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2章:想い
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慌てて、コンロの火を止めた。
「嘘。」
彼が、少し揶揄った様に言った。
「じゃなきゃ、あちこち連れまわさないよ…。」
「そうですか。」
少し、ホッとした。
「ホッとした?」
「そ、そんなこと、ありません。」
彼が更に“フフ”と笑いながら、続ける。
「今一瞬、肩の力が抜けたから、もしやと思ったけど、そうか、外れましたか。」
「それより、お湯、沸きましたけど。」
「じゃぁ、その間、サーバーとかドリッパー準備して。」
雑談をしながら、コーヒーの淹れ方を教わってその日は、終わった。最後までは客は来なかった。
九条さんが休憩のため、カウンター奥の休憩室に下がり、私は後片付けをしていた時だった。
私のスマホが鳴った。今井さんだった。
『今から行くから、いつもの、淹れてて。』
今からと言われても、閉店まで残り一〇分もない。取り敢えず、九条さんに確認しに行った。
「九条さん、今井さんが今から来るみたいですけど、どうしましょう…。」
彼はソファーでパソコン雑誌を読んでいた。
「どうするって?」
「もうお店閉める時間ですけど…。」
「閉めちゃえば?」
腕時計を見ながら答えた。
「良いんですか?」
「良いよ、どうせ入ってくるから。」
「え?」
ガラガラ。
店の格子戸が開いた音がした。
急いで、カウンターに戻った。
「ごめんね、遅くなって…。」
今井さんだった。しかも、珍しく、スーツを着ていた。
「今井さん、今日は来ないかと思いましたよ。今、コーヒー淹れますね。」
「ありがと。」
「それにしても、どうして今日スーツ何ですか?」
ケルトに火を掛けながら聞いた。
「え?九条君とか、古川さんから聞いてないの?」
「何をですか?」
「九条君!ちょっと来なさい。」
休憩室に向かって大声で、九条さんを呼んだ。
「何?」
雑誌片手に出てきた。
「香織ちゃんにちゃんと説明したの?このお店のこと。」
「え、マスターから聞いてないの?」
「だから何をですか?」
私は、二人を交互に見ながら聞いた。
「あたしも、ここでバイトしてるの。」
「え?」
「バイトってよりは、ただの手伝いだけどね。」
「だからさっき話がかみ合わなかったのか…。」
「呆れた…。」
今井さんが落胆した様に声を上げた。
「バイトって、今井さんがどうして?」
「このお店って、香織ちゃんが入るまで、店主二人って、不自然だと思わなかった?」
今井さんが私の出したコーヒーを啜りながら聞いてきた。
「そう言われれば確かに…。」
「別に二人でも、回せないことはないんだけど、本当に大変なときとか、どっちか入れないときは、手伝ってもらってる。」
カクテルシェイカーやグラスなどを準備しながら、説明した。
「今井ちゃんだけじゃなく、月島や遠野のおっちゃんもそうだね。」
「そうなんですか?」
「そういうこと~。」
そう言いながら、今井さんがカウンターの中に入ってきた。
「じゃぁ、香織ちゃん後は任せて、もう上がっちゃっていいよ。」
奥の休憩室に消えていった。
「嘘。」
彼が、少し揶揄った様に言った。
「じゃなきゃ、あちこち連れまわさないよ…。」
「そうですか。」
少し、ホッとした。
「ホッとした?」
「そ、そんなこと、ありません。」
彼が更に“フフ”と笑いながら、続ける。
「今一瞬、肩の力が抜けたから、もしやと思ったけど、そうか、外れましたか。」
「それより、お湯、沸きましたけど。」
「じゃぁ、その間、サーバーとかドリッパー準備して。」
雑談をしながら、コーヒーの淹れ方を教わってその日は、終わった。最後までは客は来なかった。
九条さんが休憩のため、カウンター奥の休憩室に下がり、私は後片付けをしていた時だった。
私のスマホが鳴った。今井さんだった。
『今から行くから、いつもの、淹れてて。』
今からと言われても、閉店まで残り一〇分もない。取り敢えず、九条さんに確認しに行った。
「九条さん、今井さんが今から来るみたいですけど、どうしましょう…。」
彼はソファーでパソコン雑誌を読んでいた。
「どうするって?」
「もうお店閉める時間ですけど…。」
「閉めちゃえば?」
腕時計を見ながら答えた。
「良いんですか?」
「良いよ、どうせ入ってくるから。」
「え?」
ガラガラ。
店の格子戸が開いた音がした。
急いで、カウンターに戻った。
「ごめんね、遅くなって…。」
今井さんだった。しかも、珍しく、スーツを着ていた。
「今井さん、今日は来ないかと思いましたよ。今、コーヒー淹れますね。」
「ありがと。」
「それにしても、どうして今日スーツ何ですか?」
ケルトに火を掛けながら聞いた。
「え?九条君とか、古川さんから聞いてないの?」
「何をですか?」
「九条君!ちょっと来なさい。」
休憩室に向かって大声で、九条さんを呼んだ。
「何?」
雑誌片手に出てきた。
「香織ちゃんにちゃんと説明したの?このお店のこと。」
「え、マスターから聞いてないの?」
「だから何をですか?」
私は、二人を交互に見ながら聞いた。
「あたしも、ここでバイトしてるの。」
「え?」
「バイトってよりは、ただの手伝いだけどね。」
「だからさっき話がかみ合わなかったのか…。」
「呆れた…。」
今井さんが落胆した様に声を上げた。
「バイトって、今井さんがどうして?」
「このお店って、香織ちゃんが入るまで、店主二人って、不自然だと思わなかった?」
今井さんが私の出したコーヒーを啜りながら聞いてきた。
「そう言われれば確かに…。」
「別に二人でも、回せないことはないんだけど、本当に大変なときとか、どっちか入れないときは、手伝ってもらってる。」
カクテルシェイカーやグラスなどを準備しながら、説明した。
「今井ちゃんだけじゃなく、月島や遠野のおっちゃんもそうだね。」
「そうなんですか?」
「そういうこと~。」
そう言いながら、今井さんがカウンターの中に入ってきた。
「じゃぁ、香織ちゃん後は任せて、もう上がっちゃっていいよ。」
奥の休憩室に消えていった。
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