探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルXV:奪還作戦

#8

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 俺は警視庁からそれほど離れていない、ホームズのガレージにやってきた。ここには、仕事で使う社用車と、それぞれのメンバーの私用車が眠っている。当然、俺の愛車も…。
 ガレージの一番奥にある、車のボディカバーを引っ剥がした。
 そこに眠っているのが、俺が仕事のときに使う車両、スバルのレヴォーグ。本来なら、それなりにスピードは期待できないのだが、俺が気に入って、俺がチューニングを施している為、基礎性能は、通常のものよりも、かなり向上している。本気で走りたいときは、これに乗るようにしている。
 先程、石井という捜査員が握ったバイクのキーは、カワサキの“ニンジャ”の物だ…。彼女も、公務とは言え、かなりの走り屋と見える…。それに、張り合えるのは、このホームズ内では、この車両しか無い…。
 俺は、車に乗り込みエンジンを掛けた。低い唸り声が、ガレージ内に響いた。
 ガレージと言うなの地下駐車場から地上に出て、すぐ近くのコンビニ前に駐車場に車を止めた。
 案の定そこには、黒色のニンジャが1台とスズキのハヤブサが一台。それと、覆面パトカーに使われるマークXが一台、計3台の車両が、停めれられていた。俺がその後ろに車を停車させると、マークXに乗っていた河辺が声を掛けてきた。
 「レヴォーグか…。悪くないな…。で?最初はどこ行くんですか?」
 「“緑流会”。ここなら俺の知り合いもいるから、少しは気が楽そうです。」
 「緑流会か。場所わかるか?石井。」
 ハヤブサにまたがっていた、柿崎刑事が石井さんにそう言った。
 「知ってる。私なら、15分で着けるけど、レヴォーグで付いてこれるの?」
 「俺も場所は知ってる。最悪、自分で行けるさ。」
 「よし、じゃぁ、行くか。」


 「梅木さん、勝手に柿崎班動かして…。」
 「…どうせ暇なんだ、問題ない。それに、たまに、動かしてやらないと、車のギアの様に、錆びるといけねぇからな…。」
 「元“トカゲ”の柿崎警部筆頭に、元湾岸線高速機動隊の石井巡査、根っからのマル暴の河辺巡査長。そして珍しいことに、捜査二課から異動してきた、林田警部。
 異色のメンバーとは言え、それでも噛み合っているのは、かなり異例ですね…。」
 「全員、ケンカにちなんだ捜査以外興味がないのは共通がゆえ、上の連中も扱いに困っている。暴力団相手に動かせば確かに強いが、連携が弱い…。その面で言えば、ホームズの連中の方が、優れている。だから、今回、柿崎班にあいつを入れた。どうなるかは、分からないが、少しは見習ってほし良いからな…。」
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