台として定番というのもあって、客層が偏ることは無さそうだ…。
「致し方ありませんか…。」
暫く考えた後、古川マスターが呟いた。
「仁彦さん、協力してくれそうな店に打診してきて下さい。」
「任されよう…。」
二代目も渋々といった感じで、立ち上がり休憩室を出て行った。
清水さんはその逆で、待ってましたと言わんばかりの勢いで、立ち上がった。
「ほな、この娘と遠野はん所のあの娘、貰うていくさかい。うちらからも、二人、連れて行って構いまへん。」
そう言うと、清水さんは私の両肩に手を置いた。
「やはり狙いはそのお二人でしたか…。」
「へ?」
古川マスターも、ため息交じりに呟いた。
訳が分からず、二人の顔を交互に見回した。
「コラボって事は、当然スタッフ数人派遣させざるを得ない…。主力メンバーは、抜けられると困るから、それを除いたメンバーが行くことになるが…。」
月島さんが察してくれ、答えてくれた。流石にそれは誤算だった。
しかし、よく考えればそれも至極当然の事だ…。
「そ、それで古川さん達、渋ってたんですか?」
私の質問に笑って答えたのは、藤吉先生だった。
「まさか、自分で墓穴掘るとはな。さ、彩夏に謝ってこい。」
「さ、時間あらへんさかい、早ういくで?」
清水さんはお構いなしに、私の手を引き、テントの中に居る彩の元に足早に出向いた。清水さんに連れられた私を見て、少々驚いた様な表情をしていた。
無理もない、今までの会話ややり取りは、彩は知らないのだから、清水さんが居ること自体、あり得ないだろう…。
私が事の顛末を粗方話した。
「ゴメン彩…。まさかこうなるとは…。」
それを脇で聞いていた寧々と今井さんは、呆れた様に頭を抱えていた。
「幾ら、ジン君に責付かれたとは言え、ここまで天然だったとは…。」
「呼ばれた時点で、大丈夫かとは思ったけど…。」
「本当に面目ないです…。」
取り敢えず、三人には平謝りした。彩は仕方ないと言いながら、了承してもらった…。
それが、解決につながるかは分からないが、何もしないよりだったら、清水さん達の手を借りるべきだと、思う…。
そんな思いで、二代目に訴えた。
「あたしを見なさんな…。決定権は、古川のおっさんにあるんだ…。」
そう言いつつも、どこか納得していない様子だった。
当の古川マスターも、腕を組み、考え込んだ。
「香織ちゃんを特別擁護する訳じゃないが、確かに、今の俺らじゃ、手数あっても確実に限界だからなぁ…。」
月島さんが、仕方ないといった感じに、嘆いた。それに不貞腐れた様に、大臣も唸るような返事をした。
すると、食材を運んできた新庄さんと彰さんが、休憩室に入ってきた。
「あっつ~。」
「今年は、俺たちの周りの屋台は、焼き物系の店ばっかりだからな。」
「それでも、焼き物系の人気は絶大だからね…。」
そう言いながら、冷凍庫等がある、裏方の方に消えて行った。
私も昨日、彩と寧々三人で、偵察という名の、買い食いに回っていた。全体の店舗を把握した訳ではないが、色々な店が連なっていた。
汁物系や飲み物系、スイーツ系がある中、ダントツに多いのが、やはり鉄板焼きや炭火焼きと言った、焼き物系だった。
屋台として定番というのもあって、客層が偏ることは無さそうだ…。
「致し方ありませんか…。」
暫く考えた後、古川マスターが呟いた。
「仁彦さん、協力してくれそうな店に打診してきて下さい。」
「任されよう…。」
二代目も渋々といった感じで、立ち上がり休憩室を出て行った。
清水さんはその逆で、待ってましたと言わんばかりの勢いで、立ち上がった。
「ほな、この娘と遠野はん所のあの娘、貰うていくさかい。うちらからも、二人、連れて行って構いまへん。」
そう言うと、清水さんは私の両肩に手を置いた。
「やはり狙いはそのお二人でしたか…。」
「へ?」
古川マスターも、ため息交じりに呟いた。
訳が分からず、二人の顔を交互に見回した。
「コラボって事は、当然スタッフ数人派遣させざるを得ない…。主力メンバーは、抜けられると困るから、それを除いたメンバーが行くことになるが…。」
月島さんが察してくれ、答えてくれた。流石にそれは誤算だった。
しかし、よく考えればそれも至極当然の事だ…。
「そ、それで古川さん達、渋ってたんですか?」
私の質問に笑って答えたのは、藤吉先生だった。
「まさか、自分で墓穴掘るとはな。さ、彩夏に謝ってこい。」
「さ、時間あらへんさかい、早ういくで?」
清水さんはお構いなしに、私の手を引き、テントの中に居る彩の元に足早に出向いた。清水さんに連れられた私を見て、少々驚いた様な表情をしていた。
無理もない、今までの会話ややり取りは、彩は知らないのだから、清水さんが居ること自体、あり得ないだろう…。
私が事の顛末を粗方話した。
「ゴメン彩…。まさかこうなるとは…。」
それを脇で聞いていた寧々と今井さんは、呆れた様に頭を抱えていた。
「幾ら、ジン君に責付かれたとは言え、ここまで天然だったとは…。」
「呼ばれた時点で、大丈夫かとは思ったけど…。」
「本当に面目ないです…。」
取り敢えず、三人には平謝りした。彩は仕方ないと言いながら、了承してもらった…。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
わけありのイケメン捜査官は英国名家の御曹司、潜入先のロンドンで絶縁していた家族が事件に
川喜多アンヌ
ミステリー
あのイケメンが捜査官? 話せば長~いわけありで。
もしあなたの同僚が、潜入捜査官だったら? こんな人がいるんです。
ホークは十四歳で家出した。名門の家も学校も捨てた。以来ずっと偽名で生きている。だから他人に化ける演技は超一流。証券会社に潜入するのは問題ない……のはずだったんだけど――。
なりきり過ぎる捜査官の、どっちが本業かわからない潜入捜査。怒涛のような業務と客に振り回されて、任務を遂行できるのか? そんな中、家族を巻き込む事件に遭遇し……。
リアルなオフィスのあるあるに笑ってください。
主人公は4話目から登場します。表紙は自作です。
主な登場人物
ホーク……米国歳入庁(IRS)特別捜査官である主人公の暗号名。今回潜入中の名前はアラン・キャンベル。恋人の前ではデイヴィッド・コリンズ。
トニー・リナルディ……米国歳入庁の主任特別捜査官。ホークの上司。
メイリード・コリンズ……ワシントンでホークが同棲する恋人。
カルロ・バルディーニ……米国歳入庁捜査局ロンドン支部のリーダー。ホークのロンドンでの上司。
アダム・グリーンバーグ……LB証券でのホークの同僚。欧州株式営業部。
イーサン、ライアン、ルパート、ジョルジオ……同。
パメラ……同。営業アシスタント。
レイチェル・ハリー……同。審査部次長。
エディ・ミケルソン……同。株式部COO。
ハル・タキガワ……同。人事部スタッフ。東京支店のリストラでロンドンに転勤中。
ジェイミー・トールマン……LB証券でのホークの上司。株式営業本部長。
トマシュ・レコフ……ロマネスク海運の社長。ホークの客。
アンドレ・ブルラク……ロマネスク海運の財務担当者。
マリー・ラクロワ……トマシュ・レコフの愛人。ホークの客。
マーク・スチュアート……資産運用会社『セブンオークス』の社長。ホークの叔父。
グレン・スチュアート……マークの息子。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる