探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルXV:奪還作戦

#14

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 「竹橋は、その後、海外マフィアと連携を組み、武器の密輸や薬の売買と言った、大胆な手法で財力と武力を拡大した。」
 出雲の話してくれた内容は、理解した。2年くらい前に金条組の傘下に加わった、緑流会の連中がこの事を知らないのは、当然なことだろう…。だが、納得できないことが一つある。
 「なぜ、それほど力のある組織が、今の今まで水面下で動けたんだ?実際、警察も名前を聞いたことはあるくらいで、摘発まで至っていない…。話だけ聞けば、充分逮捕状が請求できそうな感じがあるがな…。」
 「それは、俺から話そう…。」
 河辺が柿崎の隣の座布団に座り、話し始めた。
 「クラブ・ジョーカー。確かに、俺たち、組対は目を付けては居るが、捜査までは至れない…。理由は一つ、上からの圧力が合ったから。
 俺は、警察に入ったときから、ずっとマル暴やってるが、ここまで、圧力を掛けられたのは、初めてだ…。
 それが嫌で、一時期、警察を辞める覚悟で、竹橋の捜査を単独でやっていたが、結局バレて、今の状態さ…。」
 警察に圧力を掛けられる人となると、かなり限られる…。
 政府関係の大臣クラスの官僚か、警察内部の上の人物か…。
 いずれにせよ、竹橋は警察とつながっている可能性が高い…。だから、水面下で動けている…。そして、今回の事件で何かを仕掛けてきている…。
 「なるほど…。竹橋を徹底的に調べないといけないな…。」
 俺がそう呟くと、出雲が更に話し始めた。
 「だから、今回ばかしはポリには宛にせず、俺たちだけでなんとかケリつけようと思っていたが、結局こうなっちまう…。」
 出雲はそう言うと、立ち上がり、床の間に飾られている、鍔の無い白鞘状態の日本刀を手にした。
 「先程行った通り、警察は宛にしません…。ですが、俺を屈服させることができれば、協力をしてもらうかもしれない…。」
 出雲は刀を抜いた。刀身は手入れされているのか、綺麗で刃文は乱れ、柄の近くには龍の彫刻が施されている。
 「おい出雲…。」
 「組長は黙っていて下さい…。俺だってプライドがある。警察相手と言えど、そう簡単に協力するわけにはいかない…。」
 次の瞬間、出雲の刀は空を切り、俺の顔の真横で寸止めされた。
 「お、おい!」
 それを見て身構えたのは石井だった。
 「昔から知ってる、柿崎と河辺の実力を差し置いて、お前が一番強いな…。」
 「はぁ…。こうなった出雲は俺でも止められん…。若いの、相手してやってくれ…。」
 「え?お、俺、そんなのできませんて!」
 「おい…。俺の目が狂っているとでも、言いたいのか…。」
 出雲は、低い声でそう言った。
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