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ファイルXIV:追跡調査
#15
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「クドーさん。答えは『何も残っていない』です。何も残っていないってことは、このスマホそのものが、重要だということです。」
柏木さんはそういうと、リンさんのスマホの電源を落とした。
「これは、ソウさんに渡します。おそらく、あの人なら、何とかできると思う…。」
その言葉の直後、まるでタイミングを見計らったかのように、相沢さんと真紀さんが部屋に戻ってきた。
「話は粗方聞いていた。寄越せ、柏木。」
相沢さんはそういうと、柏木さんからスマホを受け取った。
「お願い。このスマホの“きなこ”の履歴を追って。おそらく、何かしらヒントになるものがあると思う。」
「分かった。」
相沢さんは、自前のノートパソコンに、スマホを繋ぎ、操作し始めた。
「“きなこ”って、確か、あの猫のAIですよね?それを調べて、何になるんですか?」
私のその問いに、柏木さんはこう答えた。
「確かに“きなこ”は三毛猫の姿を模した、アバター型のAIです。基本的には、しゃべることはないですが、命令や指示を出せば、それに従ってくれる…。ここまでは誰のスマホにも入っている、AIアシスタントとは変わりありないです。
だけど、唯一違うのは、このきなこは、ソウさんが作ったということと、あたしたち、それぞれのメンバーのいいパートナとなりえる、アシスタント能力を秘めています。もし、いまだに、このスマホと連携されている、リンさんのスマートウォッチが生きているのなら、そこからきなこは、私たちに、何かしらの、メッセージを送ってきている筈です。」
柏木さんがそう言い終わるころには、相沢さんの指先が止まった。
「柏木、ビンゴだ。このスマホは、“敢えて”置いて行かれたらしい。」
彼はそういうと、ノートパソコンのモニターを見せてきた。
そこには、メモのような文が映し出されていた。
『班長。すみません、捕まってしまいました。今は薄暗い、コンクリート壁で覆われた部屋に監禁されています。
窓はありますが、おそらく地下でしょう…。
私を監視している人物はおそらくリューさんやアッキーよりも、強い可能性があります…。助けに来てほしいですが、万全の状態で来てください…。』
と綴られていた。
「どうやら捕まってしまったみたいですね…。どうします?アマキちゃん?」
柏木さんのその言葉に、天木さんが、口を開いた。
「当然、このホテルの地下をアッキー、タケ、リョータの三人をメインに捜査を開始。クドーは刑事を何人か選抜して、彼らに同行させて。
ソウ君は、ここできなこの動きを追って。」
私たちは、返事をし、それぞれ動きだした。
柏木さんはそういうと、リンさんのスマホの電源を落とした。
「これは、ソウさんに渡します。おそらく、あの人なら、何とかできると思う…。」
その言葉の直後、まるでタイミングを見計らったかのように、相沢さんと真紀さんが部屋に戻ってきた。
「話は粗方聞いていた。寄越せ、柏木。」
相沢さんはそういうと、柏木さんからスマホを受け取った。
「お願い。このスマホの“きなこ”の履歴を追って。おそらく、何かしらヒントになるものがあると思う。」
「分かった。」
相沢さんは、自前のノートパソコンに、スマホを繋ぎ、操作し始めた。
「“きなこ”って、確か、あの猫のAIですよね?それを調べて、何になるんですか?」
私のその問いに、柏木さんはこう答えた。
「確かに“きなこ”は三毛猫の姿を模した、アバター型のAIです。基本的には、しゃべることはないですが、命令や指示を出せば、それに従ってくれる…。ここまでは誰のスマホにも入っている、AIアシスタントとは変わりありないです。
だけど、唯一違うのは、このきなこは、ソウさんが作ったということと、あたしたち、それぞれのメンバーのいいパートナとなりえる、アシスタント能力を秘めています。もし、いまだに、このスマホと連携されている、リンさんのスマートウォッチが生きているのなら、そこからきなこは、私たちに、何かしらの、メッセージを送ってきている筈です。」
柏木さんがそう言い終わるころには、相沢さんの指先が止まった。
「柏木、ビンゴだ。このスマホは、“敢えて”置いて行かれたらしい。」
彼はそういうと、ノートパソコンのモニターを見せてきた。
そこには、メモのような文が映し出されていた。
『班長。すみません、捕まってしまいました。今は薄暗い、コンクリート壁で覆われた部屋に監禁されています。
窓はありますが、おそらく地下でしょう…。
私を監視している人物はおそらくリューさんやアッキーよりも、強い可能性があります…。助けに来てほしいですが、万全の状態で来てください…。』
と綴られていた。
「どうやら捕まってしまったみたいですね…。どうします?アマキちゃん?」
柏木さんのその言葉に、天木さんが、口を開いた。
「当然、このホテルの地下をアッキー、タケ、リョータの三人をメインに捜査を開始。クドーは刑事を何人か選抜して、彼らに同行させて。
ソウ君は、ここできなこの動きを追って。」
私たちは、返事をし、それぞれ動きだした。
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