探偵注文所

八雲 銀次郎

文字の大きさ
上 下
246 / 281
ファイルXIV:追跡調査

#13

しおりを挟む
 日下部さんが、パソコンを操作してから、およそ10分が経った。勿論、他の刑事たちが、リンさんの捜索を行ってはいるが、これと言った目ぼしい報告は、一向に上がってくる気配がない…。
 相沢さんが心配するなとは言っていたが、職業柄、そう言うわけには行かない…。
 流石の天木さんも、ソワソワしており、同じところを行ったり来たりしている。
 それとは別で、柏木さんと亮太さんが必死でリンさんのスマホを解析している…。情けないことに、この捜査の主体は、警察ではなく、ホームズの彼等なのだ…。
 私たち警察は、確かに捜査能力でいえば、彼等よりは上だろう…。だが、余計な令状や許可などを無視して、自分たちのやりたい様に捜査出来るのが、彼等の強みだ…。
 ましてや、一個人の能力が高いメンバーが揃っている…。幾ら我々警察が悔いろうとも、現状こういう状況に慣れているのは、彼等の方だろう…。
 ここは、幾ら歯痒くても、彼等の答えを待つしかない…。
 「…出た…。」
 日下部さんのその言葉に、周りに居た警察とホームズのメンバーたちが反応した。
 「待ってました!」
 天木さんが、我先にモニターを覗き込んだ。
 「クドー!今すぐ、前科調べて!」
 アマキさんがそう言うと、近くにあったプリンターから画像が何枚か印刷されて出てきた。画像には、サングラスをかけた男性が一人映し出されていた。
 「この人は?」
 「それを調べて。名前も身分も、分らない…。警察なら、画像から探すのは得意でしょ?」
 それならホームズの彼等より、警察の方が得意だ…。
 「了解。皆、今すぐこの男顔、交通課のデータと照合して!
 外に居る一課はそこから犯人の自宅に向かって!中に居る皆は、調査続行!」
 一課に入って、他の刑事たちにこうやって指示を出したのは、初めてかもしれない…。三課に居た頃は、ここまで緊迫した状況は今まで、経験したことが無い…。
 人の命が掛かっている…。そう考えると、ジッとなんてしては居られない…。
 「…い、今すぐ交通課のデータと照合します!」
 刀根刑事が、そう言うと、自分のパソコンの前に座った。
 「私も、持ち場に戻る…。何かあれば、報告するし、してくれ…。ここに居る、役立たずな先輩たちより、指示に従う価値はありそうだ…。」
 穂積巡査部長がそういた。
 「何だと!」
 その言葉に、他の男性刑事たちが、怒りの声を上げた。
 「任せますよ、穂積刑事…。私も貴女になら、任せられます…。現場の指揮は貴女主体でお願いします。」
 「心得た…。」
 彼女はそう言うと、部屋を出て行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【毎日20時更新】アンメリー・オデッセイ

ユーレカ書房
ミステリー
からくり職人のドルトン氏が、何者かに殺害された。ドルトン氏の弟子のエドワードは、親方が生前大切にしていた本棚からとある本を見つける。表紙を宝石で飾り立てて中は手書きという、なにやらいわくありげなその本には、著名な作家アンソニー・ティリパットがドルトン氏とエドワードの父に宛てた中書きが記されていた。 【時と歯車の誠実な友、ウィリアム・ドルトンとアルフレッド・コーディに。 A・T】 なぜこんな本が店に置いてあったのか? 不思議に思うエドワードだったが、彼はすでにおかしな本とふたつの時計台を巡る危険な陰謀と冒険に巻き込まれていた……。 【登場人物】 エドワード・コーディ・・・・からくり職人見習い。十五歳。両親はすでに亡く、親方のドルトン氏とともに暮らしていた。ドルトン氏の死と不思議な本との関わりを探るうちに、とある陰謀の渦中に巻き込まれて町を出ることに。 ドルトン氏・・・・・・・・・エドワードの親方。優れた職人だったが、職人組合の会合に出かけた帰りに何者かによって射殺されてしまう。 マードック船長・・・・・・・商船〈アンメリー号〉の船長。町から逃げ出したエドワードを船にかくまい、船員として雇う。 アーシア・リンドローブ・・・マードック船長の親戚の少女。古書店を開くという夢を持っており、謎の本を持て余していたエドワードを助ける。 アンソニー・ティリパット・・著名な作家。エドワードが見つけた『セオとブラン・ダムのおはなし』の作者。実は、地方領主を務めてきたレイクフィールド家の元当主。故人。 クレイハー氏・・・・・・・・ティリパット氏の甥。とある目的のため、『セオとブラン・ダムのおはなし』を探している。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

四次元残響の檻(おり)

葉羽
ミステリー
音響学の権威である変わり者の学者、阿座河燐太郎(あざかわ りんたろう)博士が、古びた洋館を改装した音響研究所の地下実験室で謎の死を遂げた。密室状態の実験室から博士の身体は消失し、物証は一切残されていない。警察は超常現象として捜査を打ち切ろうとするが、事件の報を聞きつけた神藤葉羽は、そこに論理的なトリックが隠されていると確信する。葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に、奇妙な音響装置が残された地下実験室を訪れる。そこで葉羽は、博士が四次元空間と共鳴現象を利用した前代未聞の殺人トリックを仕掛けた可能性に気づく。しかし、謎を解き明かそうとする葉羽と彩由美の周囲で、不可解な現象が次々と発生し、二人は見えない恐怖に追い詰められていく。四次元残響が引き起こす恐怖と、天才高校生・葉羽の推理が交錯する中、事件は想像を絶する結末へと向かっていく。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

処理中です...