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ファイルXIII:総力戦
#9
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「これがここ一月分の、作業記録と名簿です。」
「拝見します。」
ホテルの支配人より、作業記録を頂いた。それは良いのだが…。
「どんだけ…。」
「モノマネ?」
その資料の多さに、思わずついて出てし待った。A4サイズの冊子型のファイルが4冊。それに加えて、クリップボードに挟まれているが、数十セット。それ以外にも…。
「ここにあるのは、作業者情報だけですので、入退館記録は、地下の警備員室に保管されています。
もしよろしければ、持って来させましょうか?」
支配人さんの、その言葉に、京子さんは頷き、「お願いいたします。」と、付け加えた。
「一体、幾つあるんですか…。」
流石に、これだけの量の資料に一つ一つに目を通し、特定の人物を絞り出す。それは、多くの人員を投入したとしても、かなりの時間が必要になる…。
「これだけ、大規模なホテルです。改装も、かなりの巨大な物だったのでしょう。」
それに伴って、工事に携わった業者の数もかなりの物だろう…。それに、下請けの会社に作業を依頼して居れば、所属の人物を特定するのは、更に時間が掛かるだろう…。
「どうします?他人増やしますか?」
「それより、もっと効率の良い方法があります。」
京子さんが、そう言うと、イヤホン越しに、天木さんの声が聞こえた。
『私が見れば、30分で終わる。今すぐ、会議室にその資料、持って来て?』
京子さんは、近くにあった、解体されていた段ボール箱を、簡易的に作り直し、その中に資料を全て入れた。
「支配人さん、入退館資料は、第一会議室に持ってくるように、お願いします。行きましょう、工藤さん。」
京子さんはそう言うと、段ボール箱を抱え、部屋を出た。
私は慌てて、彼女の後を追った。
「い、今の声って…天木さんが、来ているんですか?」
だが、京子さんは、無言のまま、歩を進め、近くにあった、扉を開けた…。
そこに居たのは…。
「クドーさん、お久しぶりですね…。すみません、アマキちゃんでは無くて…。」
声で分かった。
「み、実採さん!」
そこには、芥子実採の姿があった。だが、前回お会いした時とは違い、ゆったりとしたエプロン姿ではなく、黒パンタイプのスーツを着込んで居た。更には、マスクも着けておらず、初めて、彼女の素顔を見た。
「ど、どうして。実採さんが…。というより、マスク、着けて居なくて、大丈夫なんですか?」
「ええ。今回は、ちゃんとした薬を処方してい貰いましたので、ご心配なく。」
「クドーさん、ミドリさんが、ただ、“読心術”だけで、“裏”ラストホームズと呼ばれていると思いますか?」
「拝見します。」
ホテルの支配人より、作業記録を頂いた。それは良いのだが…。
「どんだけ…。」
「モノマネ?」
その資料の多さに、思わずついて出てし待った。A4サイズの冊子型のファイルが4冊。それに加えて、クリップボードに挟まれているが、数十セット。それ以外にも…。
「ここにあるのは、作業者情報だけですので、入退館記録は、地下の警備員室に保管されています。
もしよろしければ、持って来させましょうか?」
支配人さんの、その言葉に、京子さんは頷き、「お願いいたします。」と、付け加えた。
「一体、幾つあるんですか…。」
流石に、これだけの量の資料に一つ一つに目を通し、特定の人物を絞り出す。それは、多くの人員を投入したとしても、かなりの時間が必要になる…。
「これだけ、大規模なホテルです。改装も、かなりの巨大な物だったのでしょう。」
それに伴って、工事に携わった業者の数もかなりの物だろう…。それに、下請けの会社に作業を依頼して居れば、所属の人物を特定するのは、更に時間が掛かるだろう…。
「どうします?他人増やしますか?」
「それより、もっと効率の良い方法があります。」
京子さんが、そう言うと、イヤホン越しに、天木さんの声が聞こえた。
『私が見れば、30分で終わる。今すぐ、会議室にその資料、持って来て?』
京子さんは、近くにあった、解体されていた段ボール箱を、簡易的に作り直し、その中に資料を全て入れた。
「支配人さん、入退館資料は、第一会議室に持ってくるように、お願いします。行きましょう、工藤さん。」
京子さんはそう言うと、段ボール箱を抱え、部屋を出た。
私は慌てて、彼女の後を追った。
「い、今の声って…天木さんが、来ているんですか?」
だが、京子さんは、無言のまま、歩を進め、近くにあった、扉を開けた…。
そこに居たのは…。
「クドーさん、お久しぶりですね…。すみません、アマキちゃんでは無くて…。」
声で分かった。
「み、実採さん!」
そこには、芥子実採の姿があった。だが、前回お会いした時とは違い、ゆったりとしたエプロン姿ではなく、黒パンタイプのスーツを着込んで居た。更には、マスクも着けておらず、初めて、彼女の素顔を見た。
「ど、どうして。実採さんが…。というより、マスク、着けて居なくて、大丈夫なんですか?」
「ええ。今回は、ちゃんとした薬を処方してい貰いましたので、ご心配なく。」
「クドーさん、ミドリさんが、ただ、“読心術”だけで、“裏”ラストホームズと呼ばれていると思いますか?」
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