262 / 281
ファイルXV:奪還作戦
#14
しおりを挟む
「竹橋は、その後、海外マフィアと連携を組み、武器の密輸や薬の売買と言った、大胆な手法で財力と武力を拡大した。」
出雲の話してくれた内容は、理解した。2年くらい前に金条組の傘下に加わった、緑流会の連中がこの事を知らないのは、当然なことだろう…。だが、納得できないことが一つある。
「なぜ、それほど力のある組織が、今の今まで水面下で動けたんだ?実際、警察も名前を聞いたことはあるくらいで、摘発まで至っていない…。話だけ聞けば、充分逮捕状が請求できそうな感じがあるがな…。」
「それは、俺から話そう…。」
河辺が柿崎の隣の座布団に座り、話し始めた。
「クラブ・ジョーカー。確かに、俺たち、組対は目を付けては居るが、捜査までは至れない…。理由は一つ、上からの圧力が合ったから。
俺は、警察に入ったときから、ずっとマル暴やってるが、ここまで、圧力を掛けられたのは、初めてだ…。
それが嫌で、一時期、警察を辞める覚悟で、竹橋の捜査を単独でやっていたが、結局バレて、今の状態さ…。」
警察に圧力を掛けられる人となると、かなり限られる…。
政府関係の大臣クラスの官僚か、警察内部の上の人物か…。
いずれにせよ、竹橋は警察とつながっている可能性が高い…。だから、水面下で動けている…。そして、今回の事件で何かを仕掛けてきている…。
「なるほど…。竹橋を徹底的に調べないといけないな…。」
俺がそう呟くと、出雲が更に話し始めた。
「だから、今回ばかしはポリには宛にせず、俺たちだけでなんとかケリつけようと思っていたが、結局こうなっちまう…。」
出雲はそう言うと、立ち上がり、床の間に飾られている、鍔の無い白鞘状態の日本刀を手にした。
「先程行った通り、警察は宛にしません…。ですが、俺を屈服させることができれば、協力をしてもらうかもしれない…。」
出雲は刀を抜いた。刀身は手入れされているのか、綺麗で刃文は乱れ、柄の近くには龍の彫刻が施されている。
「おい出雲…。」
「組長は黙っていて下さい…。俺だってプライドがある。警察相手と言えど、そう簡単に協力するわけにはいかない…。」
次の瞬間、出雲の刀は空を切り、俺の顔の真横で寸止めされた。
「お、おい!」
それを見て身構えたのは石井だった。
「昔から知ってる、柿崎と河辺の実力を差し置いて、お前が一番強いな…。」
「はぁ…。こうなった出雲は俺でも止められん…。若いの、相手してやってくれ…。」
「え?お、俺、そんなのできませんて!」
「おい…。俺の目が狂っているとでも、言いたいのか…。」
出雲は、低い声でそう言った。
出雲の話してくれた内容は、理解した。2年くらい前に金条組の傘下に加わった、緑流会の連中がこの事を知らないのは、当然なことだろう…。だが、納得できないことが一つある。
「なぜ、それほど力のある組織が、今の今まで水面下で動けたんだ?実際、警察も名前を聞いたことはあるくらいで、摘発まで至っていない…。話だけ聞けば、充分逮捕状が請求できそうな感じがあるがな…。」
「それは、俺から話そう…。」
河辺が柿崎の隣の座布団に座り、話し始めた。
「クラブ・ジョーカー。確かに、俺たち、組対は目を付けては居るが、捜査までは至れない…。理由は一つ、上からの圧力が合ったから。
俺は、警察に入ったときから、ずっとマル暴やってるが、ここまで、圧力を掛けられたのは、初めてだ…。
それが嫌で、一時期、警察を辞める覚悟で、竹橋の捜査を単独でやっていたが、結局バレて、今の状態さ…。」
警察に圧力を掛けられる人となると、かなり限られる…。
政府関係の大臣クラスの官僚か、警察内部の上の人物か…。
いずれにせよ、竹橋は警察とつながっている可能性が高い…。だから、水面下で動けている…。そして、今回の事件で何かを仕掛けてきている…。
「なるほど…。竹橋を徹底的に調べないといけないな…。」
俺がそう呟くと、出雲が更に話し始めた。
「だから、今回ばかしはポリには宛にせず、俺たちだけでなんとかケリつけようと思っていたが、結局こうなっちまう…。」
出雲はそう言うと、立ち上がり、床の間に飾られている、鍔の無い白鞘状態の日本刀を手にした。
「先程行った通り、警察は宛にしません…。ですが、俺を屈服させることができれば、協力をしてもらうかもしれない…。」
出雲は刀を抜いた。刀身は手入れされているのか、綺麗で刃文は乱れ、柄の近くには龍の彫刻が施されている。
「おい出雲…。」
「組長は黙っていて下さい…。俺だってプライドがある。警察相手と言えど、そう簡単に協力するわけにはいかない…。」
次の瞬間、出雲の刀は空を切り、俺の顔の真横で寸止めされた。
「お、おい!」
それを見て身構えたのは石井だった。
「昔から知ってる、柿崎と河辺の実力を差し置いて、お前が一番強いな…。」
「はぁ…。こうなった出雲は俺でも止められん…。若いの、相手してやってくれ…。」
「え?お、俺、そんなのできませんて!」
「おい…。俺の目が狂っているとでも、言いたいのか…。」
出雲は、低い声でそう言った。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
絶体絶命ルビー・クールの逆襲<炎の反逆者編>
蛇崩 通
ミステリー
警官隊が、建物を包囲した。警部が、投降を呼びかけた。無駄な抵抗をやめ、武器を捨てろ。さもなくば、国家への反逆者として射殺する、と。
赤毛の美少女ルビー・クールが、怒鳴り返した。三階の窓から。
「それじゃあ今から、反逆者になるわ。さあ! 反逆の開始よ!」
轟いた。銃声が。一斉に。
警官隊に包囲され、絶体絶命の窮地。逃げ道は、ない。だが、ルビー・クールの逆襲は、ここから始まる。
ルビー・クール・シリーズ第7弾、ここに開幕。
※第1弾から第6弾を、お読みでない方にも楽しめるような作品作りを、心がけます。
※本作品は、法律・法令に違反する行為を容認・推奨するものではありません。
※2023年4月16日(日)と5月4日(木)に、ミステリー部門で1位になりました。読者のみなさま、ルビー・クールへの応援、ありがとうございます。今後も、応援よろしくお願いします。
表紙イラスト:紅香
[完結]仮面の令嬢は、赤い思い出を抱いて眠る
早稲 アカ
ミステリー
大門光子は、大学2年生で、大企業の一人娘。母親は光子を産んで亡くなった。
小学生の頃、父は自殺したが、その出来事以降、仮面の女の幻影に悩まされている。
そんな時、望月登という不思議な青年と知り合う。彼は劇団長兼演出家で、彼には劇団の花形俳優の妹の麗子がおり・・・。
長編のミステリー作品を予定しています。
月明かりの儀式
葉羽
ミステリー
神藤葉羽と望月彩由美は、幼馴染でありながら、ある日、神秘的な洋館の探検に挑むことに決めた。洋館には、過去の住人たちの悲劇が秘められており、特に「月明かりの間」と呼ばれる部屋には不気味な伝説があった。二人はその場所で、古い肖像画や日記を通じて、禁断の儀式とそれに伴う呪いの存在を知る。
儀式を再現することで過去の住人たちを解放できるかもしれないと考えた葉羽は、仲間の彩由美と共に儀式を行うことを決意する。しかし、儀式の最中に影たちが現れ、彼らは過去の記憶を映し出しながら、真実を求めて叫ぶ。過去の住人たちの苦しみと後悔が明らかになる中、二人はその思いを受け止め、解放を目指す。
果たして、葉羽と彩由美は過去の悲劇を乗り越え、住人たちを解放することができるのか。そして、彼ら自身の運命はどうなるのか。月明かりの下で繰り広げられる、謎と感動の物語が展開されていく。
茜蛍の約束
松乃木ふくろう
ミステリー
7年前の事故で右手に大けがを負ったオレは、メディアの過剰報道にも晒され、初恋の女性との“約束”を果たせぬまま、故郷を離れ、怠惰な日々を過ごしていた。
そんなオレがお袋に騙され帰郷すると、そこで待っていたのは、その初恋の女性『光木茜音』との再会だった。だが、それは再会と呼ぶには、あまりにも悲しい『彼女の死』と言う結果に終わってしまう。
彼女の死に違和感を覚えたオレは光木茜音の親友である円詩子と行動を共にする事となる。
※全26話・最終話まで毎日更新します。
※完結まで書上げてあります。
※カクヨムでも公開しています。なろうでも公開予定です。
化粧品会社開発サポート部社員の多忙過ぎる日常
たぬきち25番
ミステリー
【第6回ホラー・ミステリー小説大賞、奨励賞受賞】
※『離島迎賓館殺人事件』を最後までゆるく書き上げて、見直ししたり、修正していたのですが……
全てが消えてしまいました。
およそ6万字……半年くらいのんびりと書いていたのでかなり落ち込んでます。
ですので、また書き直したら改めて公開します。
不注意で本当に申し訳ございません……。
化粧品会社の開発サポート部の伊月宗近は、鳴滝グループ会長の息子であり、会社の心臓部門である商品開発部の天才にして変人の鳴滝巧に振り回される社畜である。そうしてとうとう伊月は、鳴滝に連れて行かれた場所で、殺人事件に巻き込まれることになってしまったのだった。
※※このお話はフィクションです。実在の人物、団体などとは、一切関係ありません※※
※殺人現場の描写や、若干の官能(?)表現(本当に少しですので、その辺りは期待されませんように……)がありますので……保険でR15です。全年齢でもいいかもしれませんが……念のため。
タイトル変更しました~
旧タイトル:とばっちり社畜探偵 伊月さん
大谷、おれに探偵をさせるな
イケランド
ミステリー
「一石二鳥ではない。一挙両得だ。」
効率重視のひねくれ大学生の主人公檜原諭が、効率のために推理を披露してしまう。このことで同じ学科の大谷美沙に目をつけられ、あらゆることで推理に駆り出される。次々と身近な謎を解き明かす痛快ひねくれミステリー。
人は死なないです。
いわゆるコージーミステリーというやつですね。
暇つぶしにはなるのではないでしょうか?
"名無しさん"は我ながら面白くかけたと思います。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる