探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルXIII:総力戦

#15

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 「あ、あの、そろそろ本題に入らないと、時間が無くなりますよ…。」
 「そうね…。あの人に絡んでると何時間あっても足りないからね…。
取り敢えず、従業員名簿と、出来れば履歴書みたいなのもあれば、良いかな…。」
 履歴書。簡単に言ってくれるが、個人情報の開示となると、幾ら警察だとしても、令状を取らないといけない…。増してや、数百、数千人規模の大企業となると、法務部たちの存在も侮れない…。下手したら、私たちが訴えられかねない…。
 「令状、簡単に落ちますかね…。」
 「まぁ、普通には無理だろうね…。こんな極秘で動いている捜査に、簡単に令状が降りるとは思えないね。」
 「そうですよね…。ダメもとで前園さんに頼んでみますか…。」
 私は電話を入れる為、スマホを取り出した。だが、それを京子さんに制された。
 「そんな事しなくても、ウチには、とっても強い味方が一人、居るから。ね?植月さん?」
 京子さんがそう言った直後、低い聞き慣れない男性の声が、イヤホン越しに聞こえてきた。
 『あぁ、欲しい令状があるなら、いつでも言ってくれ。丁度今、裁判官の目の前だ。』
 「流石!ソウ君とは違って、やっぱり出来る男性は違いますね!」
 『そうだろ?惚れても良いんだぜ?京子。』
 「残念。そう言う所原点…。じゃぁ取り敢えず、ガサ状一つお願い。」
 『りょーかいした。刑事さん…。工藤さんとか言ったか?後で前園に届けさせるから、もう少し待っていてくれ。』
 彼はそう言うと、マイクの電源を切ったのか、それ以降は、一切何も聞こえなくなった。

 「い、今の人は?」
 「植月桂樹。“裏”ラストホームズの一角で、所属は、リューさんの調査班なんだけど、肩が“特殊作戦実行員”って言って、その名前の通り、一般的には扱わない様な、依頼が来た時だけ、参戦する感じかな?
 そして、“裏”ラストホームズたちのリーダー格でもある。特別な力とか、能力は劣るけど、人脈が未知数なのと、悪知恵がよく働くのが、特徴かな?」
 最後の“裏”ラストホームズ…。人脈が未知数とはいえ、簡単に令状を請求できる裁判官と、知り合いというのは、特殊だ…。
 事件とはいえ、検事や警察を通り越して、いきなり令状を請求できるとなると、かなり心強いが、不安なところもある…。
 「裁判官が、そんな簡単に一般人の肩を持つような事しても良いんですかね…。」
 「う~ん。そこを突っ込まれると、ちょっと難しいかな…。というのも、詳しいことは、私もよく知らないんだよね…。何せ、アマキさんや、ミヤマさんよりもずっと前から、ザキさんと知り合いらしくて、詳しい経歴は誰も知らないんだよね…。」
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