探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルXV:奪還作戦

#15

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 工藤刑事や秋山達が会議室会議室を出ていってから、およそ30分が経った。それなのに、捜査チームからの報告は、未だにない…。
 ホテル自体広いと言うのはあるが、あれだけの人数を投入しても、未だに見つけられていない…。もう別の場所に移動してしまったのか…。いや、このホテルの出入り口は、従業員入り口を含む全て、警察が目を光らせている。一度外に出ようものなら、問答無用で職質を行わせている…。だから、逃れられるはずがない…。
 「クドー、アッキー、何もまだ見つけられてないの?」
 流石の私も焦り始めた。ここまで、何も良い報告がないとなると、不安に借り立たされてしまう…。
 『工藤です。今、地下2階を隈無く探しているんですが、未だ発見できておりません…。』
 『アマキさん、こちらアキヤマ。こっちも屋上側から、捜索していますが、未だ目星い発見には至ってません。引き続き、捜索続けます。』
 「そう…。よろしくお願い。」
 二人は返事をし、通信を切った。
 「ソウ君の方は?」
 「俺の方もダメだ。途中の機器障害の所為か、きなこの通信にも異常があったらしい…。データの復旧は試みてるが、あまり期待できない。」
 相沢の指は目まぐるしく、パソコンのキーボードを打ち込んでいた。
 「そう…。」
 「アマキ、焦る気持ちは分かるが、できることには、限りがある…。いくら、力が束になっても、時間が解決してくれることもある。それはお前の所為じゃない…。
 今お前にできるのは、焦ることじゃなくて、次のことを考えろ。どんな状況でも、相手側は、待ってくれない。こっちから仕掛けるつもりでいかないと、救えるもんも救えなくなるぞ…。」
 相沢が、そう言った。
 彼の言葉は、最もだ…。だが、情報が足りない今は待つしか無い。だからこそ、次の手段を考える…。それは、いつもやっていることだ…。だが、仲間の安否がそこに入ってくると、集中力が乱れてしまう…。いくら場慣れしていても、これだけは慣れない…。
 なぜなら、最悪なケースも想定しないといけないからだ…。
 「わかってます…。でも、あまりにも情報が足りないので、一か八かの賭けでしか無いんですよ…。」
 「そういえばアマキちゃん。」
 私の言葉を遮るように、真紀さんが話しかけてきた。
 「何ですか?」
 「このホテルの地下って、隈無く調べてるの?」
 「それはクドー達が調べてる。」
 「建物全体じゃなくて、地下道も入れてよ?」
 「…地下道?」
 「そう。この新帝都ホテルは最寄りの地下鉄の駅から、直接地下道で繋がってるのよ?」
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