探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルXⅥ:反撃開始

#4

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 変な呼名を付けられているが、まぁ良しとしよう…。
 「聞こえてますよ。それより、ホールの外の様子とか気になるので、随時報告お願いしても良い?」
 『りょーかい。刑事さん同士だと、情報が錯綜することがあるもんね。』
 刑事の事を小馬鹿にされているのだが、悪い気はしない。警察という“組織”が余計な手間や手順が邪魔になることが多々あるため、否定できない…。
 『じゃぁさ、キュー君と一緒に居るあの女性刑事にも、イヤホンマイク渡して良い?そっちの方が、お互い連携取りやすいんじゃない?』
 「…私は構わないですけど、石井先輩次第じゃないですか?」
 『じゃぁ決まり!キュー君聞こえてた?』
 『聞こえてましたよ。』
 『予備のイヤホン持ってる?』
 『持ってないっすよ…。この間、一個壊したばっかりですから…。』
 そう言う割には、久本の声は、全く申し訳なさそうではない…。
 『…オッケー…。おかっち向かえる?』
 おかっち…。さっき私にこのイヤホンマイクを渡してくれた人…。だが、もう既に、ホールの出入り口は既に塞がれている。スタッフ用の出入り口も、警察が見張っている上に、構造上、表のロビーに出るまでに、かなりの道のりの筈だ。
 「今から向かっても、結構時間かかりますよ?表は既に、封鎖されてるし、裏道は他の刑事たちが見張ってる。簡単に出入りできないと思うけど…。」
 『それが、できてしまうんですね…。ホズミンさん。』
 おかっちの声が聞こえた。
 『そう言われるかと思って、既にエントランスまで降りてきてますし、何なら、先ほど、地下のリョータさんにも渡してきました。』
 『流石!じゃぁキュー君それ受け取ったら、石井さんに渡してあげて。』
 『了解です。』
 「ちょ、ちょっと待ってください!」
 いくら、ホームズが刑事たちに認知されているとはいえ、全員の顔を知っているわけではない。現に、私も彼の存在は知らなかった。
 仮に通れたとしても、エントランスに出るまでに、裏通路から、ロビーに出て、階段かエスカレーターを使わなければ、下まで降りれない。それに、降りる場所も、一つ間違えれば、全く見当違いの所へ下ろされる。そんな場所へ、5分足らずで、しかも地下を経由してから向かうなど、殆ど不可能だ…。
 「一体どうやって移動したんですか?」
 『愚かな質問ですね…。先ほど述べたでしょう?私は忍びです。こんな場所、簡単に出入り自由ですし、神出鬼没で…。』
 『おかっちは、運動神経が良い変装の達人。平面だろうが立体だろうが、関係なくウチの中で最速。変装能力も、カメレオン並みだから、まぁ、忍びって言っても過言ではないよね。』
 彼の説明を遮る様に天木がそう答えた。
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